ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『下弦の月 ラスト・クォーター』(byえいwithフォーン)

2004-09-08 20:10:06 | 新作映画
----これは前に見損なった映画だったにゃ。
どうだった?
「とにかく凝ったストーリーだったね。
事故に遭った女性が意識不明の重体になり、
なぜか古びた洋館にその魂が残っている。
でも彼女には自分がだれかわからないんだ。
ところがひとりの女の子が、
その魂を<実体>として見ることができる…。
そこで、その女の子は、彼女がだれなのかを
探そうとするというお話さ」。

----う~ん、ややこしいにゃ。
「ほんとうはもっともっとややこしいけどね。
出演は栗山千明、成宮寛貴、黒川智花と、若手がいっぱい。
それにラルクのHYDEが絡む。
HYDEが急に歌い出したときには、
『なんだこれ?』と思ったけど、
彼がロックミュージシャンという設定で、
これは意外とうまくいってたと思う。
演技はともかく、雰囲気あるね。
雰囲気といえば、全体にモッズ・ファッション」。

----モッズって?
「60年代から始まったロンドンの若者のライフスタイル。
映画でいえば『さらば青春の光』が有名。
成宮寛貴の服やバイクをはじめ、
いたるところに『さらば青春の光』へのオマージュが
散りばめられていたよ」。

----なんか甘ったるそうな映画だけど?
「ソフトフォーカスの多用と手作り感のある特撮映像…。
大林宣彦監督の初期の作品を思い出したね。
本当は今日は『エレファント・マン』も
喋ろうと思ったんだけど、これは後日だね。
もう疲れちゃった」。

----映画観てるだけなのに、よく言うにゃあ。

『山猫』ヴィスコンティ(byえいwithフォーン)

2004-09-07 20:22:37 | 映画
----『山猫』ってスゴいタイトル。
「これはねイタリアの巨匠
ルキーノ・ヴィスコンティの初期の傑作。
主人公が貴族で『山猫』というのは
その紋章。
いままでに何度か上映されているけど、
今回のは“イタリア語・完全復元版”」。

----どういうこと?
「この映画はテクニカラーで撮られているんだけど、
時を経るに従って色褪せを起こしたんだね。
161分の英語国際版(オリジナルは187分)もあって、
こちらはデラックスカラーにプリントしてあり発色はいい。
でも、物語としては明らかに劣る。
そこで10年以上前から、
撮影のジュゼッペ・ロトゥンノ監修で
復元作業が行われたというわけ」。

----なるほどね。で、どうだったんにゃ?
「映画自体はぼくが語るのもおこがましい。
ただ作られた時代が時代のため直接的描写は抑えながらも
彼の性的嗜好がにじみ出ているのは面白かったな。
で、話を戻してその<色>のことにしぼって少しだけ。
前半のハイライトとなる赤シャツ隊の戦い。
この赤シャツのくすんだ色が目を見張ったね。
なんでも、その褪色感を出すため、
紅茶で煮てから太陽の下に何時間もさらし、
最後に土に埋めた後で仕立てられたのだとか…。
昨今のCG頼みの映画からは想像もつかないこと。
ニーノ・ロータの音楽も、
彼がナチス・ドイツ占領下に書いた
未発表の交響曲なんだってさ。
まさに伝説のオンパレードだね。
あっ、ラストカットには猫も出ていたよ。
町を歩いてた」。

---いいよ、無理にあわせにゃくても。

『沈黙の聖戦』セガール (byえいwithフォーン)

2004-09-06 20:00:51 | 新作映画
----スティーヴン・セガールって、
昔、カップ麺かなんだかのCMやってた人?
「そう、『沈黙の戦艦』で有名になったけど、
日本との関係は昔から深い。
大阪で英語教師のバイトやりながら、
柔道、剣道、合気道、空手といろんな武道を修行してたんだ。
藤谷文子、剣太郎セガールの父親でもあるしね。
ま、それはともかく彼は
『刑事ニコ/法の死角』で映画デビュー以来、
全米ナンバーワンヒットを連発してたんだけど、
ここしばらくはパッとしなかったんだ」。

