親父の体調も良く、
穏やかに年末年始が迎えられるかな
と思っていた矢先、
今度は母親のスーちゃんが入院をした。
入所している施設内で軽く転倒をしたようで、
整形外科に行きレントゲンをたっぷり撮ってもらい
骨の検査をしたのですが、その時は異常はみられなかった。
しかし2、3日してもやはり腫れがひどく
内出血もしているようなので、
あらためて内科診療も受けてみたら、
右大腿部の奥で血管が破れ、
足の筋肉の中に1リットルあまりの出血があるとのこと。
そのため即座に入院となった。
原因は血管の硬化によりもろくなっていたところへ、
ちょっとした衝撃が加わったことにより
血管が破れたためであるとのこと。
今回は足の筋肉の中だったからよかったものの、
もしこれが内臓系の臓器からの出血だったとすると
止めようもなかったらしい。
足で済んだとは言うものの、
原因が原因だけに
さらに出血ヵ所が増えないとも限らないから、
入院して様子を見ましょうということになった。
足がパンパンに腫れるほどの出血なので、
輸血も必要だということもある。
治療は当分の間、安静と点滴。
それにしても親父といいおふくろといい
いろんな病気があるものだ。
そのたびに対処方法を学んでいる。
こうして親は、子どもに
老いるということを身をもって
教えているような気がしてならない。
年末年始の入院ということで
もし忙しくしている人なら、
空調の行き届いた病院で
のんびりするのも悪くない
と開き直れるのだが、
高齢者だとそうはいかない。
ましてや軽い認知を抱えている身であると、
じっとしているだけでも老化は急激に進行する。
加えて、無意識に点滴を抜こうとするので、
同意の上で、手を軽く拘束されているから
体を大きく動かすことはないため、
なおさらそのことが激しく心配される。
なので、毎日見舞いに行き
刺激を与えてやることにした。
寒い日には、冷たい手で
出血して腫れている患部を触ってやると
「冷たいよ~」と笑いながら声を上げる。
これは、スキンシップにもなるし
刺激にもなっていいかもしれないと思い、
最近はこの行為を多用している。
点滴による栄養摂取なので、
食べ物をあげることができないのは
コミュニケーションを薄くしてしまいがちで、
そんな感覚刺激も大切だと思うのだ。
見舞いに行った時、
しばらく、何をすることもなく
ベッドの横に座り、
時折目を開ける母親を見ていると
切ないことこの上ない。
そして一時間ほど横にいて、
「じゃあ帰るわ」と言って
目の前で手を振ってやると、
拘束されている指先で
グーパーをしてくれるのが、
なんとなくうれしかったりするものだ。
幸い、症状もおさまり、
腫れも引きつつあるので、
もう少ししたら食事の経口摂取も可能になるだろう。
今日、「早く帰りたいな」
て話しかけたら「うん」と言う。
「どこに?」と聞いたら施設の名前を言った。
胸がキュンとなった。