書く仕事

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「首折り男のための協奏曲」 伊坂幸太郎

2014年06月15日 21時04分45秒 | 読書
「首折り男のための協奏曲」 伊坂幸太郎



相手の首を折るという方法で殺人を行う殺し屋、大藪。
大藪は、殺し屋でありながら、時々、「誰かの役に立ちたい病」にかかる。

あくどい借金取りに苦しむ人や、人の善意を食い物にする社会のゴミのようなワルから苛められる人々を、思わず助けてしまう。

物語の構成は伊坂幸太郎さん特有の入り組んだ伏線が張られ、短編集でありながら、相互に登場人物が関係しあう。

善と悪。
常識と非常識。
好意と悪意。

世の中の一般論からは想定できない人間の本質を抉り出す小説。

例えば、駅の自動券売機で切符の買い方がわからなくて、まごまごしているお年寄りがいるとする。
後ろに並んでいる人たちはイライラし始める。
そんな時、待っている一人が、「さっさとしろよ。みんな待っているんだよ。後ろが迷惑するだろう!」
と言ったとする。
しかし、やっと切符を買い終えたそのお年寄りは、その怒鳴った人に、微笑み、ありがとうございましたというように、お礼をして立ち去っていく。

さて、そこにはどんな物語が隠されているでしょうか?...

ま、読んでのお楽しみです。

「村上海賊の娘」上・下 和田竜

2014年06月07日 21時22分22秒 | 読書
「村上海賊の娘」和田竜




痛快戦国活劇。
時代小説としても新鮮な面白さがありました。

織田信長が大坂本願寺を攻め落とそうとしている時が時代背景ですから、まさにNHK大河ドラマの軍師官兵衛と同時代。

軍師官兵衛の方のお話は、織田と毛利のせめぎ合いが基本ですが、秀吉に見込まれた官兵衛が主人公ですから、陸上の戦いが中心になる。
しかし、それと同時に、大坂本願寺に兵糧米を届ける毛利方とそれを助ける村上海賊チームと、兵糧米の運び込みを阻止したい織田チームとの海上を舞台にした壮絶な戦いがあったわけです。知らなんだあ。
って具合にお話が始まるのですが、主人公はその海賊の親分の娘、景(きょう)。

彼女の男勝りの戦働きがすごいお話。

いわゆる「活劇」です。

ジャッキーチェンの映画と変わらないかもしれないが、まあ理屈抜きに楽しめばいいのでしょう。