ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『オフサイド・ガールズ』

2007-06-13 15:36:14 | 新作映画
(原題:Offside)

----これってイラン映画だよね。
けっこう評判になっているみたいだけど?
「うん。なんと言ってもアイデアがいいね。
イランでは女性がサッカーの試合を競技場で観ることは厳禁。
でも、目の前で好きなチームを応援したいと思うのはファン共通の心理だよね。
そこで男性に変装して競技場に潜り込もうとする女性が続出。
これは、試合が始まる前にあえなく入場ゲートで捕まって
競技場内にある仮設の留置所に入れられた少女たちと
彼らを警察に引き渡すまで拘束する警備の兵士たちとの
駆け引きが描かれた映画なんだ」

----ニャるほど。これはある意味、
自分たちが属する国家への異議申し立てになっているんだね?
「そういうこと。
しかしこの映画、いったいどうやって撮影したんだろう?
冒頭に字幕でワールドカップ最終予選の
イランVSバーレーンの試合中に撮影したと出ることもあって、
一瞬、ドキュメンタリーを観ているかのような錯覚に陥ってしまう。
競技場には試合前から大行列ができ、兵士が入念なチェック。
ところがこの兵士たちがまるで俳優には見えないんだ。
ホンモノの兵士のようにリアル」

----ふうん。女性は競技場に入れないのに、
よく撮影できたよね?
「そこなんだよね。
一部だけど試合も映るしね。
実は、この捕まった中のひとりの少女が
トイレと言う名目で競技場内へ。
そこで脱走に成功して逃げ回るんだけど、
ここなんぞ、ほんとヤバいんじゃないかと思ったね。
おそらく吹き替えとかも使っているんだろうけど…」

----つまりドキュメンタリー的錯覚さえ持たせてしまうほどに、
よく作られたフィクションと言うことニャんだね。
「そういうこと。
海外での評価も高く、
実際、この映画を観たアフマディネジャード大統領は
スタジアムに女性席を設けようとしたらしい。
でも国会で反対にあったようだけど…」

----それはまたニャぜ?
「イランで試合に女性を同席させないのはその『騒音』が理由なんだって。
男たちの応援の下品な言葉を
彼女らに聞かせたくないのだとか。
と言うわけで、スタジアム内には女性トイレもなし。
映画では、これらの差別について食って掛かる少女と
受け答えにたじたじの若い兵士のやり取りも見モノ。
兵士が彼女らの拘束には
自分の生活がかかっていると訴えるシーンも切実。
ただ、ワンアイデアで引っ張りすぎたって気もしないでもない。
ラストの展開も予想がついちゃうしね」


   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ぼくはサッカーよりも映画に行きたいニャあ」ぼくも観たい

※そう言えばイラン映画って、これまで女性があまり出てない度
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