空和心律体

「道」を「楽」しむ極意を探して右往左往

これでいいのか「講習ビデオ」 

2012-02-04 19:59:38 | オフロード&林道ツーリング
運転免許の更新時に見た「講習ビデオ」で疑問に思う点がいくつかあり、交通安全協会に問い合わせてみました。


ビデオ:左折しようとする車の左横をオートバイがすり抜けようとして巻き込み(但し、車は一旦右に頭を振って左折動作に入る)

疑問:あたかも車を運転するドライバーだけに問題があるような内容だが、オートバイのライダーの運転の問題点(左折合図を出している車の左側をすり抜け)について何も触れていないのはおかしくないか?(ライダーであるドライバーも多いはず)

(回答) 
第1は左折時に車体を右に振って曲がる運転者についてです。
道路交通法第34条第1項には
車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端により、かつ、できる限り道路の左側端に沿って(道 路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
と規定されています。「あらかじめその前から」とは具体的状況によって一律には定められませんが、左折合図の開始時期については道路交通法施行令21条に「交差点の手前の側端から30メートルの地点」と規定されています。従いまして、左折車両は交差点の30メートル前から左折の合図を出し、かつ、左端に寄って左折しなければなりません、大回り左折すること自体が問題点です。
法の趣旨は、左折巻込事故、或いは後続車の通常の進行を妨害することを防止するためです。
左側端によって左折することにより、後続の二輪車等は前車の左側を通行することが物理的にできなくなりますので、左折巻込等の事故が防止できることになります。

第2は「二輪車等は左からの追越しであり、違反行為ではないか」についてです。
道路交通法第2条1項21号には、追越しの定義として
車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
と規定しています。
つまり追越しとなるためには、1.進路を変える、2.前車の側方を通過する、3.前車の前方に出るという三の要件が必要であり、進路を変えないものは「追抜き」で追越しとはなりません。また、追抜きを違反とする規定はありません

あなたのご意見は、「二輪車等も左側追抜きをしないで、前車の後ろを走行していれば左折時巻込事故も防止できるのではないか。」という趣旨だと思いますが、二輪車等の運転者にも注意を促す必要がありますので、今後の安全協会の交通安全指導の中で広報していきたいと思います。


ビデオ:大きな交差点の信号、停止している先頭の車の左右に後続のオートバイが並んで停車

疑問:オートバイの通行区分違反にはならないのか?

(回答)
第3は二輪車等の停止位置についてです。
二輪車が信号待ちのため、停止している車両の側方を通過して、前に出て停止するという光景をよく目にしますが、大きな交差点では、右左折時巻込事故防止のため、二輪車の停止線を普通車等の停止線の前に設置している交差点もあります。ご理解をいただきたいと思います。

最後に、講習用ビデオは自動車運転免許証を所持している自動車運転者に対するビデオです。
30分という短い時間内に、自転車・歩行者の視点からも納得できるビデオにするためには、自動車運転者に対する講習内容を 削減せざるを得なくなり、優良運転者講習用ビデをとしての趣旨に沿わなくなる可能性があります。しかしながら自動車運転者に対する講習内容につきましては、より良い講習内容になるよう努力をしていく所存です。 (←趣旨ってどんな?)


しかし、オートバイの停止位置について疑問が残るので次のように返信・・・


「左折時の二輪車・・・」の件は了解しました。
しかし、「二輪車等の停車位置・・・」については「すり抜け」、「割り込み」※という観点から考えると合点がいきません。
円滑で安全な交通を保つ為の方法としては理解できますが、いかがなものでしょうか?

※(割込み等の禁止)
第32条 車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない


尚、関東では二輪車用の停止線は「危険なすり抜け」を助長するものとして解除されている箇所も増えていると聞きますが・・・

(回答)
(財)静岡県交通安全協会は、交通安全教育、交通指導、交通広報等を通じて交通事故防止のため活動をしております。本年11月末の事故状況は、死者こそ減少しているものの、件数・負傷者ともに、増加しております。特に二輪車事故につきまし ては、発生件数は5,526件(前年同期比+4件)でありますが、死者数は41人(前年同期比+14人)と急増しており憂慮する状況にあります。そのため、交通安全協会としましても、警察、交通関係各種団体と連携しつつ、安全で安心な地域づくりのため努力しているところです。ご理解いただきたいと思います。

貴方のように、交通ルールを順守し、交通マナーの実践に心がける二輪ドライバーが多くなれば、二輪車事故も減少していくものと思います。今後も二輪ドライバーの事故防止にご協力くださるようお願いします。

(↑ヨイショされてもね~
 
なお、道路交通法第32条について条文を解釈しますと
○ 割込みとは、前方にある車両等の狭い間隙に無理に侵入することですが、最前方に停止している車両等の直前に進出する場合も含まれる。しかし、楽に侵入できるスペースがある場合や、前の車両等の進路になんらの妨げとならない場合は、割込みとはならない。
○ 前方を横切るとは、前の車両等の側方を通過して、その車両等の直前で右左折すること。
と解説されています。

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最終的にうやむや・・・いかにもお役所的な回答にがっかりでした。
この程度で安全運転を推進しているという姿勢が納得できないので、丁重に協会費の納入はお断りしております。
しかし、こんな風に間違い探し(?)をしながら見ていると30分も短く感じるものですね。

追記

・オートバイ(原付)のすり抜けは違反でなくても、現状では左側をすり抜ける場合は路側帯を通行しなければ前に出られないことが多いと思います。(これは立派な?違反です。) 

・ビデオの中にKATANAが出てきますが、僕が乗っていた当時(28~20年前)では違法改造車(車検は通りません)になります。今は法改正でOKなのかな?まさか公のビデオのモデルライダーが違法改造車に乗っているわけはないですよね・・・