作者は某国立大学工学部の助教授という肩書きも持ちながら,「すべてがFになる」で衝撃的なデビューを果し,「冷たい密室と博士たち」,「そして二人だけになった」など,斬新,かつ,あっといわせるトリックでファンを魅了し続けるミステリー作家でもある森博嗣さんです.
その森助教授のなんともユニークな講義の記録集です.
「森先生」は,一とおり講義をすると,学生に質問をさせることで出席をとります.質問はノートの切れ端などに書いて出席カードの代わりに教室から出るときに先生に渡します.
次の講義で,その質問と森先生の回答を書いたA4サイズ1枚分の資料が配られます.本書はそのQ&Aの抜粋を一冊の本にしたものです.
講義の内容を確実に理解してもらうためには,教師から学生に質問したり,演習問題を解かせたりする方法が一般的ですね.
しかし,それらの方法では,講義を聴く学生の姿勢というかマインドを前向きなものに変えることができないんです.まず,講義を聴く姿勢を変えたいわけですね.学生に質問させるのは,この姿勢を変えさせるのに効果があるようです.
人の話をボーっと聞いていれば,「質問はないですか?」と聞かれても,すぐには質問できません.しかし,この先生は質問させるぞ!!ということがわかっていると,講義中も何か質問のネタは無いか?と聞き耳を立てながら講義を聴くことになります.これなんですよ,目的は.
正しく理解しようとする人は正しい質問をする.これは私の表現です.著者の受け売りではないですよ.しかし,要は森先生のおっしゃりたいのはこういうことだと思う.
私も講義の終わりに「今日の内容で何か質問はありませんか?」と,必ず問いますが,せいぜい1件かな.
でも,皆さん知ってましたか?
質問されるのは,先生にとって嬉しいものなんですよ.
自分に興味のある話を聞けば,必ず質問したくなります.私の経験ではね.
興味とは拡がるものです.閉じるものではない.
ある知識を得て,へーっと感心してそれで終わりということはあり得ない.
一つ興味のあることを知れば,じゃあこういう場合はどうなんだろうとか,別の条件ではどうなるんだろうとか,どんどん広がっていくものです.興味があるということはそういうことです.
つまり,「質問しない」ということは「興味がない」という意思表示なんです.
質問する学生は講義中も真剣に聞いてくれていますね.興味があるから真剣に聞く,真剣に聞くから講義がわかる.
講義の8割は理解し,残りの2割がわからないから,その2割を質問できるわけですね.
「質問は無いですか?」と聞いて,数秒間の静寂.
教官にとってつらい時間です.
それなりに苦労して準備して,声をからして説明して,誰も興味を持ってくれないとなると悲しいですね.
でも,一人でも二人でも質問してくれる学生がいれば教官は頑張れます.
この本では,専門的な質疑応答は省いてあって,専門とは直接関係ない,人生相談めいたものとか,森教官自身に関する質問とかを選んで掲載しているので,専門外の人も楽しく読めると思います.私も建築学は専門外ですから.
Q.「自分の頭の能力の限界はどうすればわかりますか?」
A.「頭でものを考え続けていけばわかります」
Q.「想像力を豊かにするにはどうすればいいですか?」
A.「想像する時間を増やす」
Q.「先生,こんな質問をさせてどんな意味があるのですか?」
A.「それは,君がどんな意味を持った人間であるかによる.」
禅問答みたいなものもありますが,私は個人的にはとても楽しく読めました.
でも,かなり「アク」がつよい文章であることも事実なので,反発を感じる人も多いかもしれません.
文学部とか教育学部の学生さんだったら,噛み付いてくるだろうな.差別的と取られかねない表現もあるかも.
ただ,1枚の紙に印刷するために,かなり回答を簡略化せざるをえなくなり,つっけんどんな表現になっているところも多々見受けられますが,次の講義の冒頭にきちんと説明するらしいので,疑問が疑問のまま残ることはないようです.
それにしても,ユニークな先生です.まねは絶対できませんけど.
