意外感が、あって面白かった。最後のどんでん返しは、ドラマの半沢を支える、登場人物達の期待を、みごと裏切るわけだが、これが、現実の銀行の姿とみれば、まことに自然な姿であって、結局、半沢は、取締役会における、パフォーマンスをしただけで終わったことになる。
裏切った近藤のその後や、半沢の出向先でのその後など、まだまだドラマを続けるべきだが、銀行の内部事情や、実際の業務実態からみて、金を中心にして、組織の保身にきゅうきゅうをする実態から、あんまりドラマにはなりそうもない舞台ではある。
社会の将来方向をつくりだしていく機能があるにも関わらず、そこに、そうした理念がなければ、現実にはそんな役割をはたすこともないわけで、たとえば、遊休資産を集めて、世のため人のために、運用をするようなことになっていくならば、新しい銀行の姿もみえるのだが、何年先にそうなるだろうか。
驚異的な視聴率を叩き出し、あの終わり方で、もう続きがないとすれば、とりもなおさず、今の、銀行の実態、社会の実態を、いわば告発したということである。
主人公半沢は、本懐をはたし、「倍返し」をしたかのようにみえたのだが、それは、頭取派の反主流、大和田を、頭取派に抱き込むという、銀行本体の人事面での管理のための材料に使われただけだった、ということであった。現代の世相をよく反映しているドラマである。