久々の石田衣良作品です.
裏切らないですね,このシリーズ.面白いなあ.
でも,誠も二十歳を過ぎてだいぶ時間が経ち,徐々におじさんの領域に近づきつつあるのか,女の子に関する表現やコメントが,ちと下品に過ぎる傾向が出てきました.
まあ,それもこの小説の面白さの一面ですから,いいんですけど.
第1話「スカウトマンブルース」
風俗店のスカウトというと,店長さんとか,男性店員さんが,街行く若い女の子に声をかける様子を想像しますが,もしこの話が取材に基づいているなら,実際はだいぶ違うようです.
考えてみてください.「風俗店で働きませんか?」といって,ついてくる女の子はいないですよね.
しかし,そのスカウトが女の子から見て極めて魅力的だったら,話は違うかもしれません.「とっても素敵な方だから,一緒にお茶するだけならいいかな.名刺だけもらって断ってもいいし.」ってなったら,もうその娘はスカウトマンの手中です.
そんなわけで(どんなわけじゃ!?),最近のスカウトは専業化し,いろんなお店から依頼を受けて,依頼内容に応じた女性をスカウトするそうなんです.
この本の表現を借りると,A店からは「セーラー服の似合う微乳系」とか,B店からは「身長170cm以上で,強い目をした女王様タイプ」とかの依頼を受け,それにぴったりの女性を街でスカウトするんだそうです.
そして,先ほどもいいましたが,スカウト自身は,ほっといても女の子が擦り寄ってくるような「才能」があることが一人前になるための条件なのです.
今回はそんなスカウトマン「タイチ」が誠に持ち込んだ手ごわいトラブルのお話です.ストーリーは読んでのお楽しみ.
第2話「伝説の星」
往年のロックスター「神宮寺貴信」が持ち込んだトラブル.
神宮寺は今の「ガキ」相手の音楽シーンに飽き足らず,本格的なロックの殿堂ともいうべき「ロック博物館」を建て,常設のライブハウス,ロックカフェ,ロック専門CDショップを一つのビルにしてしまうという壮大な構想を持っています.しかし,資金が足りず,怪しげなアンダーグラウンドな所からお金を借りてしまい,窮地に陥ってしまいます.
そこで,トラブルシューターとして有名になりつつある誠を頼ってくるところから,お話が始まります.
第3話「死に至る玩具」
中国から出稼ぎに来ている若い女性「紅小桃(ホンシャオタオ)」通称「コモモ」が持ち込んだトラブル.
日本では,「ニッキー・Z」という人形が大人気という設定.
そうですねぇ,リカちゃん人形が今の100倍くらいヒットしたような状況と思えばいいかも.
そのニッキー人形は主に中国で生産されているが,その生産工場では過酷な労働条件が強いられており,そのため命を落とす労働者もいるという.
コモモの姉が実はその犠牲者の一人なのでした.
姉の死を無駄にしないため,コモモは中国の工場に掛け合うが,相手にされない.それで,はるばる日本にやってきたが,どうやって製造販売の親会社「キッズファーム」社と掛け合えばよいかもわからない.
そこで,うわさに聞いた誠を頼ってきたわけです.
第4話「反自殺クラブ」
自殺系サイトの存在は有名ですね.
一時期,サイトを通して知り合った人々の集団自殺がずいぶん話題に上りました.
このお話はその集団自殺を事前に察知し,それを阻止しようとするグループのお話.
メンバーはいずれも親とか兄弟とか身近な人を自殺で失い,自分に責任があるのではないかと自分を責め続けてきた3人.そして彼らを心の面で支える,精神科の女性医師.
グループはある時インターネット上で,自分自身は死なずに,他の人を自殺を通してあの世に送り続ける,スパイダーと呼ばれる男の存在に気付きます.そして何とか彼を捕らえようとしますが,なんせ素人集団,うまくいきません.
そこで,トラブルシューターとしての誠のうわさを聞き,手助けを依頼して来るわけです.
ミステリーという意味では,この話が一番ミステリ的要素を持っています.詳しくは言いませんがね.
このお話でわかったことですが,自殺というと,何か非常にネガティブな,つらいことを想像しますが,考えて見ると逆なんですね.
つまり自殺する人の立場から見ると,生きていることが苦痛だから自殺するわけですよ.つまり,自殺することが苦痛からの解放であり,希望なんですね.
ただ,死に到るまでの肉体的苦痛はいやですから,できるだけ苦痛を少なくして死ねるような様々な工夫があるわけです.
スパイダーはその心理をたくみに利用して,集団自殺を演出します.
ただ,スパイダー自身もある秘密を抱えているのです.
死ぬということは権利なのか?
生きることは義務なのか?
答えなんかないんですよね.
でもでも,本当は生きること自体がすばらしいことなんですよ.
生きていることそのものがキラキラしたものなんです.
でもそれに気がつけるのは幸せなことなのだと思います.
多くの人々が,そんなこと思いつきもしないほど,辛いことに出会ってしまうのです.
ところで,この本で,IWGPシリーズ全6冊(赤黒外伝も含めてね)を読み終えましたが,まだ続くのかな?続く限りチェックしなくては.
