書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「ある閉ざされた雪の山荘で」東野圭吾

2010年01月31日 21時31分22秒 | 読書



東野圭吾さんならではの意外性たっぷりのミステリー.
殺人事件だけどただの殺人事件ではない.
殺人?事件.

殺人をせざるを得なくなった人が,人を殺したという事実を残したいけど,罪を犯すのは,やっぱりいやだと思ったらどうすればいいか?

これ以上言えないのがつらい.

トリックやアリバイ崩しというミステリーの従来のカテゴリーの枠に収まらない作品です.

ま,劇中劇というジャンルがあるのなら,劇中劇なんだけど.
強烈なひねりの効いた劇中劇.
あと,専門用語では,「叙述トリック」っていう分類にも入りそう.
でも,叙述トリックにありがちな,「そりゃないでしょ.」という不満は感じさせない.
やっぱり,アイデアが良いからなんだろうな.
単なる言葉の上での騙しじゃなくて,物語の「仕組み」にタネがあるからだなあ.

そうか,そう来たか! っていう爽快感.

心地よくだまされて下さい.

「本日、サービスデー」朱川湊人

2010年01月26日 10時54分27秒 | 読書



分類するならファンタジーなんでしょうが,ユーモア小説集という言い方もできる.
1本の中篇と,4本の短編で構成.

最初が同じ題名の「本日,サービスデー」で,これのみが中篇.
この作者は初めてですが,うれしい発見.
いいですね.
こういうのを真のユーモアというのだろうな.
知らず知らずに笑顔になっていく自分に気がつくはず.

2本目の「東京しあわせクラブ」はちょっとブラックな話で,他の4本とはかなりテイストが異なります.
5作の中では,最もミステリー要素が強い.
ミステリー大好き中年の私ですが,この作者の良さは必ずしも,この手の小説では発揮しづらいんじゃないかな?

3本目の「あおぞら怪談」,古いアパートにすむ内気な青年が,昔そのアパートで不遇の死を遂げた若い遊女の幽霊に気に入られてしまうというお話.
内気な青年も,その幽霊のことが気に入ってしまい...
っていうユーモアたっぷりのお話.
わっはっは,というおかしさじゃないんだけど,心を湯煎にしてくれるようなほのぼのとした雰囲気の小説.佳作ですね.

4本目は「気合入門」
小学生の男の子が主人公.
彼はいつもお兄ちゃんから馬鹿にされ,いつか見返してやりたいと思っている.
彼は,釣るのが難しいと言われているアメリカざりがにを独力で釣り,兄の鼻を明かそうとするが...
これも,いいですね.
最後の1文が,人生を「肯定」してくれる.

最後は「蒼い岸辺にて」
蒼い岸辺とは,三途の川のほとりのことです.
つまり,まさに死のうとしている人が,最後(?)の数分間で経験したことを見つめた小説.
これは深い話です.そして,とても良い話でもある.
ある意味,この小説にこの作者の本意が込められている気がします.
人が死ぬことの意味.
天寿をまとうすることの大事さ.
精一杯生きていれば,若くして死のうが,100歳まで生きようが関係ない,という気にさせられる.

全編に流れるコンセプトは「人生肯定」.
ポジティブに生きることの気持ちよさを教えてくれます.
同時に,明るく生きるための示唆に富んだ素晴らしい小説集でした.

落ち込んでる学生に読ませてみようかな?

「新参者」東野圭吾

2010年01月23日 17時38分54秒 | 読書


裏切らないですね。この作者。

しかし、もしタイトルしか目に入らなかったら、絶対にこの本を手に取ることはなかったと思います。
いわゆる、作者買いです。
遠くから見ると、「東野圭吾」の方が文字が濃くて、よく見える装丁になっている。
タイトルの「新参者」は金色だけど遠くから見ると地味。

図書館で、この本を見かけた時の、私の気持ちの動きを描写するとこんな具合。

<>おっ、東野圭吾の新刊だな。
<>タイトルは?、「新参者」?何この題名?
<>つまんなそうなタイトルだなあ。
<>どうしようかなあ?でも東野圭吾だし、面白いはずだけど。
<>だけど学会原稿の締め切り近いし読めるかなあ?
<>う~ん。
<>来週もう一度来ようか?でも他の人に借りられちゃうかもなあ?
<>どうしよう?