----なぜだろう?
「うん、ハリウッドのアクション映画が特撮メインとなって、
彼のような肉体バトルを売りにしたスターが
活躍する場が減ってたからじゃないかな。
でも彼は今回、すごいところに目を付けたね」。

----にゃんのこと?
「この映画の監督はチン・シウトン。
最近では『少林サッカー』『HERO』『LOVERS』の
アクション監督として知られるけど、
かつては監督としてもいくつも傑作を発表している職人肌の人。
『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』でのワイヤーワーク、
レスリー・チャンやジョイ・ウォンの飛翔シーンは
ほんとファンタジックだったな。
ワイヤーを吊るためにクレーン車を使うというのも
彼のアイデアなんだ」。

----で、今回はどうだったの?
香港の監督ってハリウッドで骨抜きになることが多いのでは?
「いや、セガールが監督にチン・シウトンを選んだのは
正解だね。
ワイヤーワークを使うことで、
セガール・アクションの威力が何倍にも凄く見える。
とにかく敵が派手にぶっ飛ぶんだ(笑)。
舞台をタイにしたのも生きている。
少々嘘っぽくても、
異国=異空間のことだからって感じで観ることができる」。

----手放しじゃん。いいの?
「いやいや問題はあるよ、たくさん。
物語は大雑把。細かい人物紹介や背景説明も抜きで、
ほんとうに辻褄があっているのか否か…?
だけど、そんなこと考える暇もなく
あれよあれよといううちに終わっちゃう。
でもそれって言い換えればスピーディってこと。
B級アクションってこれで十分なんじゃないの?」


お祭り(byフォーン)

2004-09-05 17:03:59 | Weblog
----このあたりは東京とはいえ、閑静な武蔵野のはずれ。
ぼくたち猫にとっては、まあ住みよい方かもしれない。
人間たちものどかなもので、
毎年、小さなお祭りを楽しんでるにゃ。
昨日、そして今日も近くの神社のお祭りで、
小さな神輿が町を練り歩く。
ぼくは出窓からおそるおそるだ。
おや、小さな女の子が神輿の上に乗ってるぞ。
なかなか器用だ。
バランスもとれていて猫の仲間に入れてやってもいいくらいだ。
だが、うちのアニキはヒネていた。
福岡出身と言うこともあり、
ちと祭りにはうるさい。
そりゃあそうだ。博多どんたくだの、山笠だの、祭りの本場。
「そういやあ『博多っ子純情』は…」。
----はいはい。

松尾スズキと映画(byフォーン)

2004-09-04 09:48:06 | 映画
----昨日アニキは映画に行けなかったらしい。
矢沢あい原作
『下弦の月-ラスト・クォーター-』の時間を間違えたのだとか。
栗山千明、成宮寛貴に加え、HYDEも出ているらしい。
あとでストーリー読んで「オモシロそう」と言っていた。
で、代わりに話してくれたのが最近読んでいた
松尾スズキの「宗教が往く」。
なんでも映画を使った比喩的表現がいっぱい出てくるらしい。

<釈由美子のグラビアを下敷きにしのばせ「『バトル・ロワイアル』って『エヴァンゲリオン』ぽいよな」とか言っているような、もう、名前を考える気もしないほどに退屈な高校生」>

<好きな映画は? と聞かれ『ベティ・ブルー』と答える奴以上におもしろくないことを喋っていることだけは確か>

とかいうように…。
でも、話聞いていちばんオモシロかったのは『ブレードランナー』の使い方。
待の騒音の中だかなんかに
「二杯で十分ですよ。分かって下さいよ」の名(?)セリフが
そっと忍ばせてあったらしい。
これってハリソン・フォード扮する主人公が
屋台でヌードル食べてるときの親父のコトバ。
『ブレードランナー』のタイトルも入れずに
そのままセリフ借用してるんだから、
ここにそのまま写しても松尾さんからクレームこないよ
と、アニキ言ってたにゃ。

『トリコロールに燃えて』(byえいwithフォーン)