言わずもがなですが,タイトルの2つの4文字熟語は森先生の造語です.こんな日本語はありません.「臨機応変」「変幻自在」がもとの熟語です.たぶん.
その森助教授のなんともユニークな講義の記録集です.
「森先生」は,一とおり講義をすると,学生に質問をさせることで出席をとります.質問はノートの切れ端などに書いて出席カードの代わりに教室から出るときに先生に渡します.
次の講義で,その質問と森先生の回答を書いたA4サイズ1枚分の資料が配られます.本書はそのQ&Aの抜粋を一冊の本にしたものです.
講義の内容を確実に理解してもらうためには,教師から学生に質問したり,演習問題を解かせたりする方法が一般的ですね.
しかし,それらの方法では,講義を聴く学生の姿勢というかマインドを前向きなものに変えることができないんです.まず,講義を聴く姿勢を変えたいわけですね.学生に質問させるのは,この姿勢を変えさせるのに効果があるようです.
人の話をボーっと聞いていれば,「質問はないですか?」と聞かれても,すぐには質問できません.しかし,この先生は質問させるぞ!!ということがわかっていると,講義中も何か質問のネタは無いか?と聞き耳を立てながら講義を聴くことになります.これなんですよ,目的は.
正しく理解しようとする人は正しい質問をする.これは私の表現です.著者の受け売りではないですよ.しかし,要は森先生のおっしゃりたいのはこういうことだと思う.
私も講義の終わりに「今日の内容で何か質問はありませんか?」と,必ず問いますが,せいぜい1件かな.
でも,皆さん知ってましたか?
質問されるのは,先生にとって嬉しいものなんですよ.
自分に興味のある話を聞けば,必ず質問したくなります.私の経験ではね.
興味とは拡がるものです.閉じるものではない.
ある知識を得て,へーっと感心してそれで終わりということはあり得ない.
一つ興味のあることを知れば,じゃあこういう場合はどうなんだろうとか,別の条件ではどうなるんだろうとか,どんどん広がっていくものです.興味があるということはそういうことです.
つまり,「質問しない」ということは「興味がない」という意思表示なんです.
質問する学生は講義中も真剣に聞いてくれていますね.興味があるから真剣に聞く,真剣に聞くから講義がわかる.
講義の8割は理解し,残りの2割がわからないから,その2割を質問できるわけですね.
「質問は無いですか?」と聞いて,数秒間の静寂.
教官にとってつらい時間です.
それなりに苦労して準備して,声をからして説明して,誰も興味を持ってくれないとなると悲しいですね.
でも,一人でも二人でも質問してくれる学生がいれば教官は頑張れます.
この本では,専門的な質疑応答は省いてあって,専門とは直接関係ない,人生相談めいたものとか,森教官自身に関する質問とかを選んで掲載しているので,専門外の人も楽しく読めると思います.私も建築学は専門外ですから.
Q.「自分の頭の能力の限界はどうすればわかりますか?」
A.「頭でものを考え続けていけばわかります」
Q.「想像力を豊かにするにはどうすればいいですか?」
A.「想像する時間を増やす」
Q.「先生,こんな質問をさせてどんな意味があるのですか?」
A.「それは,君がどんな意味を持った人間であるかによる.」
禅問答みたいなものもありますが,私は個人的にはとても楽しく読めました.
でも,かなり「アク」がつよい文章であることも事実なので,反発を感じる人も多いかもしれません.
文学部とか教育学部の学生さんだったら,噛み付いてくるだろうな.差別的と取られかねない表現もあるかも.
ただ,1枚の紙に印刷するために,かなり回答を簡略化せざるをえなくなり,つっけんどんな表現になっているところも多々見受けられますが,次の講義の冒頭にきちんと説明するらしいので,疑問が疑問のまま残ることはないようです.
それにしても,ユニークな先生です.まねは絶対できませんけど.
言わずもがなですが,タイトルの2つの4文字熟語は森先生の造語です.こんな日本語はありません.「臨機応変」「変幻自在」がもとの熟語です.たぶん.