てな感じ
で、逡巡していると、ふと貸出しカウンター受付のバイト君の視線が気になり、えい、借りちゃえ!
、ということで借りてしまったという次第。

だって選択に迷ったら「より前進する方を選べ」というのが私のポリシーです。
->うそつけ、デパートでは、さんざん迷った挙句買わないくせに

そんなこんなで、期待と不安を胸に借りてきた「新参者」

で、感想。
東野圭吾さんの新しい境地を発見。いやあ面白かった。
タイトルからは想像できない、深みを持ったストーリー。

ある殺人事件に関わる、9つのストーリー。
実際に犯人探しをメインに据えているのは9番目の最後のひとつだけで、他の8つは日本橋という江戸情緒を色濃く残した下町の人々の人間模様。
殺人事件を解決する日本橋署の刑事、加賀の活躍がベースですが、彼が推理するのは、犯行のトリックや意外性ではなくて、犯人やその他の容疑者たちがなぜ、そのような行為に至ったのかということ。
事件の背景には、心温まる家族愛、夫婦愛がある。その暖かいものが、ちょっとしたきっかけで壊れてしまう怖さ、あるいは自分の想いを理解してくれないことへの憤り、さらに、私が一番感動したのは、たとえ相手が理解してくれなくても,その相手を身を挺して守ろうとする真実の愛情ですね。

それらを加賀刑事の暖かいまなざしの筆で描いています。

でも単なる人情話じゃあない。

一つ一つのストーリーに細かな伏線がちゃんと張られていて、後で、それらが一本の太い線にまとまるようになっている構成力はさすがに東野作品。

あと、加賀のパートナーを勤めるベテランの刑事・上杉がなぜか、最初からやる気がない。
上杉は被疑者達の表面的な行為しか見ようとしないし、その行為をステレオタイプの善悪や感情で捕らえようとするので、当然解決のための糸口は見逃してしまう。
それを加賀がちゃんとフォローする.
まあ、シャーロック加賀に対する、ワトスン上杉という設定なんだろうと読者は思うわけです。
ところが,...

いえ、やめときましょう、ネタバレは顰蹙の元。

この分だと、当分は東野シリーズですな。

まずは、ご報告まで。

関係修復能力

2010年01月23日 00時53分08秒 | 日記
人間関係は相性が重要。

でも、友達なら選べるけど、仕事ではそうもいかない。
売り言葉に買い言葉、つい喧嘩をしてしまうことはよくある。

喧嘩をしても得することはないとは分かっている。

勝っても負けてもシコリが残ります。

そんな時、なんとかして相手との関係を修復したい、しかし、仲直りのきっかけが掴めない。

皆さん経験がありますよね。

いったん壊れた関係を修復する能力。
これは重要かつ必要です。
これに優れた人は、世の中で、大抵の困難は乗り越えられる。

だいたい、気まずい時って、相手もそう思っているものなのです。

だから、笑顔で接すれば、相手も笑顔で返してくれるものです。

別に謝らなくてもいいんです。

むしろ、謝らないほうが良いかもしれない。
私が悪うございましたと言っては、話がややこしくなる。

どちらが正しいとか、悪いとかじゃないんですから。

白黒つけるんじゃなくて、「意見の違いは置いておいて、仲良くやりましょうよ」というスタンスを示すことが大事なんです。

この「修復能力=笑顔」の能力は、人を数ランク大きな存在に変えてくれます。

実は私、つい最近まで、喧嘩をしないことが大事だと思っていました。
喧嘩した後の気まずさがいやだからです。

でも、喧嘩をしないためには、かなり「我慢」をしなくてならない。

これは、ストレスになります。
むしろ、言うべきことをズバリと言って、
でもその後に、笑顔で関係を修復する方が良いのかなあと思い始めました。

言うべきことは多少感情的になったとしても、ちゃんと言うべきなんです。

自分のためでもあるし、相手のためでもある。

そして、その後に笑顔で修正する。

これが自然な流れの中でできれば、むしろ理想と言って良いのではないでしょうか?

適量

2010年01月19日 23時09分59秒 | 日記
50歳をはるかに超えると,だんだんお酒が弱くなりまして...
これは仕方ないこと.
前のように飲んでいたら,翌日が大変.

で,最近の私のデータによると,生ビール中1杯と焼酎ロック2杯がちょうど良いみたい.
ほろよい加減のいい気持ちが3時間くらい続き,かつ翌日に残らないということがわかってきました.
もちろん,これはトータルで飲む時間にもよるので,例えば2次会3次会に行くとなると,あと1,2杯くらいは多くてもよさそうですがね.
でも,あと1,2杯で終わらないところが難しいところ.
どうしても,飲みすぎてしまう.

2次会は止めておけということなのかなあ?

自分の健康優先か?付き合い優先か?
永遠のテーマですな.

こんな所にあった!

2010年01月16日 22時17分31秒 | 日記



Windowsパソコンをお持ちで,ワープロを使われる方は,ほぼ100%?ワード(MicrosoftWord)を使われていると思います.
word97~2003は,いろいろ批判はありましたが,公文書のひながたがワードだったりする事情もあり,仕方なしに皆さん使ってきました.
そして,使いづらいなりに,少しずつ慣れてきて,なんとか使いこなしておられるのではないでしょうか?

しかし,VISTAとほぼ同時に発売されたword2007には,多くの方が怒りを感じたことでしょう.

私もこんな,ユーザ無視の改変は許せないと思いました.

従来とユーザインタフェースのコンセプトが全く違う上にメニュー構成の統一感が全くない.

明らかに改悪といわざるを得ない.

まあ,一応こちらは情報系の教育を生業としている以上,「新しいwordは使えないんですぅ」なんて言えないので,仕事だと思って,一通り機能を使ってみました.

