書く仕事

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「絶望スクール 池袋ウエストゲートパークⅩⅤ」石田衣良

2021年01月22日 15時30分00秒 | 読書
「絶望スクール 池袋ウエストゲートパークⅩⅤ」石田衣良


シリーズ第15作目.
調べてみたら,15作全部読んでいた.
私も好きねえ.

ほぼ,水戸黄門か大岡越前的な.
悪い奴が弱い者いじめして,それに耐えきれなくなって黄門様におすがりする.
黄門様は,助さん格さんの力を借りて,悪を懲らしめる,みたいな.

ただ,このIWGPシリーズの場合,世相を表した若者(とは限らないが)の生態や流行が上手に織り込まれ,世の中を学びながら,痛快物語を堪能できるという仕掛けになっている.
だいたい,4~5作からなる短編集なので,毎回,少なくとも4つのお題が必要なわけで,石田衣良さんも,ネタ探しが大変だろうと思う.

今作は動物虐待魔,暴走行為マニア,引きこもり対策ビジネス,外国人留学生スクールが題材となっている.
いずれも面白かったが,外国人留学生を食いものにする悪徳ビジネスをやっつける「絶望スクール」が一番面白かった.

マコトとタカシの活躍も爽快だが,マコトが作戦を練る時にかけるCDのクラシック音楽の解説がなかなかの出来だ.
私もクラシック音楽が好きなので,この解説だけでもかなり楽しめる.
いつもはチャイコフスキー,ラフマニノフ,ドビュッシー等ロマン派以後の曲が多いが,今回は現代日本の作曲家,伊福部昭さんの「日本狂詩曲」.
恥ずかしながら,この曲を知らなかったけど,聞いてみると日本のお祭りを連想させると同時に,人生の苦悩を表しているようでもあり,この小説のストーリーに合っているような気もする.