裏切らないですね,このシリーズ.面白いなあ.
でも,誠も二十歳を過ぎてだいぶ時間が経ち,徐々におじさんの領域に近づきつつあるのか,女の子に関する表現やコメントが,ちと下品に過ぎる傾向が出てきました.
まあ,それもこの小説の面白さの一面ですから,いいんですけど.
第1話「スカウトマンブルース」
風俗店のスカウトというと,店長さんとか,男性店員さんが,街行く若い女の子に声をかける様子を想像しますが,もしこの話が取材に基づいているなら,実際はだいぶ違うようです.
考えてみてください.「風俗店で働きませんか?」といって,ついてくる女の子はいないですよね.
しかし,そのスカウトが女の子から見て極めて魅力的だったら,話は違うかもしれません.「とっても素敵な方だから,一緒にお茶するだけならいいかな.名刺だけもらって断ってもいいし.」ってなったら,もうその娘はスカウトマンの手中です.
そんなわけで(どんなわけじゃ!?),最近のスカウトは専業化し,いろんなお店から依頼を受けて,依頼内容に応じた女性をスカウトするそうなんです.
この本の表現を借りると,A店からは「セーラー服の似合う微乳系」とか,B店からは「身長170cm以上で,強い目をした女王様タイプ」とかの依頼を受け,それにぴったりの女性を街でスカウトするんだそうです.
そして,先ほどもいいましたが,スカウト自身は,ほっといても女の子が擦り寄ってくるような「才能」があることが一人前になるための条件なのです.
今回はそんなスカウトマン「タイチ」が誠に持ち込んだ手ごわいトラブルのお話です.ストーリーは読んでのお楽しみ.
第2話「伝説の星」
往年のロックスター「神宮寺貴信」が持ち込んだトラブル.
神宮寺は今の「ガキ」相手の音楽シーンに飽き足らず,本格的なロックの殿堂ともいうべき「ロック博物館」を建て,常設のライブハウス,ロックカフェ,ロック専門CDショップを一つのビルにしてしまうという壮大な構想を持っています.しかし,資金が足りず,怪しげなアンダーグラウンドな所からお金を借りてしまい,窮地に陥ってしまいます.
そこで,トラブルシューターとして有名になりつつある誠を頼ってくるところから,お話が始まります.
第3話「死に至る玩具」
中国から出稼ぎに来ている若い女性「紅小桃(ホンシャオタオ)」通称「コモモ」が持ち込んだトラブル.
日本では,「ニッキー・Z」という人形が大人気という設定.
そうですねぇ,リカちゃん人形が今の100倍くらいヒットしたような状況と思えばいいかも.
そのニッキー人形は主に中国で生産されているが,その生産工場では過酷な労働条件が強いられており,そのため命を落とす労働者もいるという.
コモモの姉が実はその犠牲者の一人なのでした.
姉の死を無駄にしないため,コモモは中国の工場に掛け合うが,相手にされない.それで,はるばる日本にやってきたが,どうやって製造販売の親会社「キッズファーム」社と掛け合えばよいかもわからない.
そこで,うわさに聞いた誠を頼ってきたわけです.
第4話「反自殺クラブ」
自殺系サイトの存在は有名ですね.
一時期,サイトを通して知り合った人々の集団自殺がずいぶん話題に上りました.
このお話はその集団自殺を事前に察知し,それを阻止しようとするグループのお話.
メンバーはいずれも親とか兄弟とか身近な人を自殺で失い,自分に責任があるのではないかと自分を責め続けてきた3人.そして彼らを心の面で支える,精神科の女性医師.
グループはある時インターネット上で,自分自身は死なずに,他の人を自殺を通してあの世に送り続ける,スパイダーと呼ばれる男の存在に気付きます.そして何とか彼を捕らえようとしますが,なんせ素人集団,うまくいきません.
そこで,トラブルシューターとしての誠のうわさを聞き,手助けを依頼して来るわけです.
ミステリーという意味では,この話が一番ミステリ的要素を持っています.詳しくは言いませんがね.
このお話でわかったことですが,自殺というと,何か非常にネガティブな,つらいことを想像しますが,考えて見ると逆なんですね.
つまり自殺する人の立場から見ると,生きていることが苦痛だから自殺するわけですよ.つまり,自殺することが苦痛からの解放であり,希望なんですね.
ただ,死に到るまでの肉体的苦痛はいやですから,できるだけ苦痛を少なくして死ねるような様々な工夫があるわけです.
スパイダーはその心理をたくみに利用して,集団自殺を演出します.
ただ,スパイダー自身もある秘密を抱えているのです.
死ぬということは権利なのか?
生きることは義務なのか?
答えなんかないんですよね.
でもでも,本当は生きること自体がすばらしいことなんですよ.
生きていることそのものがキラキラしたものなんです.
でもそれに気がつけるのは幸せなことなのだと思います.
多くの人々が,そんなこと思いつきもしないほど,辛いことに出会ってしまうのです.
ところで,この本で,IWGPシリーズ全6冊(赤黒外伝も含めてね)を読み終えましたが,まだ続くのかな?続く限りチェックしなくては.