書く仕事

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「QJKJQ」佐藤究

2019年10月14日 13時47分26秒 | 読書
「QJKJQ」佐藤究


第61回江戸川乱歩賞受賞作(平成28年)

十七歳の女子高生,市野亜李亜(いちのありあ)が主人公.
彼女は殺人鬼である.
物語が始まってすぐ,ナンパしてきた若い男性をナイフで殺してしまう.

彼女の父親,母親,兄も殺人鬼で,猟奇殺人鬼一家である.
それぞれが得意技を持ち,独自の殺し方をする.

そんな,おぞましくも秘密の共有で繋がれた家庭で育った亜李亜だが,そのような"平穏な"暮らしが,兄の死で急変する.
彼女の兄が自室で惨殺されたのである.
犯人は逃亡してしまうし,母親も行方が知れなくなる.

残された亜李亜と父親との,会話も謎めいている.
父親に疑いの念をいだく亜李亜だが,証拠はない.

一旦家出をして,あることを確かめる亜李亜.

そのあとの展開はネタバレとなるので,省略.

「殺人」というほとんどの人が一生出会うことのない出来事が日常茶飯となっている一家の物語.

いやはや大変な本を手にしてしまったものだ.
怖いもの見たさで最後まで一気読みでした.
心の平安を求めるという目的は全く達成されない物語ですが,読者を夢中にさせるという意味でのエンタテーメント性は優れたものがありそうです.
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「感情的にならない本」和田秀樹

2019年09月26日 08時13分56秒 | 読書
「感情的にならない本」和田秀樹


この本については,新聞だったか雑誌だったか忘れたけど,非常にためになるという評価だったので図書館で見つけて手に取ってみた次第.

目からウロコですね.
怒りや不安などの心の負の動きの特徴を丁寧に解説しており,その特徴をよく知っておけば,パニックに陥ったり,クヨクヨと悩み続けたりして人生を無駄にすることが無くなりますよ!という啓発の書です.

この本の良い点は,とにかく分かりやすく書かれていること.難しい精神医学用語は全く出てこない.
1セクションが2ページで完結するように書かれていて,「結論を早く言え!」と,すぐイライラする人でも,安心して読み進められるようになっている.

私も,あと10年くらい早くこの本に出合っていたら,もう少し心安らかな教員生活が送れたのではないかと思います.

ただ,amazonのカスタマーレビューを見ていて気付いたことが一つ.
結構,批判のレビューが多いんですね.

「クヨクヨ気にせず、行動して忘れましょう。気持ちを外に向けましょう,ということしか書かれてない」
「(朗らかな人は)アベレージ的にはshould思考の人より良い結果を残すということだが根拠はあるのか?」
「読者を馬鹿にしている感じがする」

等です.
これらの批評を見て思いましたね.この本に書かれていることが,投稿者のような考え方を批判していると思った節がある.
つまり,この本を読んで,「あなたのような人はダメなんですよ」というメッセージと受け取ったんですね.
そうではないんです.人の感情にはこういう特徴があるから,それをよく理解していれば,意地になってその感情に付き合わずに済みますよ,ということなんです.

しかし,これらの投稿者は自分の考え方を否定されたと受け取り,「感情的になって」レビューに投稿したという事なんでしょう.
あるいは,筋トレのようにこうすれば必ず感情的にならずに済む.というノウハウを期待していたのかもしれません.そんなものあるわけないじゃないですか.
そういう意味では,この本はまだまだ万人に理解できる書き方になっていないとは思いますが,元々すべての読者に正しく意図を伝えること自体不可能なのかもしれません.
そんな批判者は勝手に怒ってろ,と私なんかは思いますけどね.
あ,それじゃ教師は失格だな.
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猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷 「小路幸也」

2019年09月15日 20時37分51秒 | 読書
「猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷」小路幸也


大学で研究者として仕事している和弥は、ある日帰宅すると妻が猫になっていた.

