ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『エレファント・マン』(byえいwithフォーン)

2004-09-12 17:26:35 | 映画
----これって昔の映画だよね。
「そう、もうすぐリバイバル公開するんだ。
監督はデヴィッド・リンチなんだけど、
当時、彼の名はまだ知られてなく、
感動ヒューマニズム映画として売っていてたのさ。
予告も、主人公の顔を見せないのはもちろんのこと、
アンソニー・ホプキンスの涙顔ばかり」。

----でも大ヒットしたんでしょ?
「うん。お涙ちょうだいプラス
怖いもの見たさとでも言うのかな。
その年のナンバーワン・ヒットだったと思う。
ところが、その後、デヴィッド・リンチが
ヘンな監督だと言うことが徐々に知れ渡ってくる。
TVでは「ツイン・ピークス」をやったり、
映画も『ブルーベルベット』だの『ロスト・ハイウェイ』だの
『マルホランド・ドライブ』だのだね」。
だからかどうか、今回の試写ではかなり笑いが起きたよ。
あまりにもリンチ=エキセントリックが知れ渡り、
“裏があるに決まってる”と観てる方も斜に構えたんだろうね」。

-----どんなとこで笑いが起きたの?
「たとえば、エレファント・マンが
身だしなみを整えるところとかだね。
おそらく、以前だったらここも涙を誘ってたような気がする」。

-----なるほどね。で、アニキはどう感じたの?
(※ここからはネタバレ注)
「いやあ、考えさせられたよ。
彼が劇場に芝居を観に行って紹介され、みんなの拍手を受ける。
その夜、彼の趣味であるペーパークラフトを完成させた後、
『終わった』と言ってベッドに横たわるんだけど、
そのとき、タブーであった“普通の寝姿”になる。
でもこの寝方だと、彼は死んでしまうんだ。
彼は、ただそれを試しただけなのか?
ぼくは『終わった』の言葉が、ペーパークラフトの完成だけでなく、
『これでやっと他の人と同じように認められた。
もう満足だ、やっと終わった』の意味。
つまり一種の自殺に取れたね。
ただ、その前に『また芝居に行こう』と言ってるのは気になるけど…。
で、ラストは星空。
彼のもう1本のストレートな映画、
『ストレート・ストーリー』のラストと同じだったね」。

----ふむ。同じ映画でも時代が変わると、
違った評価がされるということだにゃ。
ぼくも、そうかにゃ。