2004-09-02 19:21:35 | 新作映画
----なに手のひら見つめてるの?
「いや、こんなんで未来が分かるのかな?と思って…。
今日観たのは『トリコロールに燃えて』という
30~40年代のパリが舞台の映画。
シャーリーズ・セロン演じるヒロイン、ギルダは14歳の頃に、
自分がそう長くは生きられないことを占い師に告げられ、
とにかく生き急ぐ。
そのため彼女は恋人のガイ、
スペイン内戦を逃れてきた親友ミアと共に
享楽的な生活を送るんだ」。

----あれあれ、今日は韓国映画のはずでは?
「ま、いいじゃない。スケジュールが変わったわけさ。
で、前半はどっちかというとベッドシーンたっぷりの愛欲もの。
ところがスペイン内乱の激化を受け、
ガイとミアが自らも戦うべく戦地に向ったあたりから
映画は別の側面を帯びてくるんだ。
共和党側に身を投じ、敗北を喫したガイはパりへ舞い戻る。
ところがそこにもナチスが進軍。
で、あろうことか、パリに残っていたギルダは
ドイツ将校の愛人となっている…。
そんな彼女に対して冷ややかなパリ市民の視線が
けっこうよく描き込まれていたね」。

----ふうん、こりゃあ大河ドラマだにゃ。
「そうだね。
ガイはその信条からしてレジスタンス組織に身をおく。
かくして物語は、
異なる思想、信条を持つ男と女
(ギルダの真意は途中まで伏せられているけど)の愛の行方は?
という方向へ舵を切る。
よくあるタイプの映画のように見えるけど、
レジスタンス活動をめぐるスリリングなアクションもあるし、
奥には<運命>と<人生の選択>をめぐるテーマが
重層的に横たわっていて、見方によってはオモシロいかもだね。
前半と後半のテイストが、
主人公のギルダの生きざまの変化に伴い、
まったく変わってしまうし…。
二本分の映画を観ている感じだったよ」。

----ガイとミアはだれがやってるの。
「ガイはスチュアート・タウンゼント。
彼ってヴァンパイヤなんか演じるより、
こういう役の方が逆に彼本来の美形がいかせる気がするな。
ミアはペネロペ・クルス。
彼女はデビューの頃の初々しさがすっかり消えてしまった。
シャーリーズ・セロンとの共演は少しかわいそう。
声もハスキーさが際立ってしまう。
あっ、ドイツ将校には『戦場のピアニスト』の
トーマス・クレッチマン」。

----ハリウッドって1本あたると、
続けてその俳優を同じ役で使いたがるにゃあ。
「ス・ル・ド・イ」(笑)。

MAC  OSXのバックアップ(byえいwithフォーン)

2004-09-01 22:38:01 | Weblog
----今日は堅そうなタイトルだにゃ。
映画はどうしたのかな?
「いや、フォーンも朝から見ててわかるように、
パソコンが不安定で、いつダメになるか?心配で…。
カーネルパニックは起こるし、
マウスはいかれるしで、
あわててバックアップとってたってわけ」。

----いつもバックアップには苦労してたよね。
「そう、普通のファイルはいいんだけど、
メールやお気に入りの保存方法が分からなくて…。
でももうバッチシ。
マウスもバックアップ用にって
親切なパソコンショップさんが貸してくれたし。安心安心。
ところが気が緩み過ぎて…」。

----どうしたにゃ?
「財布を忘れて行ったんだ。
で、亡くしたかもしれないしで、
警察に届けるわ、クレジット会社に電話するわで、
結局、部屋で見つかったんだけど、
届けは終わってたために
新しいカードができるまで使えないことになったんだ」。

----いいじゃないの。で、映画の話は?
「そんなわけで試写に行けなかったので、
松尾スズキの「宗教が往く」に出てくる映画の話でも、
と思ったんだけど、あと10ページ残ってるしな。
明日観る予定の韓国の映画で映画祭がらみの作品と一緒に喋るよ」。

----『オールドボーイ』なら話したよ。
「いや、別の映画。おたのしみに」。
----なんだ、それ。それよりそのシャケちょうだいよ。
「ダメ、塩分多いし、第一、骨があるだろ」。
----ブウブウ。
「猫はブウブウ言わない」。