書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「札幌アンダーソング」小路幸也

2021年09月26日 14時02分48秒 | 読書
「札幌アンダーソング」小路幸也


主人公は若手の刑事・仲野久.
ある猟奇的な殺人事件の捜査を進めるために,専門家の意見を聞くことになるのだが,その専門家というのが,天使のような美貌を持ち,かつ「変態の専門家」という触れ込みの春(しゅん)少年.
春は4世代前までの先祖の記憶を持つという.100年前のある出来事と,この事件が関係あるらしい...
というオープニングで始まる.
久にしても,春にしても,犯人と思われる青年も,また久の家族や刑事たちも,一人一人のキャラクターが個性的にしかも魅力的に描かれていて,読んでいくのが実に楽しい小説だ.
エンタテーメントとして本当に良くできた作品だと思う.
300ページ近い長編だが,飽きることがない.ほとんど一気読みだった.

小路幸也作品は,「猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷」に続いて2冊目だが,一番有名な「東京バンドワゴン」が未読なのだ.


「ヒカルの卵」森沢明夫

2021年09月16日 16時40分37秒 | 読書
「ヒカルの卵」森沢明夫


去年の11月に「癒し屋キリコの約束」の感想文をアップしたが,これに続いて2冊目の森沢明夫作品.
森沢作品に共通して言えることだが,「人の善意」が常に物語を支配する.
特にこの「ヒカルの卵」には"悪い奴"が一人も出てこない.
そして人の幸せの本質って何だろう?

とある限界集落の養鶏場を営む主人公が「日本一美味しい卵かけごはん専門店」をオープンさせる.
限界集落に卵かけごはん専門店なんか作っても誰も来ないと,皆が思うよね.

ところが...
というストーリーです.

人が追い求める幸せとは,お金なのか,自己実現なのか,村おこしなのか,それとも好きな人との結婚なのか.

では,この小説が提示する幸せとは,,,
さあ,何でしょうか?