ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『スクラップ・ヘブン』

2005-06-28 20:02:18 | 新作映画
-----これって『69 sixty-nine』の李相日監督の作品だよね。
確か、あの映画はあまり高く買っていなかったようだけど...。
「うん。あれは“69年ごっこ”にしか見えない。
世代が違う青春像を描くわけだから、
もう少し下調べが必要----というのが、
あの映画へのぼくの持論」

-----でも、これは監督と同世代の青春映画だ。
「そうだね。主人公の一人、シンゴを演じる加瀬亮は同じ年。
テツ役のオダギリジョーは2つほど若いのかな。
そこに栗山千明扮するサキが絡む」

-----なかなか旬の顔合わせだ。どんなお話。
「簡単だよ。
デスクワークばかりで毎日がうんざりの刑事シンゴ、
便所掃除のプロを自認するテツ、
そして自室で秘密の実験を続ける薬剤師サキ。
3人が乗り合わせたバスがジャックされる。
シンゴにとっては願ってもない活躍のチャンスのはずだった...」

-----はずだった?
「でもシンゴは怖くて何もできず、
逆にそれが軽いトラウマとなってしまう。
そんなある日、彼は偶然テツを見かける。
黒服集団に絡み、取り囲まれてしまったテツを
へっぴり腰ながら刑事手帳をかざして助け出すシンゴ」

-----ほほう、話が動いてきたニャ。オモシロそうだ。
「シンゴはテツに心を許し、日頃の鬱憤を話す。
それを聞いたテツは彼を<復讐の代行業>に誘う、というストーリーさ」

-----あれっ、栗山千明のサキは?
「まあ、待って待って。
シンゴはバスの中でサキを助けられなかったという負い目があり、
何か手伝えないかと、足しげく彼女の元へ通ってた。
そんな中、彼女が依頼に現れる....という設定」

-----ん、ニャんだか、取って付けたみたい。
「そうなんだ。このチラシのビジュアルがそれをよく表している。
シンゴとテツは肩を並べて写ってるけど、
サキはひとり距離を置いて写っている。
彼女はふたりの関係の奥深くに入り込んでこないんだ。
そのため、『突然炎のごとく』や『冒険者たち』、
あるいは『明日に向かって撃て!』のような
男ふたり+女ひとりから生まれる高揚感は望むべくもない。
そうそう、冒頭のバスジャックでサキの右目が義眼であることが分かる。
そのときキャメラは、あえてホラー風にじらしながら
彼女の右目を捉える。
これって、映画の伏線になっても良さそうなのに、
それもあまり生かされてないし...」

-----ニャるほど、えいには合いそうにないな。
「復讐の依頼は汚れた公衆便所の落書きで行なわれる。
で、それに呼応するかのようにテツは
やたらと『クソ』という言葉を使う。
こういうのって、観ていてあまり気持ちよくないね。

※ネタバレ注
ラストも『気狂いピエロ』を逆でいくオチ。
こういうところに、
いまの時代の空気感を出しているのだとは思うけど、
どうもすっきりしない。
でも監督や俳優と同世代の人たちが観たら、
また違う発展的な意見・感想が出てくるのかもね」

(byえいwithフォーン)

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