書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

正義感

2009年02月25日 11時51分42秒 | 日記
先ほど紹介した小説のテーマのひとつが,「正義感」です.

でも,私は,この正義感とやらが,曲者だと思っています.
事実を見誤る原因の一つになっているからです.

例えば...

カラ出張.不正経理.

後を絶ちませんね.

お役人の方々には心して是正してほしいです.
.....
が...

私のように何でも理由を突き止めないと納得できない性格の人間は,正義感だけでは生きていけないのですよ.

これだけ,騒がれているのに,ヤミ経理がなくならないのは,きっと,理由があるに違いない.
と思ってしまうのです.

考えられるのは,役所の予算枠に問題があるのではないかということ.
つまり,必要な,備品とか,福利厚生のための予算が不足しているにも拘らず削られてしまい,本来不要な,土建関係の予算ばかり残っているというような,いびつな構造が原因じゃないか?
不正経理の中身も,本当に私利私欲を満たすためのものはごくわずかで,大抵は本来の予算枠とは異なる枠からの物品を買ったとかですよね.
どうせ,同じ税金から出ているのだから,何の枠から使ってもいいじゃないかと,私は思ってしまう.


高級官僚の天下りも,正義感の格好の攻撃の的ですね.

考えてみてください.特に経済産業省とか財務省とか,外務省とかの上級公務員試験に受かるのがどれだけ難しいかをね.
その頭脳をもった優秀な官僚が50歳前後で退職を余儀なくされている.
彼らの同期で,企業に就職した人たちは大体,本社の部課長で1千万以上の年収ですよ.
特に行政の仕組とか人脈に通じており,頭も(ボケが始まってなければ),超優秀です.
そんな優秀な人材を誰も雇わないなんて,ありえませんよ.

天下りを批判する人は,優秀な人材を見殺しにしろと言っているようなものですね.

批判されるべきは,優秀な人材を,50歳前後で首にしてしまう官僚の人事のシステムにあります.
理由は簡単,同期の中では一人しか局長になれないし,なれなかった人はやめるという暗黙のルールがあるのです.これが元凶.

でも,無理もないかもしれない.

頭のいい人達だから,今までに人から使われたことがない.プライドの塊です.
同期,ましてや年下の上司を見上げるなんて死んでもイヤだ,なんて思う官僚が多いのも事実でしょうね.

官僚本人とシステムの両面から改革が必要のようです.

そんな,こんなで,正義感とやらを振りかざしている新聞社の人々,さぞやご本人は正義感に溢れた性格なのだろうなと,思いきや...

不正経理で摘発された某,A新聞なんてのが,ニュースに流れてましたね.

けっ.

「平等ゲーム」桂望実

2009年02月25日 11時48分41秒 | 読書


主人公は瀬戸内海に浮かぶ小島,鷹の島の住人,芦田耕太郎クン.
この鷹の島ってのが変わってて,住民1600人が全て平等という島.
仕事はコンピュータで4年ごとに割り当てられ,諸事はすべて住民の直接投票で決められる.
観光や単価の高い農作物が取れるおかげで,財政的にはかなり裕福のよう.
その収入を平等に全住民が享受するという仕組み.
貧富の差はなく,全ての住民が島の決定事項に投票という形で関われる.
まあ,一見夢のような楽園のような...
主人公の芦田耕太郎クンの仕事は「勧誘係り」,島の住民が死んだり島から出て行ったりすると,その補充者を勧誘する係りですね.
勧誘といっても,相手は,島のホームページを見て興味を持ち,できれば住んでみたいというアンケートに回答した人なので,特に苦労があるわけではない.

鷹の島は何十年かの歴史をもつのだけど,耕太郎クンは,この島で生まれた第2世代なので,他の世界,つまり,競争があり,貧富の差があり,活躍する人と地味な人が共存する我々の世界を知らない.

そんな無垢な耕太郎クンと勧誘される人々との交わりを通して,彼の挫折や心の成長を描いています.

