書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

NHK大河ドラマ「天地人」

2009年05月31日 22時44分20秒 | テレビ
天地人,毎週見ています.

篤姫も面白かったけど,この天地人は今までの大河ドラマにない魅力を感じます.
それは,主人公,直江兼続の人物の魅力が,武士としての才能とか大将としての器とか,いわゆる歴史小説上の魅力に固執せずに,人間としての魅力そのものを引き出している点にあるような気がします.

人が人に惚れるというのはどういうことなのか?ということをとてもよく表現できている気がするのです.

考えて見ると,今までなかったですよ.こういう大河ドラマって.

今までの大河ドラマを見ていて,物語としては楽しめても,あ,こんな主人公みたいになりたいな,とは決して思わないでしょう?

でも,天地人をみていたら,ああ,直江兼続みたいな人物になりたいなあって,真剣に思いますもの.もちろん,それは叶わないけどね.

ただ,それは,豊臣秀吉になりたくてもなれない,というのとはちょっとニュアンスが違うと思いませんか?

言っている対象が,才能とか,地位とかじゃなくて人間性なんですよね.

ちょっと,うまくいえないんだけど...

「兼続みたいな考え方」ができたらいいなあ.というと少し近いかも知れません.

「1ポンドの悲しみ」石田 衣良

2009年05月30日 21時26分01秒 | 読書


池袋ウエストゲートパークシリーズの作者が書いたとは思えない短編恋愛小説集.
恋愛に臆病な,特に30代以上の男女に勇気を与えてくれるんじゃないかな.
1500円でできる恋愛の疑似体験.

coollife的には,本と男の好きなOLが,会社に出入りするコピー機のセールスエンジニア(意外に本好きで,しかも物知りであることに気が付く)に,徐々に引かれていく物語「デートは本屋で」が良かった.

どれも,ほのかな希望を感じさせるエンディングがいいですね.

多分,恋愛に苦労してきた人から見たら,「こんなにうまく行くなら人生苦労はないわよ」と,言われるかもしれません.
でも,この小説を読むと,その苦労は「あなた自身が生み出してきたもの」なんだということがわかるはず.
この物語のヒロイン達のように,未来志向に人生をシフトしてみてはいかがでしょうか?
たかが男,されど男という心境になれば,あなたも恋愛の達人です.

日記が書けない!

2009年05月27日 21時23分00秒 | 日記
スランプってわけじゃないですよ.
ネタは山ほどあるんです.

誤解がないように,説明しますと,日記に「書くとやばい」事ばかりが起きているということです.
と申しますのは,私,この4月から学科主任なる役目を仰せつかりまして,今までの研究と教育以外に共通的な業務が加わったのですな.公式には.

その主任の仕事ですが,これがね.[m:246]
主任とは名前ばかりで,実際は各種クレーム担当兼,よろず相談窓口兼,各種書類作成担当兼,先生方のご意見承り係兼,...etc

日記ネタとしては,かなり面白い出来事が毎日のように我が身に降りかかってくるのですが,書けないネタばかりなんです.

10年位して,退職したら思い切り書いたろかな.

「白夜行」東野圭吾

2009年05月23日 20時11分30秒 | 読書


魔性の女・唐沢雪穂と,天性の犯罪者・桐原亮司.

しかし,彼らの犯罪の根っこには,子供のころの,誰にも明かすことのできない秘密があった.

雪穂はその美貌と天才的な頭脳で,社会の上層階級に上り詰めていく.しかし,もともと貧しい家の生まれであることや,母親がいかがわしい仕事をしていたこと,そして何よりも小学生時代の忌まわしい出来事は,決して知られてはならない秘密だった.
その秘密を知った者は,桐原亮司の助けを借りて,次々と殺されていく.
雪穂は結局,何人もの人を殺すことになるが,一つの殺人がばれそうになると,次の殺人を起こすことでそれを逃れていく.
怖いです.
雰囲気としては,ミステリーというより,雪穂が出てくる場面ではホラーっぽくすらある.
しかし,最後に明かされる,驚愕の事実が,事件の動機でもあり,雪穂の精神的土壌を形成していることが明らかになる.

