書く仕事

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「感情的にならない本」和田秀樹

2019年09月26日 08時13分56秒 | 読書
「感情的にならない本」和田秀樹


この本については,新聞だったか雑誌だったか忘れたけど,非常にためになるという評価だったので図書館で見つけて手に取ってみた次第.

目からウロコですね.
怒りや不安などの心の負の動きの特徴を丁寧に解説しており,その特徴をよく知っておけば,パニックに陥ったり,クヨクヨと悩み続けたりして人生を無駄にすることが無くなりますよ!という啓発の書です.

この本の良い点は,とにかく分かりやすく書かれていること.難しい精神医学用語は全く出てこない.
1セクションが2ページで完結するように書かれていて,「結論を早く言え!」と,すぐイライラする人でも,安心して読み進められるようになっている.

私も,あと10年くらい早くこの本に出合っていたら,もう少し心安らかな教員生活が送れたのではないかと思います.

ただ,amazonのカスタマーレビューを見ていて気付いたことが一つ.
結構,批判のレビューが多いんですね.

「クヨクヨ気にせず、行動して忘れましょう。気持ちを外に向けましょう,ということしか書かれてない」
「(朗らかな人は)アベレージ的にはshould思考の人より良い結果を残すということだが根拠はあるのか?」
「読者を馬鹿にしている感じがする」

等です.
これらの批評を見て思いましたね.この本に書かれていることが,投稿者のような考え方を批判していると思った節がある.
つまり,この本を読んで,「あなたのような人はダメなんですよ」というメッセージと受け取ったんですね.
そうではないんです.人の感情にはこういう特徴があるから,それをよく理解していれば,意地になってその感情に付き合わずに済みますよ,ということなんです.

しかし,これらの投稿者は自分の考え方を否定されたと受け取り,「感情的になって」レビューに投稿したという事なんでしょう.
あるいは,筋トレのようにこうすれば必ず感情的にならずに済む.というノウハウを期待していたのかもしれません.そんなものあるわけないじゃないですか.
そういう意味では,この本はまだまだ万人に理解できる書き方になっていないとは思いますが,元々すべての読者に正しく意図を伝えること自体不可能なのかもしれません.
そんな批判者は勝手に怒ってろ,と私なんかは思いますけどね.
あ,それじゃ教師は失格だな.

猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷 「小路幸也」

2019年09月15日 20時37分51秒 | 読書
「猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷」小路幸也


大学で研究者として仕事している和弥は、ある日帰宅すると妻が猫になっていた.

という出だしで話が始まるので,どんな奇想天外な物語かと思ったが,意外にもストーリーは淡々としている.

神事を生業とする家系を継ぐ和弥は,大学の仕事の傍ら,不吉な出来事があると,そのお祓いをすることが使命だ.
身の回りで起きる様々な不吉な出来事や,悪いものが取りついた物を祓っていく.

妻が猫になったのも,人が入れない場所に,和弥に替わって入り,祓うなど夫を助けるのだ.
ただ,猫になるのはまったく予想がつかず,いつの間にか元に戻るというのも不思議だ.

日本古来の神事には,全く疎い私だが,なかなか面白い言い伝えやしきたりがあり,興味深いものがある.

淡々としてはいるが,妻の愛情の描き方もほのぼのとし,心が温まる物語だった.