書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「心理学用語大全」齊藤勇監修,田中正人編著

2021年04月30日 22時31分30秒 | 読書
「心理学用語大全」齊藤勇監修,田中正人編著


故あって心理学について初歩的な知識が必要になり,この本を手に入れました.
300ページくらいあるので,最初は机上に置いといて,辞書代わりに使おうと思っていたのですが,最初からパラパラと読んでいたら結構面白くて,結局全ページ読んじゃった.
あえてデフォルメした表現で解りやすく書いていて,心理学初心者の私にはありがたかったです.
発達心理学や社会心理学等,分野ごとに有名な説を解説してくれていてサクサクと読めます.
また最近いろいろなセミナーなどに取り入れられて実践的な方法論を明らかにしている「ビッグファイブ理論」や「自己実現の欲求」などについても,大体のことは解るように書かれていて,助かりました.



「セブン」乾くるみ

2021年04月27日 10時29分39秒 | 読書
「セブン」乾くるみ


イニシエーションラブの作者・乾くるみの短編集.
ミステリーというより,知的なゲーム感覚のサバイバルストーリー集になってます.

どれも日常ではありえないような特殊な状況を作って,その中で登場人物が知恵を凝らして生き延びようとする,みたいな.
クイズ好きには受けそうな内容です.
ただ,クイズと言ってもトンチクイズではなく,数字を駆使したものになっていて,算数が苦手な人は最初の20ぺージでギブアップするかも.
数学じゃなくて算数です.整数や組み合わせ問題です.
こんなことで人の生死を決めちゃうの?っていう突っ込みはさておき,ゲームとしてお話を追いかけること自体はとても面白いです.
短編集ですので,シチュエーションもいろんなバリエーションが出てきて飽きが来ません.

さすが「イニシエーションラブ」で私らを騙してくれた作者だけのことはあります.

「ハコブネ」村田沙耶香

2021年04月11日 10時45分32秒 | 読書
「ハコブネ」村田沙耶香


「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香作.

主人公は3人の女性.19歳の里帆とアラサーの椿と千佳子.
里帆は自分のセクシャリティに疑問を持ちつつ,真実の自分を探し続けている.
椿は自分が女であることを極限まで追求し,里帆が女であることを否定しようとする(ように見える)ことを責め続ける.
千佳子は,性を超え,人間としての肉体感覚を否定し,地球と一体化したいと願う.

物語的には,里帆と椿の軋轢を軸に,それとは別次元の座標軸で人生を送りたい千佳子の内面をつぶさに描いたものだ.
そういう意味で,村田沙也加的には,主人公は「千佳子」なんだろうな.
「コンビニ人間」が面白かったし,新聞の書評欄でも評判だったので読んでみました,という経緯なんだが,正直言って,男と女の間には広くて深い溝があるんだなあと,今さらながら痛感したしだい.
哲学的な溝という意味も含めて.
この小説から何を学んだのか?と問われるのが辛い.

なお,この小説の重要な舞台として,「自習室」というのが出てくる.知ってますか?
ググればわかるが,へえ,そんな場所があったんだ.