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「いけない」道尾秀介

2021年02月16日 14時44分03秒 | 読書
「いけない」道尾秀介


今までにないパターンの推理小説.
推理小説は,作者が物語を通して謎を提示し,探偵役の人物がそれを解決するという構成が一般的.
もちろん,最初から犯人が分っていて,追い詰められる過程を描く倒叙ものというジャンルもあるけど,どうやって犯人は尻尾を捕まれるのかというところが「謎」になっていると考えれば,「探偵役の人物がそれを解決するという」というところは共通している.

しかし,この小説は,「解決」の部分がない.
謎は投げられっぱなしである.
読者は自らの力で,犯人を特定し,自分なりの決着をつけなくてはならない.

ミステリ好きでも,探偵の快刀乱麻の推理を楽しみたいというミステリーファンには勧められない.
自分なりの推理を楽しむタイプの読者ならば,この小説を大いに楽しめるものと確信する.
推理が当たっているかどうかは別として.