前半では耕太郎クンは,とっても良い人,典型的な一人っ子というのかな,頼まれるとイヤといえない.
そのくせ他人のわがままは許せない.でも,面と向っては言えない,みたいな.
そんな人物として描かれる.
ただ,彼は絵が上手で,その才能に気づいた芸術大の先生(外部の一般の人です)から絵の宿題を与えられて,それをこなすうちに,才能をさらに開花させていくというサブストーリーもある.

だんだん外部の人との交わりが深くなる後半では,成長するかと思いきや,むしろ頑なさが強調されてきて,逆にちょっとこりゃヤバイぞという感じになる.

ついに,...大変なことになっちゃうわけで...

ネタばれになるといけないので,この辺で.

「アウトブレイク」ダスティンホフマン主演

2009年02月19日 23時20分14秒 | 映画・DVD


正直言って,こんなに良い映画とは思わなかった.
せいぜいよくできたパニック映画かなあと.

でも,キャストを見ると,ダスティンホフマン,モーガンフリーマンにドナルドサザーランドだもん.
B級映画のはずがない.
ケビンスペーシーが途中で死んじゃう脇役扱いなんて,もったいないですよ.
でも,さすが大物を揃えただけはある.

映画で訴えたいことは一つです.
怖いのはウイルスでも爆弾でもない.
人間が一番怖い.ってこと.

エンタテイメントとしても非常によくできています.
ウイルスの恐怖は映画の前半が主でして,その恐怖の質はジワジワという恐怖.

一方,映画の後半は,雰囲気が一転します.
軍の組織的悪事の秘密をつかんじゃったダスティンホフマン扮するドクターを,軍の高官たちが寄ってたかって始末しようとする.
その魔の手から逃げながら,同時に,血清を体内に持ったまま逃走したサルを捕獲しなければならないのですよ.

007シリーズやMIシリーズも真っ青の逃走劇+アクションが手に汗握らせてくれる.

めちゃくちゃ面白いです.

ヘリの逃走シーンは拍手もの.

良くも悪くもハリウッド大作ですけど,私は嫌いじゃない.

映画作りの熱意と,観客を喜ばせようとするサービス精神には,素直に感動したいです.

「復活の恋人」西田俊也

2009年02月18日 17時37分47秒 | 読書


中学3年生で交通事故に会い,20年間意識不明で眠り続けた後に意識が回復した,肉体年齢35歳,精神年齢15歳の男性,青木くんが主人公.
『中学3年のぼくは、あこがれの同級生・小夜子とのデートに出かける直前に、轢き逃げ事故に遭って、そのまま昏睡状態に。20年後、ぼくは目覚めた。医者は「奇跡だ」と言った。会いたかった小夜子は親友の妻になり、しかも離婚していた。』
親友と離婚していた小夜子に会うこともでき,彼女も主人公を温かく迎えてくれた.
でも,この主人公は体は35歳でも,心は15歳のままなので,大人の女性になってしまった小夜子に違和感も感じるわけで...
こう書くと,ファンタジーか恋愛ものっぽく聞こえるかもしれませんが,雰囲気はとっても重いです.
登場人物の多くが心を病んでいるか,病んだ過去がある.
エンタテイメント性は薄いかなあ.
スリルやミステリーを期待すると,がっかりします.
でも,読んでて退屈することはありません.
400ページありますが最後まで読み通せます.
不思議な小説です.
特にヤマ場もないのに,なぜかなあ?
どう,評価していいかわからない不思議な小説ということで.

あと,ちょっと書きづらいけど,セックスに対する男性の心理描写がうまい.

たいていの小説に書いている男性心理はうそです.

女性の皆さんにはこの本は男性心理を勉強するのに大いに役立つと思います.

逆に女性心理はどうなっているか知りたいものだけど.
そういう小説にはお目にかかったことがない.というか,セックスに対する女性の心理描写が正しいか否かは,男性である私にはわからないですけどね.

