3月2日に開幕した2013年のJリーグ・ディビジョン1も、12月7日で最終節を迎えました。優勝争い、大混戦のACL出場権争いもこの日で決着。J1王者の栄誉を勝ち取ったのは横浜Fマリノスか、それともサンフレッチェ広島か?
鹿島アントラーズ(勝ち点59)0-2サンフレッチェ広島(勝ち点63)@カシマサッカースタジアム
優勝の可能性を残している2位・広島と3位・鹿島の直接対決となったこの試合、広島にとっては絶対に負けられない一戦でした。
前半4分、広島は右CKから水本裕貴が頭で合わせますが、GKに防がれて得点ならず。対する鹿島は大迫勇也が8分と12分にシュートを放つも、ゴールを奪う事ができません。無得点で迎えた前半35分、広島は高萩洋次郎が敵陣中央から右サイドへスルーパスを入れ、DFラインの裏へ抜け出していた石原直樹が冷静に右足ループシュート。ボールはゴールに吸い込まれ、広島が1点を先制します。1点を追いかける立場となった鹿島は、前半アディショナルタイムに大迫がこの日2枚目のイエローカードを貰い退場となってしまいます。
後半、数的有利に立った広島は8分、ゴール前の混戦から佐藤寿人がシュートを狙うも相手DFのブロックに阻まれて追加点を挙げられず。エースを欠く鹿島もダヴィを投入して反撃を試みるも、広島DF陣の堅い守備を崩せません。そして後半35分、ペナルティエリア手前で青山敏弘が右サイドへパスを出すと、清水航平のグラウンダークロス→最後は石原が右足で合わせて2点目!広島に大きな追加点が入りました。後半42分にファン・ソッコが退場となりましたが、アディショナルタイムの鹿島の反撃を抑えて試合終了。広島が2-0で快勝し、鹿島との直接対決を制しました。
浦和レッズ(勝ち点58)2-5セレッソ大阪(勝ち点59)@埼玉スタジアム2002
共にACL出場権に望みを繋いでいる同士の一戦は、前半から点の取り合いとなりました。
まず前半24分、柏木陽介の縦パスを受けた原口元気が右足シュートを決め、浦和が1点を先制。しかし、セレッソは前半40分に杉本健勇の左足シュート→相手DFの足に当たってコースが変わり、ボールはGKの頭上を越えてゴールイン。ラッキーな形で1-1の同点に追いつく。さらに前半終了間際、ゴール前の混戦から柿谷曜一朗の左足ボレーシュートはDFに当たって右サイドへ。南野拓実がこぼれ球を押し込み、セレッソが2-1と逆転に成功します。後半8分には柿谷がペナルティエリア左から右足を振り抜き、ゴール右隅に突き刺して3点目。柿谷のビューティフルゴールで3-1と2点差に拡げます。
後半27分、浦和はCKから興梠慎三が右足を叩きこんで1点差に詰め寄りますが、その3分後の31分、セレッソは右サイドのクロス→枝村匠馬のヘディングシュートはポストを直撃すると、枝村がこぼれ球を2度押し込もうとするも、浦和DFに阻まれたが、最後はゴール中央に詰めていた柿谷のごっつぁんゴールで浦和を突き放す。後半41分には南野のダメ押しゴールで5点目。柿谷・南野・杉本の若手攻撃陣の活躍で、セレッソが浦和との乱打戦に勝利しました。
川崎フロンターレ(勝ち点60)1-0横浜Fマリノス(勝ち点62)@等々力陸上競技場
優勝に最も近い首位・横浜Fマリノスですが、前節のホーム最終戦でアルビレックス新潟に痛恨の敗戦で足踏み。勝てば9年ぶりの優勝決定となる最終節は、アウェー・等々力に乗り込んで5位・川崎フロンターレと対戦しました。
前半10分、マリノスは中村俊輔のロングパスに反応した小林祐三がドリブルでペナルティエリア内まで持ち込むと、こぼれ球をマルキーニョスがシュートを打つも川崎DFのブロックに阻まれる。ACL出場権を目指す川崎は前半20分、右サイドのFKをレナトが左足で直接狙ったが、惜しくもクロスバーを直撃。川崎は24分にレナト、27分に中村憲剛がシュートを放つが、得点を挙げられず。前半は0-0で折り返し。
後半9分、川崎は憲剛が自陣で俊輔からボールを奪ってからカウンターを仕掛け、大久保嘉人が左サイドからミドルシュート。これを横浜GK・榎本達也がパンチングすると、こぼれたところを大島僚太が拾って折り返し、最後はレナトが左足で流し込み、ホーム・川崎が先制点を奪う!