雪穂の「男の人の愛し方がわからないんです」というせりふは,一見相手に媚びるような表現でありながら,実は本音かもしれない.

あんな悲惨な体験を,小学生のときにしたなら,そうなっても無理はないかも知れないと思わせる.

上下2段組で500ページの大変な長編ですが,一度も飽きることなく読み通させる筆力はさすが東野さん.

最後の幕引きには,賛否ありそうだが,それも計算の上でしょう.

この圧倒的な物語性と伏線の数々.

お見事というしかない.

「東京DOLL」石田 衣良

2009年05月15日 17時58分59秒 | 読書


過去の書評を読むとサンザンですね.

新鮮味がないとか,過去の人物設定の焼き直しとか...
ヒロインの「ヨリ」に魅力が無いとか.
皆さん言いたい放題.

いわゆる業界モノですよね.
ゲーム業界のことを世の中の人たちはよく知っているのだろうな.
だから,実態と違うとか,違和感を感じて批判するわけ.

でも,私なんかの場合,ゲームクリエータ業界なんて未知の世界そのものですから,この小説は十分に面白かった.

それと,主人公のMGみたいに,もててみたいっ!!!ていうのが本音です.すいません.

あと個人的には,「ヨリ」よりも,「裕香」の方が好きですw.

ただ,最後のどんでん返しがちょっとね.
あまりにイージーかなという感じはしましたけど.

あと,エッジ社から送り込まれたスパイ,立野君の役割をもう少し,じっくり書き込めば,小説としての厚みが格段にアップしたんだけどね.惜しい!

でも,書評で言われているほどひどい作品ではないと思います.

まあ,そんなところで.

「容疑者Xの献身」東野 圭吾

2009年05月13日 12時41分07秒 | 読書


これは面白かった.
今年の上半期のベストワンかも.

映画化されているし,原作もずいぶん話題になっていたのに,なぜかこんな時期までほっておいた自分がくやしい.

もっと早く読みたかった.

トリックもすばらしいけど,そのようなトリックを使わざるを得なかった,犯人の心根が哀しい.
真の思いやりとは,本当の愛とはこういうものなのか.

ガリレオシリーズでは,どちらかというと,これまでは「上から目線」かつコミカルなタッチだったが,この小説では犯人に対する同情と哀切な思いが交錯したものへと路線変更しています.

ミステリーなのであらすじは書きませんが,理系心をくすぐる表現も満載.
でも,その奥に哲学がちらちらと見え隠れする.
そういえば,数学ってscienceじゃないんだよね.
数学は自然科学ではない.
哲学に近いかもしれません.

この小説には,出てこないけど,こういう文章を思いつきました.
「報われないことを承知の上で人を愛し続けることと,報われないならその人を諦めることと,どちらが簡単か?」

就職戦線異常あり

2009年05月09日 14時18分59秒 | 日記
「シューカツ!」に因んだ話題.

今年の就職戦線は厳しいですね.

去年と比べると,まさに天国と地獄.

去年のこの時期は,半分くらいはそこそこの企業に内定が決まっていました.

しかし,今年は,まだ2~3割くらいでしょうか.

ところで,近年就職活動が早期化していて,これが実は大学の教育を非常に圧迫しています.

昔は,就職活動といえば,4年生になってから.

だから,卒論と就職活動の両立に悩むことはありました.

しかし,今は,3年生から始まっちゃうので,就職活動のために3年生の授業に出られないということが頻繁なのです.

特に理系の場合,専門科目の中でも,特に重要な科目が3年生に多く開講されるので,肝心要の学士力をつけるための授業に出られずに就職活動をやっているという,わけのわからない状態になっている.