という出だしで話が始まるので,どんな奇想天外な物語かと思ったが,意外にもストーリーは淡々としている.

神事を生業とする家系を継ぐ和弥は,大学の仕事の傍ら,不吉な出来事があると,そのお祓いをすることが使命だ.
身の回りで起きる様々な不吉な出来事や,悪いものが取りついた物を祓っていく.

妻が猫になったのも,人が入れない場所に,和弥に替わって入り,祓うなど夫を助けるのだ.
ただ,猫になるのはまったく予想がつかず,いつの間にか元に戻るというのも不思議だ.

日本古来の神事には,全く疎い私だが,なかなか面白い言い伝えやしきたりがあり,興味深いものがある.

淡々としてはいるが,妻の愛情の描き方もほのぼのとし,心が温まる物語だった.



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「よろずのことに気をつけよ」川瀬七緒

2019年08月21日 11時39分33秒 | 読書
「よろずのことに気をつけよ」川瀬七緒


第57回江戸川乱歩賞受賞作.
呪術ミステリーというキャッチコピーが付けられているとおり,陰惨な殺人現場に,「呪いの御札(おふだ)」が埋められていることがわかる.
どうやら,被害者はとんでもない呪いを掛けられていたようだ.

果して,被害者は呪い殺されたのか?

被害者・砂倉健一郎は高齢で,その孫娘である砂倉真由と彼女をサポートする文化人類学者の仲澤大輔が主人公.
呪いの札を見つけた真由が,この方面に詳しい仲澤を探し当て,訪問するところから物語が始まる.
二人は協力して,事件の謎を解明しようと悪戦苦闘する.

次から次に奇妙な事実が出現して謎が深まっていくストーリー展開から目が離せない.

正直言うと,江戸川乱歩賞受賞作なんだから,どんでん返しを期待したけど,アクションサスペンス的な終わり方だったのは,個人的にはやや不満が残る.
だけど,最後まで夢中で読ませることは間違いない.

日本古来の伝統的呪術について勉強にもなった.
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「真犯人」翔田寛

2019年07月28日 08時43分40秒 | 読書
「真犯人」翔田寛

中古車販売店を経営する初老の男性が殺される.
場所は東名高速道路にある高速バスのバス停近くの植え込み.

捜査が進むうち,被害者は,40年も前に起きた幼児誘拐殺人事件の被害者(当時5歳)の父親であったことが判明する.
そして,その幼児誘拐事件は警察の懸命の捜査にも拘らず犯人が上がらず,ついに20年以上も前に時効を迎えていた.
担当刑事の日下悟警部補は,幼児誘拐殺人事件の管理官だった重藤元警視から当時の詳しい話を聞きに行き,このことから物語が展開していく.

本格的な警察小説だが,話の骨格が太くて重厚かつ味わい深い名作だ.

人の心理も丁寧に描かれ,ついつい登場人物に感情移入してしまう.
読み手が誰の味方をしていいのか分からなくなってしまうというか...

ミステリー小説としてのこの本の特徴だが,様々な状況証拠があり,それらを繋ぎ得る1本の筋書きを,各捜査官一人一人が組み立てようとする.
つまり仮説から事実を導こうとするわけ.
結果的に,同一の事実群から,様々な筋書きが出来てしまう.
でも,警察の捜査は,本当はそうであってはいけない.
事実から,その事実が起こり得るのは,この原因でしかありえない,という論理でなければ,立証したことにはならない,ということを主人公がつぶやく.
探偵ものに対する著者の不満が吐露されているのかも.

主人公の日下悟警部補は,翔田寛さんの他の小説にも登場するらしいので,そっちも読んでみたいですね.

