沖縄戦での犠牲、
広島、長崎の原爆に加えて、
今年は行方不明者含めて
2万人にものぼる東北大震災の被災者の魂に
祈りをささげるお盆が間もなくやってくる。
8月は日本の鎮魂の季節だ。
とりわけ今年の東北では、
多くの精霊が初盆を迎える。
しかし、津波に流された被災者の家族には
多くの場合、盆を備える祭壇もない状態だろう。
お盆というのは、
昔からある風習だけど、
歴史が長いだけに
各地でいろんな形に姿を変えて、
独特の風土の習わし、風習となって、
残っている。
今回の被災地である盛岡では、
盆の送りのお供えや
戒名などを記した札とともに
爆竹などを積んだ船に乗せ、
船ごと燃やしながら川に流す
「船っこ流し」
が行われているのだが、
今年も行われるのだろうか。
何より、今年は海に流されて
行方不明の人が多い。
人々にとっては
多くの恵みを注いでくれるが聖なる海も、
今年ばかりは浮かばれない霊がさまよう
彷徨の海となっている。
津波は、物を人を飲み込んで連れ去っていったが、
その傷跡はまだ、
えぐれた海岸線同様に、
静かにお盆を迎えようとする人々の心さえ
かき乱したままだろう。
夏の光にきらきら光る、
一見静かな海も、
今年ばかりは深い悲しみを湛えて
人々のすぐそばに横たわっている。
多くの悲しみの甦る盆がもうすぐやってくる。