書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「馬琴の嫁」 群ようこ

2016年12月23日 16時04分15秒 | 読書
「馬琴の嫁」 群ようこ



南総里見八犬伝で有名な滝沢馬琴の嫡男、宗伯に嫁いだ嫁、みちの生涯。

嫡男の嫁です。馬琴本人の嫁ではない。

馬琴は作家として売れっ子であっただけでなく、自宅で製薬業も営んでおり、極端に多忙であった。
その滝沢家に嫁いだみちは、医師の娘であったが、実家と滝沢家はやがて折り合いが悪くなり、間に入って苦労を強いられる。
また、嫁いだ相手、宗伯はひどい癇癪もちですぐにヒステリックに喚く性質があるうえ、病弱でもあり、みちは日夜気の休まる暇がない。

そんなみちの、細かいエピソードが息つく暇もなく襲い掛かる、まるでジェットコースターのような半生記である。

まあ、だからどうした?というような物語なのだが、江戸町の市井を覗き見ることができるうえ、馬琴の暮らしぶりがわかる点で面白いと思う。

「ニコニコ時給800円」 海猫沢めろん

2016年12月11日 22時49分30秒 | 読書
「ニコニコ時給800円」 海猫沢めろん


誰だ、こいつ?

と思って、手にした単行本。
大学の図書館なので、誰かが、購入要求書を書いて捺印したはず。
あ、献本か?
いや地方の私立大学に献本する作家はおるまい。
とすると、学内の誰かが買ってほしいと思ったわけで、こんな本の存在を知っていた読書家が本学にいたわけである。
素晴らしい大学だ。
そして、それに決済印を押した図書館の司書さんもえらい。
見直した。

面白い。
しかも深い。ギャグでいじり倒しながら、働くことの本質を読者に語り掛ける。
まじめなサラリーマンを自認する人は、なぜか、自分の人生が恥ずかしくなること請け合いだ。
また、引きこもりでニートをしている人は、自分の引きこもりが、何と底の浅い世界に漂っているかを思い知るだろう。

働くというのはどういうことなのか?
気が付くと、社会学的意味から心理学的意味までその意味が発展する。
そして、最後の結論、働くこととは、、、








「レレレのレなのである。」

「永遠の1/2」 佐藤正午

2016年12月06日 21時26分36秒 | 読書
「永遠の1/2」 佐藤正午




仕事もせず、ギャンブル過ぎで大人になりきれない若者と、彼を取り巻く、これまた、とんでもない大人たち。

主人公は28歳の男だが、立て続けに、人違いをされる。
その人違いの相手が、彼以上のとんでもない男らしい。
オレよりひどい、オレそっくりの男に興味を持った主人公。
そっくりさんを探す彼に降りかかる数々の災難。

物語の場面場面はそれなりに面白かった。
ただ、小説としてのコンセプトとか哲学とかを期待して読んではいけない。

非現実的なんだけど、私小説っぽい雰囲気が漂う。

その点がシュールで、魅力と言えば魅力かな。

雰囲気で小説を選ぶ方で、だらしない人生に嫌悪感を抱かない方にはお薦めかもです。