ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ザ・センチネル 陰謀の星条旗』

2006-08-06 19:50:47 | 新作映画
----『センチネル』って、昔ホラーになかったっけ?
「うん。マイケル・ウィナー監督のオカルトね。
でもこれはそれとはまったく関係なく
シークレット・サービスのお話」

----シークレット・サービスって大統領を警護する任務だっけ?
「そう。この映画は、
なんとそのシークレット・サービスの組織内部に、
大統領の暗殺に関与している人がいるというお話。
事態を重く見た上層部は、
その調査をトップ調査員の
デヴィッド・ブレキンリッジ(キーファー・サザーランド)に委ねる。
そこでその疑惑の線上に浮かび上がってきたのが、
かつてレーガン大統領を暗殺者の手から救った過去を持つ
ベテラン・エージェント、ピート・ギャリソン(マイケル・ダグラス)」

----じゃあ、話は早いじゃない。
「ところがブレキンリッジはギャリソンのかつての部下。
しかも彼が自分の妻を寝取ったのではないかと言う疑いを持っている。
それと前後してギャリソンはアカデミーで優秀な成績を収めた
教え子のジル・マリン(エヴァ・ロンゴリア)に
ブレキンリッジのもとで働くよう勧めている。
つまり、これらのことがらがいくつも絡み合うことで、
事件の裏にはもっと深い闇、あるいは私怨が絡んだ罠があるのではと、
観る側を錯綜させていくわけだ」

----エヴァ・ロンゴリアって知らないニャあ。
「テレビ『デスパレートな妻たち』で人気らしいよ。
最近は、こういうテレビドラマで名を挙げて
映画進出と言うパターンが増えてきたね。
『トランスアメリカ』のフェリシティ・ハフマンも
このドラマの出身。
『幸せのポートレート』ののサラ・ジェシカ・パーカーは
『SEX and the CITY』だったかな」

----そう言えばキム・ベイシンガーも出てるよね。
「これが驚きのキャスティングだね。
これまでファム・ファタルの代名詞だった彼女が、
ここではなんとファースト・レディ」

----それはスゴいや。
「でも、実は彼女はギャリソンと関係を持っている」
----えっ、ファースト・レディが?
それはまた大胆な。
「彼女らしいでしょ。
これなら、この役にベイシンガーを持ってきたのも分かる(笑)。
そうそう、キャスティングと言えば
キーファー・サザーランドはドナルド・サザーランドの、
そしてマイケル・ダグラスはカーク・ダグラスの、
それぞれ息子。
この映画は二世対決と言うわけだ」

----ニャるほどね。で、お話はどうなるの?
「まあ、それは観てもらうことにして。
監督は『S.W.A.T.』のクラーク・ジョンソン。
合衆国の体制側組織が、
内部に裏切り者を抱える中、
果たして任務を全うできるか?
という基本構成はソックリ。
でもクライマックスの銃撃戦など、
ことサスペンスにかけては
今回の方をぼくは買うね」


                                          (byえいwithフォーン)


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猫ニュー

『地下鉄(メトロ)に乗って』

2006-08-05 12:44:15 | 新作映画
----これって浅田次郎の小説の映画化なんでしょ?
「うん。でもぼくなんかは『地下鉄に乗って』というと、
すぐ70年代のフォークグループを思い出すんだけどね」

----なんていうグループなの?
「『猫』」
----嘘でしょ(笑)。
「いや、ほんとうの話。
以前、『ホテル・ルワンダ』について書いたとき、
元メンバーの方から書き込みをいただいて、
感動したことも……。
話はそれたけど、
この映画はその歌『地下鉄に乗って』の歌詞にも出てくる
赤坂見附(厳密に言うと半蔵門線の永田町)から始まる。
主人公は営業マンの長谷部真次(堤真一)。
電車が止まったことから長い地下道を銀座線のホームまで歩く途中、
彼は前方に、少年時代の兄の姿を見る。
あわてて追いかけて階段を上ると、
そこはなぜか丸ノ内線・新中野の駅。
しかも、オリンピック開催に沸きたつ昭和39年。
それも兄を亡くした運命の日だった。
初めは事態がよく飲み込めなかった真次だったが、
兄を捜し出してその命を救おうとする」

----ニャるほどね。これはオモシロそうだ。
でも、どうやって救うの?
「その日、彼の兄は、
威圧的な父(大沢たかお)とケンカして家を飛び出し、
交通事故に遭っている。
そこで絶対に家を出ないように諭すんだ」

----でもそれじゃ、歴史が変わっちゃうよね。
「うん。ここまでは喋っていいと思うんだけど、
現代に戻ってきた真次は結局、
兄の命を救えなかったことを知る。
ところが、それ以降も彼はたびたびタイムスリップしてしまう。
時代はさらに遡り、戦後の闇市へ。
しかもなぜかそこには
会社の同僚で愛人関係にある軽部みち子(岡本綾)も現れる」