『就職活動のため』というのは,学生にとって水戸黄門の印籠のようなもので,このためなら何でも許される傾向にある.

でも,大学卒として就職しようとしている学生が専門科目をさぼらざるを得ない状況はやはり異常です.

これは1企業ではどうしようもありません.
新卒採用に関して,業界全体で早期化に「待った」をかける手立てを講じなければ,大学教育全体がゆがんだものになってしまいます.いや既になっていると言ってもいいでしょう.

「シューカツ!」石田衣良

2009年05月09日 14時14分31秒 | 読書


就職活動に悪戦苦闘する7人の大学3年生.
7人とも,テレビ局,新聞社,出版社などのマスコミ志望.
ヒロインの水越千晴クンはじめ,7人の同級生メンバーで,シューカツプロジェクトを作ります.
お互いに模擬面接をしたり,エントリーシートを批判しあったりして,皆で合格を勝ち取ろうという目論見.

マスコミという特定の業界だけだけど,人事担当の人などに,かなり,綿密に取材していることがわかります.その意味でも面白かった.

点数だけでなく,採用担当者の主観がかなり合否に影響するのだなあ,とかね.

それと,若者の生態を書かせたらこの方の右に出るものはいないですね.
千晴のバイト先のファミレスでフリーターしている男のセリフはいかにも,今風で面白い.

物語としては,すごく面白かったけど,啓蒙書としては世の中の大学生の参考にはならないかもしれません.

というのは,千晴もそうだけど,7人のメンバーが皆デキルやつら.

リーダー格の圭は超難関の全国紙新聞社の全てから内定取るような切れ者だし,千晴の親友の恵理子は,超美形の帰国子女で,某在京キーテレビ局の女子アナとして内定してしまうような才女.

表面だけ見たら,あちゃー,こんなグループ無いだろ!って感じです.

それを割り引いても物語としては面白い.
いわゆる,サクセスストーリーなんですよ.
苦労や困難を乗り越えて,栄光をつかむぞお!の物語でした.

ただし,今現在,就職活動で苦労している人には勧められません.
一般人が見たら,やる気をなくすような場面が満載なのです.

手紙

2009年05月05日 18時54分42秒 | 日記
娘がピアノの練習をしていたときのこと.
普段の練習曲でなく,私の知っている曲を引き出した.
あ,何だっけこの曲?

そうか,「手紙~拝啓15歳の君へ」だった.
アンジェラアキさんの曲をピアノピースに編曲したもののようです.
そういえば,昨日,何だか知らないが,楽譜を買ってきたようだったけど,これだったのか.

この曲,いいですね.

この春,おそらく日本中でいちばん歌われた曲のひとつでしょうね.

ほとんどの中学校の卒業式では,この曲が歌われたようですし,NHKの全国中学合唱コンクールの課題曲になったおかげもありました.

この曲を聞いていると,とても勇気づけられる.
これは想像にすぎないけど,15という,子供でもなく,大人にもなりきれていない,不安定で,不安なことばかりの年の子供たちにとって,今の気持ちをズバリと表現してくれているのではないでしょうか?

15歳に限らず,人生はいくつになっても不安だらけです.
私もこの年でも,悩み続けている.

でも,結局,いろいろ考えていても始まらない,ということはわかってきました.

ただ,夢中になって走り続けるしかないのですよ.

もちろん,実現可能な目標と,周到な計画は重要です.
それがないと単なる無謀にすぎない.

でも,敷かれたレールを走るだけでは自分の人生とは言えないことも事実なのです.

自分で決断し,その決断に対して自分自身で責任を取るというか,自分でその結果を背負うという覚悟をどこかでやらないと,自分の人生とはならないし,それができて初めて大人の仲間入りができたことになるのです.

自分の進路を,親が反対したら,それは,自分にとって自分の人生を歩き始めるチャンスなんですよ.

そのかわり,その結果は全て自分の責任になります.

