書く仕事

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「鍵の掛かった男」有栖川有栖

2016年03月23日 00時06分06秒 | 読書
「鍵の掛かった男」有栖川有栖



大阪は中之島にある老舗ホテル,銀星ホテルに「住んでいる」老いた男,梨田が,2億円のお金を持ったまま自殺する.
梨田の謎にあふれた人生.
彼は何のために一人でホテルに住んでいたのか?

はたして,梨田は本当に自殺だったのか,

絡まり合い,解けない結び目だらけのような謎に満ちた梨田の人生を,糸を1本ずつほぐすように,解明していく探偵,有栖川.
やがて天才犯罪学者,火村の協力を得てさらに謎解きの輪を狭めていく.

東野圭吾のような派手さやドラマチックさはないが,実に緻密に練り上げられた小説で,しかも極端に無理な推理もなく,淡々と,安心してついて行ける展開だった.

佳作だと思う.

「K2 池袋署刑事課神崎・黒木」 横関 大

2016年03月01日 23時53分14秒 | 読書
「K2 池袋署刑事課神崎・黒木」 横関 大



池袋署の若手2人の刑事,黒木と神崎.
警察学校の同期.
それぞれ刑事になったいきさつは全く異なりますが,それを書いちゃうとネタバレになるので,ここでは書きません.

抜群のひらめきと勘で難事件を見通す黒木.
実直でまじめ,エリート然たる神崎.
性格は全く異なるが,なぜか気が合う.

そんな彼らに次々と妙な事件が降りかかる.

最初のうちは,二人のキャラの違いを際立たせるための物語っぽい展開ですが,後半は,二人の出自と,それぞれが背負っている心の荷物の中身が少しずつ明らかにされる.

この雰囲気はなかなか好きです.

池袋という街が舞台で,事件性のあるストーリーということで,石田衣良さんのIWGPシリーズを連想させる.テイストはかなり異なりますけどね.

警察学校時代のエピソードはなかなか良い.泣かせます.

そうですね.重すぎず,軽すぎず,
熱すぎず,冷たすぎず.
ちょうど良い感じのミステリー.
あくまでミステリーです.