----そうか、ふたりとも同じ体験をしたわけだから
これは<夢落ち>ではないわけだよね。
「うん。物語のメインは、
真次がさらに地下鉄で出征する若き日の父や、
戦場で人を助ける兵士の父と出会うことで、
彼への認識を改めていくと言う形で発展してゆく」

----浅田次郎らしいと言えばらしい話だけど、
あまりにもオーソドックスな気がするけど…。
「浅田次郎の小説って
たとえば短編集の『鉄道員(ぽっぽや)』がそうだけど、
読み進むうちに思いもよらぬ展開が待ち受けていて、
それが読者の感情を強く揺さぶる。
しかも、その新展開、新事実は
必ずと言っていいほど右ページに配置されていて
前もって読む人の視野に入らないように工夫されている(と思う)。
この物語も、
もちろんこのまま終わるわけではなく、
『これぞ浅田次郎』と言いたくなるとんでもない展開が
初めて明らかになる事実とセットで待ち受けている。
そしてそこで生じたある<問題>は
<過去の改変によって現実を変える>と言う、
タイムスリップならではの手法によって解決されるんだ」

----ニャに言っているのか、よく分からないニャあ。
「うん。あまり話すとネタバレになってくるからね。
このことについてははこれ以上は知らない方がいいと思う」

----でもストーリーばかり話しているよ。
映画としてはどうだったの?
「う~ん。この手の話で2時間越えは少し長すぎる。
それと昭和のイメージ作りが少し安直な気もした。
チンドン屋だとか、スマートボールとかね。
もちろん、こっちの目が
あの時代を描く映画に慣れてきたせいもあるかも知れないけど…。
あっ、子供たちがアーガイルやノルディック風のセーターを着ているのは、
なんだか懐かしかったけどね。
あと、よかったのは地下鉄がカーブに沿って駅に入ってくるシーン。
真っ暗な線路にライトの光が走り照らし出すその映像はとても美しい。
それと、この映画で思い出したのが
今は亡きクリストファー・リーブ」

----えっ、なぜ?
「想念で過去へタイムスリップする傑作ラブストーリー『ある日どこかで』。
これは観ていないと一生の損だよ」

                                          (byえいwithフォーン)

ある日どこかで UNPD-25584ある日どこかで UNPD-25584
※画像がないのが残念。ほんとうに素敵な映画です。

※ニャるほどこういうお話だったのね度
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猫ニュー

『サラバンド』

2006-08-03 00:21:24 | 新作映画
※注意。※映画の核に触れる部分もあります。

「いやあ。驚いたね。
まさか21世紀になって
イングマール・ベルイマンの新作が観られるとは思わなかった」

----誰よ、そのベルイマンって人?
「スウェーデンのフォール島に住む巨匠中の巨匠。
かのゴダールをして
『誰よりもオリジナリティがある作家』と
言わしめているんだから、
その偉大さは推して量るべしだ
もう88歳になるベルイマンだけど、
この映画は彼が84歳のときに
しかもHDマスターで撮った作品。
82年の『ファニーとアレクサンデル』を撮り終えて
引退宣言をしていただけに約20年ぶりということになる」

----ふうん。それでこれはどういう映画ニャの??
「81年に発表した『ある結婚の風景』の後日談となっている。
簡単に言えば、そこで離婚した夫婦が30年ぶりに再会すると言う話。
全体はプロローグとエピローグ、
そしてそれに挟まれた10章から成り立っている。
オモシロいのは、
その10章すべてが、いずれも登場人物ふたりだけという会話劇スタイル。
リヴ・ウルマン演じるマリアンとエルランド・ヨセフソンの元夫ヨハン。
そしてヨハンの息子ヘンリックと、ヘンリックの娘カーリンの4人が、
それぞれふたりずつペアとなって、
話が進んでゆく」

----で、どうだったの?映画としては?
「いやいや、これはぼくなんかが
レビューをするのはおこがましい作品。
そこで見どころだけ紹介しておこうと思う。
30年ぶりに会う元夫婦。
夫のたび重なる不倫と言う、
過去のわだかまりも溶けて
年輪を重ねた老人の穏やかな日々が綴られる……
と思いきや、『決定的瞬間』と題された第9章で
元夫の傲慢さが爆発。
そしてそれを受けた形で
感動の第10章『夜明け前』が立ち上がる」

---どういうこと??
「それでは久々に※ネタバレ注。
言いようのない不安にブルブル震える元夫を、
元妻がやさしくベッドに迎え入れる。
しかもふたりとも真っ裸だ」

---えっ、ふたりとも老人だよね??
「ヨハンは80歳を超え、マリアンもすでに63歳。
このときの映像処理の巧みさ。
日本映画『死に花』で描かれた
老齢のセックスシーンの生々しさとは大違いだ」

