ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『クレールの刺繍』

2005-06-23 00:01:04 | 新作映画
------これってタイトルやチラシの絵柄からして、
むか~しの時代の話って気がするんだけど、
ニャんと現代なんだって?
「そうなんだよね。フェルメールの絵をモチーフにした
『真珠の耳飾りの少女』なんてのもあったし、
ぼくもその頃の話かと思ったら、まるで違っていた。
主人公はまだ17歳の少女クレール。
刺繍が好きな彼女は、妊娠を隠すために
親友の勧めもあって刺繍職人メリキアン夫人のアトリエで働くことに。
ところが夫人は息子を亡くしたばかり。
生きる希望を見出せないでいた。
一方、クレールも医者から“匿名出産”を勧められていた」

-----“匿名出産”?聞き慣れない言葉だけど...。
「これは産みの親が子供の出生を届け出ず
親権を放棄するフランスの合法出産制度。
1789年のフランス革命以前から
捨て子や子殺しの予防手段として定着していたらしい」

-----ふうん。
「この映画は、クレールとメリキアン夫人、
それぞれに悩みを抱えるふたりが
アトリエで寡黙に黙々と糸を縫っていく姿が軸となって進んでいく。
そのとき、ふたりは仕事に集中しているのか、
それとも手だけで、頭の方は他のことを考えているのかは、
だれにも分からない。
でもふたりは同じ<空間>の中で同じ<時間>を共有。
それによってお互いの心が少しずつ近づいていく。
これって、普通の人生でもよく見られること。
ただ、この映画が巧いのはそこに刺繍を介在させたこと。
一つ一つの縫い目に思いが込められ、
その糸が世代の異なるふたりの間を繋ぐ。
もちろん、監督はそんなことを言葉で語ってるわけじゃない。
しかし、ふたりが並んで仕事してる端正な姿、
極端なアップで映し出される刺繍。
その丁寧な映像の紡ぎが、
ふたりの間の空気を密にしていくさまを
観客は観ることができるというわけだ」

-----ふうん。でもフォーンはそんなのどうでもいいや。
「あらら・・・・・・・・」
     (byえいwithフォーン)

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