書く仕事

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「ギフテッド」山田宗樹

2018年07月16日 08時31分55秒 | 読書
「ギフテッド」山田宗樹


世界中の多くの少年少女の体内で未知の臓器が発見される.その臓器を持つ者は「スプーン曲げ」等の超能力を持つことから,ギフテッドと呼ばれるようになる.
始めは,好奇の目で見られる程度だったのが,やがて,その臓器を持つ者が新人類,進化した人類と呼ばれるようになり,「旧」人類からの憎悪を招くこととなり,悲劇が始まる.

同様のスタンスを持つ小説は過去に沢山書かれてきた.
私は筒井康隆氏の七瀬シリーズが好きだが,それら過去の作品と,この作品の最大の違いは,旧人類・新人類ともに感情に走る者が現れ,彼らが破滅への推進役となる点です.
つまり,新人類か旧人類かという分類ではなく,「理性的に振る舞う者」と「感情に走る者」に分けられ,「感情に走る者」たちが,周りのすべての人を巻き込む悲劇を作り出すということ.

考えてみたら,今世界中で生じているあらゆる紛争と,同じメカニズムなのですね.

読み進めることが大変心に痛い小説であるのですが,でも読み終えずにはいられない,という小説でした.