----それは比較しちゃ悪いよ(笑)。
でも、それって男はダメ人間ということなのかニャ。
なんとなく底に女性へのリスペクトがあるように見えるけど……。
「そうなんだね。
亡くなった妻のことを思い出し、
娘カーリンもいなくなるのではと言う不安に駆られ、
その娘に情けなく自分の心情を吐露するヘンリック、
そして、そのヘンリックが50年前に自分にした仕打ちを
いまだに根に持つ父ヨハンと、
この映画に出てくる男たちはいずれも醜い。
それに比較して女性たちの何と魅力的なことか。
ベルイマンの映画を評して批評家時代のトリュフォーはこう言っている。
『ベルイマンの映画は、まさしく、女性に捧げられた映画だ。
ベルイマンの映画の女たちは、
男の視点から一方的に見られた存在ではなく、
ベルイマンと女たちの完璧な共謀となれあいのなかで
とらえられたイメージなのである。
男の人物たちが型にはまったキャラクターばかりなのに対して、
女たちが無限のニュアンスに彩られていきいきとしているのも、
そのためだ』と。けだし名言だね」


                                           (byえいwithフォーン)

叫びとささやき BBBF-1996叫びとささやき BBBF-1996
※ベルイマンではこの映画が好きでした。

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『スーパーマン リターンズ』

2006-08-01 01:50:01 | 新作映画
----ふうん、スーパーマンかあ?
あれっ、この人クリストファー・リーブに似ていない?
「いいところついてきたね。
監督のブライアン・シンガーは語る。
『スーパーマンを演じる役者は<映画スター>という看板を
すでに背負っていてはいけなかった。
スーパーマンに対して誰もが抱くイメージを尊重し、
それにピッタリな俳優がぼくには必要だったんだ』と。
つまりこの役にブラピやトム・クルーズはありえないということ。
だから、どうしてもスーパーマンの俳優は
みな似た面構えで同じ体型になるんだろうね」

----そうか、彼は素顔をさらけ出しているしね。
そこがスパイダーマンとの違いだ。
「うん。今回観て思ったんだけど、
このスーパーマンって
どう見ても特殊なキャラクター。
大の大人が体にピッタリのコスチュームで、
マントを背に空を飛ぶ。
普通だったら笑い出したくなるはず。
でもアメリカでは完全無欠の国民的ヒーロー。
スーパーマンだから許せちゃう。
この前話に出た歯医者の受付の人も、この映画に関しては
『すっごくオモシロいんだって?』。
向こうでも絶賛されているみたいだ」

----前シリーズの繋がりとかあるの??
「うん。クリストファー・リーブのシリーズとの繋がりを示唆した内容となっている。
映画は自分の居場所を求めて5年前に姿を消したスーパーマンが、
再び地球に戻ってくるところから始まる。
そこでは最愛の人ロイスを乗せた飛行機が
とんでもない危機に見舞われていた。
この飛行機にはスペースシャトルが連結。
飛行機はその発射台の役割を担っているわけだけど、
スペースシャトルのコントロールが利かず、
一緒に宇宙へと飛び出そうとしてしまう。
その危機を間一髪救ったスーパーマンが
飛行機を地上に下ろす場所が
メジャーリーグ試合中のスタジアム。
スペースシャトルにベースボール。
これぞまさしくアメリカの象徴」

----ははあ。
「さて、一方ではレックス・ルーサーが
かつて誰も考えつかなかったような
究極の国取り合戦を計画。
しかもスーパーマンの弱点であるクリプトナイトを手中にしている」

----国取り合戦って?
「失われた大陸を海中から地上に浮き上がらせ、
その分、アメリカ大陸を消してしまう。
言い換えれば『合衆国沈没』」

----それは大掛かりだ(笑)。
「レックス・ルーサーは、この力を得るために、
スーパーマンの聖地に足を踏み入れる。
そこで出てくるのが旧シリーズから持ってきた
マーロン・ブランド演じるジョー=エルの映像。
これには驚いたね。
さらにはジョン・ウィリアムスのテーマもそのまま継承。
やはりこれは
リチャード・ドナー版『スーパーマン』への
リスペクトいっぱいの作品。
ただ、旧作も大味なイメージが強かったからなあ」

----どういう意味?
「あの映画は『スター・ウォーズ』で始まったSFXブームに乗って
あわてて作ったっていう感じ。
緻密な緊迫感がなかったんだ。
でも、このおおらかさこそ
『スーパーマン』にはふさわしいのかもね.
あっ、そうそう。
大事なこと言い忘れていた。
ラスト近く、とんでもないことが判明するよ。
いったいいつの間に彼らは?----
と、ヤバいヤバい。これ以上は映画を観てね」


                                       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも空飛びたいニャ」身を乗り出す



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※画像はアメリカ・オフィシャルサイトの壁紙です。