政治はぼろぼろ.

2009年02月17日 11時47分58秒 | 日記
誰とはいいませんが,某首相も某財務大臣も,ぼろぼろですね.
ここまで行くと,気の毒な気がしてくる.

考えてみれば,アメリカのサブプライムローンの破綻に端を発した今度の金融危機と世界的不況は,別にJ民党政権のせいでも何でもないわけですよね.

よその国が勝手に新しい金融システムを作り,勝手にそれを優良だと評価し,勝手にそれを信じて,そのシステムに乗っかったって,皆で破綻しちゃったわけです.

そこに日本の政治が絡む要素はなかったという見方もできる.

もしO沢さんが首相だったら,今度の危機が回避できたかというと?
答えは同じなわけで.

気の毒というのはそういう意味です.

無策という謗りを受けるかもしれないけど,じゃあどうしてれば良かったという正解は誰も持っていない.
もちろん,問題はこれからどうするかです.

その答えを持っている政治家は日本にいるのかな?

さて,私が言いたいことはこれからなんです.

誤解の無いように申し上げますが,福祉やセーフティネットの話は別の機会に述べるとして,ここでは,健康な若い人たちに向けての話です.

世の中がどうであれ,政治がどんなにひどくても,自分の不幸を,政治や世の中のせいにしている限りは決して幸福は訪れないということです.

「現在の自分が不幸なのは政治のせいだ」
そう思いたくなる気持ちもわかります.

でも,その考え方はこういう整理になるのです.
・自分が失業したのは政治のせいだ.
・政治が良くなれば自分は幸福になれる.
・つまり,自分の幸福/不幸の鍵は政治が握っている.

政治によって,自分の幸不幸が左右されるような人生をあなたは良しとしますか?
そんな人生に,あなたは満足できますか?

私は真っ平ごめんだ.
何党が政権をとろうがとるまいが,自分の幸不幸は自分の努力で決めたい.

自分の道は自分で見つけるしかない.
そう,腹をくくることから,自分の人生が始まると思っています.

幸い,日本には徴兵制度もないし,内乱紛争もない.
道を歩いていて自動小銃の玉が飛んでくることは心配しなくていい国です.
地雷を恐れて外出を控える必要もない.
私はそれだけでも,日本に生まれてよかったと思っています.

あとは,自分に力さえあれば,人生を切り開いていける,すばらしい国だと思っています.

要は,考え方次第なんです.
才能や生まれた環境ではない.
その人の人生に対する考え方だけなんです.

「目標に向かって毎日努力することが許される国」という意味で,すばらしい国だと思っています.

韓国出張

2009年02月10日 21時33分14秒 | 日記


先週末,2泊3日で韓国に行ってきました.
アンドン(安東)という街で,釜山から車で3時間くらい北上したところにあります.
そこにある安東大学の近くのホテルでの国際会議です.
国際会議といっても,参加者100名弱で,日本と韓国の研究者が半々のこじんまりとしたものです.
研究分野が音響関係という限られた分野のせいもあるでしょう.

会議の合間に安東大学の設備をいろいろと見せていただいた感想を少し.

安東大学はいわゆる地方の国立大学ですが,とにかく,設備が素晴らしい.
お金がかかっている.

贅沢と言う意味ではなくて,大学の学術的価値と文化的な貢献に対して国家が最大限のサポートをしているという印象なのです.

学内の博物館や文化的な建築物にはふんだんに予算が割り当てられ,展示品は日本の国立博物館と変わらぬくらいリッチなディスプレーがなされている.

また,大学生がとても大事にされ,女子学生寮はまるで,高級マンションのよう.(写真がそれ)
屋上にあるのは,なんと展望レストランですぞ.

我々は学会からの訪問者ということで,本当は男子禁制のレストランでウエルカムパーティーを開いていただきました.
ただし,別の階には決して行かないようにと,チェアマンからご注意がありましたけどね.

