年末年始の過ごし方というと、
これまでは駅伝などのスポーツ観戦、
休みを利用した走り込み、
ちょっぴり家の手伝いと
読みたかった本のまとめ読みなんかが主流であった。
それが今は、時も流れて境遇も変わり、
別に年末年始じゃなくても、
体調と相談の走り込みは別にして
いつでもそれができる環境の中にいるし、
読書も実際読みかけたら
一気に最後まで読み切ってしまうような読み方も
日常的に可能という暮らしになっている。
さすがに、徹夜で本を読むほどの
気力、体力はなくなったが、
いつもそばに文庫本を置いたまま、
ライター仕事の合間や
ジムのエアロバイクをこぎながらなど、
少しでも時間があれば
ページを繰ったりすることはできる。
そうしてもっとも最近に一気に読んだ本で、
一番印象に残っているのが、
田郁が書いた
「銀二貫」
「大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本」
を選ぶ「Osaka Book One Project」の
第1回受賞作品で、
大阪の寒天問屋を舞台に繰り広げられる人情話である。
首Dさんに貸していただいた。
この本を読むまでは
寒天というものが
どういうものなのかがはっきりわかっていなかった。
それがこの本を読んで、
今も海藻を原料としており、
「寒天」の名前の由来にもなっているように、
寒空に干して並べるその製造作業が
大変厳しいものであることを初めて知ったし、
その寒天が羊羹の材料であることも
改めて認識した次第である。
ドジ旅日記で書いたように、
最近マイブームになっている
「スポーツようかん」の原料の欄を見ると、
確かに「寒天」の記載がある。
羊羹ひとつとっても深い歴史があり、
その先端でこんな形にまで進化してきたんだと思うと、
口に入れるときの思いや
味わい方が少し変わってきたりするものやね。
この本を読んでからは、
コンビニの羊羹も妙に気になるようにもなった。
「銀二貫」の物語は、
そんな寒天の歴史にまつわる商売の話や、
大火事の話、
恋愛話が絶妙に練りこまれた
上質の羊羹のような話というのが、
ちょうどぴったりくる書評かもしれない。
現在NHKでドラマ化がすすめられており、
来春4月から全9回に分けて
毎週放映の予定だそうである。
だったらテレビで見たらいいやんと思わずに、
気持ちがほっこりなること請け合いですから、
羊羹とお茶でも用意して、
年末年始のひと時に、
一気読みされることを是非お勧めしたい1冊であります。