泣き言や,他人のせいにする生き方とはお別れしなくてはならないです.

日本中の15歳が大人への一歩を無事に歩き始めることを祈ります.

球泉洞

2009年05月03日 23時39分17秒 | 日記


今日,かみさんと娘と私の3人で,熊本の球泉洞(きゅうせんどう)というところに行ってきました.
球泉洞は熊本では最大の鍾乳洞ですが,秋吉台の秋芳洞に比べるとかなり小さいようです.
30分くらいで見学できてしまうのですが,いままで知らなかったことをいろいろ学べて楽しかったですよ.
その一つが,写真にあるフローストーンという丸い石灰岩の集合体のようなもの.
鍾乳洞というと,上から落ちてきた水滴が下に当たって再石灰化してできた,石筍が有名ですが,鍾乳洞内にも川のような水の流れがあり,それが再石灰化してできたのが,フローストーンというもの.

球泉洞のすぐそばに,エジソン博物館というのがあり,なんじゃ?と思い,見物してきました.
こじんまりした博物館ですが,エジソンの発明物の貴重なコレクションがあり,なかなか見応えがありました.
それにしても,エジソンはすごいですね.
電話,電球,レコード蓄音機,電気自動車などなど,我々の日常を取り囲むもので,エジソンの発明の延長にないものを探す方が難しい.
アスファルトなどもそうらしい.
1000件以上の特許を取得したようです.

エジソンの偉大さにあらためて驚いた後は,近くの大野温泉センターというところで温泉につかり,夕食を食べて帰ってきました.

全く,無目的なワンデイドライブなのですが,我が家では,よくやります.
基本は渋滞を避けるということと,食事が美味しそうなところを探しておくということ.
ところで,エジソン博物館のロビーから,球磨川下り舟をトラックに積み込むところを偶然見つけました.
船は,このトラックで上流に運んでもらい,そこでお客を乗せて,さっきの場所まで流れに乗っていくというわけです.
川下りの船は,下りはもちろん川の水の上ですが,上るときは,トラックの上なんですね.

なかなか楽しい一日でした.

「お互いに」って?

2009年05月02日 13時44分12秒 | 日記


近くのツタヤのトイレ.
トイレの注意書きには,思わず笑っちゃう表現があります.
受け狙いじゃないだけに,この場合,かえって面白いかもしれませんね.
「お互いに」と言いたいのはわかる気もするのですが...

「一歩前に」っていうのは古典的な例ですが,単に「汚すな」という意味の表現より柔らかくていいかもしれません.

それと,最近は「いつもきれいに使ってくれてありがとうございます」というトイレも見かけます.

私など「汚すな」と書かれると,汚してなんかないぞ!と,思ってしまう.
つまり,「汚すな」という文章はトイレをきれいに使わない人を対象に書かれているのに,その文章は全員が読まされるという問題があるわけです.

でも,考えてみたら,トイレを汚すような人が,「汚すな」と書かれた文章を読んで心を入れ替えるとはとても思えない.
やはり,そういう人はトイレを汚すのです.

だったら,普段きれいに使っている人に感謝の言葉をかける方がよっぽど良いでしょう.

そう書かれれば,これからもきれいに使い続けようと思いますもの.

こういう,公衆道徳に関するガイダンス表現は,効果があるものにするのはかなり難しいと思われます.
例えば,公園でゴミ箱がすぐに一杯になってしまうので,「ごみを持ち帰りましょう」というカンバンを立てても,一向に効果はないそうです.
なぜなら,ごみを捨てる人は,わざわざ自宅からゴミを持ってきて捨てているそうなんです.
そんな人が,カンバンを立てたくらいで,ゴミを持ち帰るはずがない.

この場合の,最善策は.....そう,
公園からゴミ箱を撤去しちゃうことなんです.

ゴミ箱が全くなければ,さすがに自宅から持ってきて捨てるのは気が引けるらしい.

いやあ,まさに心理学ですね.深いです.