書く仕事

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「模倣の殺意」中町信

2014年11月03日 21時10分40秒 | 読書
「模倣の殺意」中町信



久々に本格派推理小説を読んだ.

小説は文学作品であり,人間の思想や感情を文章で表現し大衆に訴えかけるものである.

しかし,その義務を唯一免除されるジャンルが推理小説と言える.

推理小説だけは,感情や思想ではなく,「意外性」を唯一の売り物とするジャンルである.

読んだ人が,「う~ん,それは気が付かなかった」と言えば,作者の勝ちである.
そのような読者が多い作品ほど,価値のある推理小説となる.

この「模倣の殺意」は,間違いなく本格派推理小説であり,しかも,それまでの推理作家が気が付かなかった,新しい犯罪の形を提示している点で素晴らしい.

この小説を読んで,人間が書けていないだの,哲学がない,だの言う輩は無粋の極みである.

純粋にトリックを楽しむ.それが正しいこの小説の読み方である.