しかし,どうしても納得できないので,一言,ブログで悪口を書かせてもらおうと思ったしだい.

従来はWindowsは基本的にはすべての機能が「メニューバー」に入っていて,よく使うものがツールボタンに割り当てられるというコンセプトでした.
そのコンセプトはこの20年近くユーザから支持されてきた.
それに慣れているユーザはwordだろうがエクセルだろうが,マニュアルを見なくても概ね使えていました.

しかし,今度の2007シリーズはメニュー→ツールバーというコンセプトは反故にして,機能の分類をやり直し,使う『場面』タブごとに機能を割り当てるということをやってしまった.
つまり,通常の文書入力や編集作業は「ホーム」で,文書をチェックするときは「校閲」で,という風に場面で分けちゃったんですよ.
だから,文書を流れで作るタイプの人にはいいかもしれないです.
ですが,普通は一人の人が作成をしつつ,修正もする,仕上げもする.
だから,機能は似たような機能ごとにメニューに入れておいてくれれば勝手に使うから,という「わがまま」が以前はできていた.
しかし,2007ではそれが一切出来なくなりました.
使いたい機能が,マイクロソフトが考えた分類のどこに存在するかを探し当てない限り,その機能は使えません.

写真は,最近見つけた機能というか,こんな所に隠れていたのか?という例.

word2003ではツールメニューに入っていた「オートコレクト」機能を外したくていろいろ探していたんですが,しばらく見つからなくてほったらかしにしていたら,ありましたよ,こんなところに.

「ふざけるな」と思いませんか?

いったい,どういう発想から,「オートコレクト」の設定がこんな場所にあるんでしょう?

「wordのオプション」だと?

言ってみれば,文字入力以外は,みなオプションだよね.

ああ,腹が立つ.

.......


でも,書きたいこと書いたら,スッとした.

「こわい伝言」佐野洋

2010年01月13日 21時00分27秒 | 読書


何気ない日常に潜む殺人事件の恐怖.
しかし,ホラーではありません.
むしろ正統派ミステリー.
犯人が意外というより,その動機やプロセスの方に力点をおいて丁寧に作られており,職人的な技術の冴えを楽しめる.
別の言いかたをすると,安心して読める感じです.
短編集です.
佐野さんの短編のうち毎年のベストワンだけを7年分集めて構成した短編集.
当たりはずれがないはずですね.
よく出来た寄木細工をみるような印象です.
これが,ブックオフで100円で買えるのだから,ミステリーファンにとってはうれしい時代です.

積もった!!!

2010年01月13日 10時48分32秒 | 日記


久しぶりですね,雪が積もりました.
熊本では4年ぶりとか.
冬は寒い熊本ですが,なぜか雪は少ない.
大陸から来た寒気団は北九州で雪を落としちゃうので,熊本に来る頃は乾燥してしまうからなのでしょう.

そんなわけで,本当に久しぶりの積雪となりました.

ただ,意外に通勤時の寒さはそうでもないです.

水は凍るときに周りに熱を放射するので,外気温は少し上がるのですね.
例えば,マイナス10度くらいのところで雨が雪に変わると,0度くらいまで気温が上がる.だとすると,確かに意外に暖かいと感じるのも頷けます.

写真は,大学構内の日本庭園.
普段は何気なく通り過ぎる場所ですが,雪が積もると,こんな風情に.


日本最古の酒

2010年01月10日 22時10分51秒 | 日記


日本最古の酒というタイトル。
真贋は定かではないですが、飲んでみました。
味は、紹興酒のような味。
かなり甘いです。
だから、ウイスキーやブランデーしか飲まない人には無理かもしれません。

ラベルには新潟市上原酒造とあります。

私はもともと甘党でもあるので、まあまあ美味しくいただきました。
しかし、やはり、焼酎がいいな。ロックで。
なあんて、贅沢を言ってはいけません。

お酒も料理も、出されたものを美味しくありがたくいただく。
これが私のモットーです。

新幹線と熊本城

2010年01月09日 20時57分16秒 | 日記


完成間近の新幹線架橋が右下に、熊本城が左上隅の方に見えます。
熊本市内某所から撮影。
新幹線が全線開通すると、熊本-博多間が30分になります。
今は特急で1時間30分くらいかかるので、3分の1に短縮されることになるわけで。
福岡出張が多い私としては、うれしいですし、熊本の観光県としての価値が上がるような気がする点は期待できます。
しかし、熊本が、経済やビジネス面で福岡のサテライト化する可能性もあり、不安な面もあります。
まあ、心配しても仕方ないですけどね。なるようになるでしょう。

謹賀新年

2010年01月07日 20時43分12秒 | 日記


皆さま、あけましておめでとうございます。
2010年、21世紀に入ってから10年目に入りました。
早いものです。

父の入院・手術のため昨年暮れは慌しかったので、お正月にのんびりできてうれしいです。

元旦はおせちとお雑煮をいただきました。

なお、富士山の初夢を見られなかった方のために、昨年北海道に行った際に機中から撮った富士山の写真をアップしました。

それでは、本年も宜しくお願いいたします。