多分,なんだかんだ言って,韓国はまだまだ階級社会.
大学には限られた人しか行けない.

その代わり,大学にいける人には,国家や企業のリーダーとしての重い責任が将来課せられるわけです.
大学を出るというのは,決して楽なことではなく,逆に苦労を背負い込むことなのです.

しかし,大学進学率が60%を超える日本では,大学卒という資格にほとんど重みが無い.
むしろ,本人の実力が重要です.

有名大学卒でも,ビジネスのセンスが無い人はかえって疎まれます.
○大出ていてその頭か?というわけです.

逆に,有名大学じゃない方が,「彼って意外にできるね」という評価もありうる.

ドラゴン桜という漫画はとても面白いけど,あの漫画には大きな誤りが一つあります.
○大をでるだけで,何か特別な切符を得られることが前提となっていますが,むしろ話は逆なのです.
○大卒ということで,逆に人は1枚切符を失うのです.
仕事ができて当たり前という足かせをはめられるのですから.

私は地方の大学卒だったので,その点楽でしたね.
だから,たまに思いつきで仕事上のアイデアを出すと,それ良いねと褒めてもらえる.
期待されないというのは楽です.

でも,本当はそれじゃあだめなんですね.

やはり,期待され,期待を背中に背負いながら,期待に応えていかないと,人間的には成長しないことも事実.

上に述べた事実とどう向き合うか?
これがその人の人生観につながるんじゃないかなあ.

一生懸命に仕事をし,成果を出すことで期待を集め,さらにその期待に応えるべく努力を積み重ねる人生か?
期待をされないように地味に,最低限の義務だけはたして,そこそこの努力で楽しく暮らすか?

その選択は,人生観そのものって気がするなあ.

講義が終わった!

2009年02月01日 18時29分07秒 | 日記
先週で講義が終わり,来週から定期試験期間となります.

講義がなくなるのだから,先生は暇になるでしょう?と言われるのですが,おあいにくさま.
超多忙になります.
というのは,今まで授業期間中ということで,控えていた学会発表,各種会議や,対外的な行事などが,どどどっと始まるからなどです.

私の場合,まず,来週だけでも,学内では学生向けコース分けの説明会とか,卒業研究の発表会,その採点,学外では,地域の産学官の技術交流会での研究発表,さらに駄目押しで,週末には韓国の釜山への国際会議の出張が控えています.

でも,イヤじゃないです.
どれも楽しみな要素を含んでいるので,待ち遠しい感じもします.

先生なんだから,授業が本業でしょ?と言われれば,返す言葉もないですが,少なくとも私の知っている先生で,授業が楽しみという人はいなさそう.

研究そのものが好きな人が多いのは大学だから当然としても,学会での発表とか,企業との付き合いや,ビジネス連携なんかを生きがいにしている人もいる.

むしろ,授業以外の楽しみのために,授業をお勤めと割り切っている先生も多そうです.

ただ,学生さんの立場からすると,授業料は授業のために払っているのだから,手抜き授業は許されないことです.

そこで,数年前から登場したのが,授業評価アンケートです.

学生さんは,授業科目ごとに,半年間の講義を受講して,その印象をマークシート方式のアンケートとして提出するのです.
結果はすべてコンピュータ処理され,集計されます.

評価項目は,黒板の字が見やすいかとか,声はよく聞こえるかという,「物理的な」評価のほか,「授業に対する熱意を感じたか?」などの感覚的な評価もある.

結構シビアですよ.

さらに怖いのは,この結果が大学のホームページにて公表されるのです.

先生別/質問項目別に平均点が表示されます.

5点満点ですが,平均が2.8点以下の先生は,授業の改善のための計画書を提出する義務が生じ,その後の点数をチェックされます.

幸い私は今までのところ,大丈夫でしたが,次回はどうなることか?

ということで,決して授業をおろそかにはできないのです.

お給料をいただいているので,評価されるのは当然と言えば当然の話ですね.