書く仕事

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「容疑者Xの献身」東野 圭吾

2009年05月13日 12時41分07秒 | 読書


これは面白かった.
今年の上半期のベストワンかも.

映画化されているし,原作もずいぶん話題になっていたのに,なぜかこんな時期までほっておいた自分がくやしい.

もっと早く読みたかった.

トリックもすばらしいけど,そのようなトリックを使わざるを得なかった,犯人の心根が哀しい.
真の思いやりとは,本当の愛とはこういうものなのか.

ガリレオシリーズでは,どちらかというと,これまでは「上から目線」かつコミカルなタッチだったが,この小説では犯人に対する同情と哀切な思いが交錯したものへと路線変更しています.

ミステリーなのであらすじは書きませんが,理系心をくすぐる表現も満載.
でも,その奥に哲学がちらちらと見え隠れする.
そういえば,数学ってscienceじゃないんだよね.
数学は自然科学ではない.
哲学に近いかもしれません.

この小説には,出てこないけど,こういう文章を思いつきました.
「報われないことを承知の上で人を愛し続けることと,報われないならその人を諦めることと,どちらが簡単か?」