優勝するには2点が必要となったマリノスは、後半22分に藤田祥史を投入して攻撃の層を増やし、後半31分にはゴール中央でFKを獲得し、俊輔が左足で狙うもGKにキャッチされてしまう。39分にはマルキーニョスが左サイドから左足を振り抜くもサイドネットに当たる。なかなか1点を返せないまま時間だけが過ぎて行き、後半アディショナルタイムにマルキーニョスが頭で合わせるもポストに嫌われ、さらに斎藤学もドリブルで切れ込むも川崎DFの壁を破れず。終了間際に俊輔がFKを蹴るも、川崎GK・西部洋平の好セーブに阻まれ、直後の右CKもクリアされ無情のタイムアップ。神奈川ダービーは川崎フロンターレが1-0で勝利。マリノスは2戦連続の完封負けで2連敗となりました…。
年間優勝争い&ACL出場権争いに遂に終止符が打たれました。首位の横浜Fマリノスが川崎に敗れて勝ち点62止まり、2位の広島がアウェーで勝ち点3をもぎ取り、勝ち点63で逆転!サンフレッチェ広島が2年連続でJ1優勝を果たしました!広島は第32節を終えて首位との勝ち点差が「5」もあり、連覇は絶望的かと思われましたが、残り2戦で勝ち点5差をひっくり返しての奇跡の逆転優勝。Jリーグ連覇は史上4チーム目です。2012年に森保一監督が就任してからリーグ連覇、天皇杯もベスト8まで勝ち進んでおり、2冠獲得も期待されます。2年続けてタイトルを獲得し、「広島黄金時代」がようやく到来ですね。
9年ぶりの優勝を逃したマリノスは、王手をかけながらも連敗でV逸。試合終了の瞬間、キャプテンの中村俊輔選手が泣き崩れました。開幕から6連勝と勢いに乗り、一旦は4位まで落ちたものの、持ち直して首位返り咲き。その後も首位をキープして優勝間違い無しかと思われましたが、残り4試合で1勝3敗と失速してしまいました。俊輔選手が35歳にして自己最多の10得点を挙げれば、マルキーニョス選手が16得点、ベテランの2選手の存在感は非常に大きかったです。それでもラスト2試合で勝てなかったのは痛かった…。
ACL出場権争いでは、前節3位だった鹿島、4位の浦和が共に敗れ、神奈川ダービーでマリノスを破った川崎が勝ち点60で3位に浮上し、逆転で来年のAFCチャンピオンズリーグの出場権を獲得。勝ち点59で4位のセレッソ大阪は天皇杯の結果待ち。5位の鹿島アントラーズは7年ぶりの無冠、開幕前に大型補強を行った浦和レッズもACL出場権を逃しました。
その他の試合
アルビレックス新潟(勝ち点55)2-0名古屋グランパス(勝ち点47)
現在4連勝中の新潟は、後半20分に川又堅碁が今季23点目のゴールで1点を先制すると、後半38分には田中亜土夢が追加点を奪う。新潟は名古屋を下し5連勝。チームも7位と健闘しました。
FC東京(勝ち点54)2-0ベガルタ仙台(勝ち点45)@味の素スタジアム
FC東京は後半8分、今季限りで引退を表明しているルーカスが先制ゴールを決めると、終了間際に途中出場・平山相太が追加点を挙げ、2-0で仙台に快勝。昨季2位と健闘した仙台は、今季は13位と低迷しました。
清水エスパルス(勝ち点50)1-2柏レイソル(勝ち点48)@IAIスタジアム日本平
序盤に先制点を許した柏は、前半34分に太田徹郎の同点ゴールで追いつくと、後半38分に田中順也の左足ミドルシュートで逆転。
ジュビロ磐田(勝ち点23)3-1大分トリニータ(勝ち点14)@ヤマハスタジアム(磐田)
共に来季J2降格が決まっていている同士の一戦は、前半18分に大分が先制するも、磐田が山崎亮平の連続ゴールで逆転すると、山本康裕がダメ押し弾。磐田が「裏天王山」を制し、連敗を5で止めました。
湘南ベルマーレ(勝ち点25)0-1大宮アルディージャ(勝ち点45)@Shonan BMWスタジアム平塚
0-0で迎えた後半29分、大宮は下平匠が左サイドからロングシュートを豪快に決めて1点先制。これが決勝点となり、大宮が2連勝。
ヴァンフォーレ甲府(勝ち点37)0-0サガン鳥栖(勝ち点46)@山梨中銀スタジアム
4連勝の鳥栖はアウェーで甲府と対戦しましたが、両チームとも決め手を欠きスコアレスドローでした。
2013年の「J1」は、サンフレッチェ広島の逆転優勝で幕を下ろしました。得点王争いでは、26得点を挙げた大久保嘉人選手が自身初の得点王に輝きました。31歳にして自己最多のゴール数を記録し、移籍1年目でチームの柱として大暴れしました。最終節でゴールを決めた川又堅碁選手が2位、ザックジャパンにも選ばれている柿谷選手は21得点で3位、大迫選手は19得点を挙げました。今年大ブレイクした川又選手、ザックJAPANに選ばれるといいですね。
序盤は大宮アルディージャが怒涛の快進撃を見せ、「21戦無敗」のJ1記録を打ち立てましたが、後半にズルズルと大失速。浦和レッズも優勝争いの中にいましたが、3連敗で終戦。年間王者に3回も輝いたジュビロ磐田がJ2に落ち、J2で優勝したガンバ大阪、2位のヴィッセル神戸がJ1に帰って来ます。ブラジルW杯イヤーの2014年シーズンは、王者・広島の3連覇を止めるチームは現れるのか?