読みごたえたっぷり,フルコースのイタリアンを食べたような満足感ある1冊でした.
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「あわせ鏡に飛び込んで」井上夢人

2019年07月03日 12時36分48秒 | 読書
「あわせ鏡に飛び込んで」井上夢人



過去に「魔法使いの弟子たち」、「解決まではあと6人」、「クラインの壺」、「どんなに上手に隠れても」を読んでます。
なお、「どんなに上手に、、、」は岡嶋二人のペンネームで書かれたもの。

この「あわせ鏡に飛び込んで」は日常に潜む狂気と恐怖を描いた短編集で、気をてらうことなく、著者らしい本格的なスリラー集にまとまっています。

表題作の「あわせ鏡に飛び込んで」と最後の「書かれなかった手紙」はテレビドラマにもなりそうな、後味良いミステリーですが、井上さんの本領が発揮されている作品は「あなたをはなさない」と「私は死なない」だろうと思います。
恐怖のレベルが違う感じです。

後ろの2作はまさにゾッとするお話ですので、梅雨の鬱陶しさを一時でも忘れたい方はお試しください。
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「ときどき旅に出るカフェ」近藤史恵

2019年06月26日 14時58分05秒 | 読書
「ときどき旅に出るカフェ」近藤史恵


続けて近藤史恵さんの本を読んでしまった。
カフェーで出されるスイーツの美味しそうなことと言ったら。

平凡でドラマチックなことなど何も起こりそうにない自分に幻滅しつつ、それでもこれからの長い人生を一人で生きて行かなくてはならないOL、瑛子。一応、この瑛子が主人公。

そんな瑛子が帰宅途中で見つけた一軒のカフェ。そこのオーナーは以前の同僚の女性だった。

そのカフェーのオーナー兼パティシエの円(まどか)がなかなかの人物で、スイーツの新作を次々に披露してくれるだけでなく、名推理も働かせる。

ただ、ちょっとつらい過去も抱えていて、最後の方で、その問題が再燃して緊迫感あふれる展開となる。

この方の小説に漂う「暖かさ」と「したたかさ」の絶妙なバランスに魅入られた気がしてます。

もう1冊行ってみる?
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「モップの精は旅に出る」近藤史恵

2019年06月18日 18時23分19秒 | 読書
「モップの精は旅に出る」近藤史恵


清掃派遣会社から派遣されるキュートな清掃人キリコが、派遣先で掃除しながら、そこで起こった様々な事件を解決する。
シリーズ4作目にして最終作とのこと。
4話からなる短編集の形をとっている。
それぞれに語り部となる主人公がいて、その人の見聞きしたことを中心に物語が進行する。
キリコはその物語の登場人物の一人である。
「犯人は君だ」的なことを言う存在ではなくて、事件を解決することより、事件によって心を痛めている人を助ける、あるいは、癒すための証拠や事実を明らかにしていく。
キリコシリーズは過去に「天使はモップを持って」を読んでます。
とても面白かったことを記憶しています。
今回はキリコ自身の悩みが最後に取り上げられています。
シリーズ最後のエピソードにふさわしい胸に迫るお話になっています。
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「チェインギャングは忘れない」横関大

2019年06月14日 22時20分23秒 | 読書
「チェインギャングは忘れない」横関大


護送車が襲撃され、護送中の5人の男が逃走した。
襲撃したのは、逃げた男の一人、大貫修二の仲間達らしい。
ただ、奇妙なのは、大貫は実は無実の罪で逮捕されたらしく、裁判で無実を晴らせばよいはず。
逃げれば有罪を認めることにもなる上、罪も重くなる。
護送車を襲撃して大貫を助けた者たちは何者か?
何のために大貫は逃げたのか?
謎が謎を呼ぶ。

横関さんの小説は「K2」以来、2冊目。
前作も面白かったが、この「チェインギャングは忘れない」も、なかなか良かった。
このトリックは、ちょっと、ルール違反(?)な気もするけどね。
ヒーローのカッコ良さに免じて、「OK」。
さすが、江戸川乱歩賞作家。
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「たまさか人形堂それから」津原 泰水

2019年06月04日 08時49分49秒 | 読書
「たまさか人形堂それから」津原 泰水


人形の修復を主業務とする「たまさか人形堂」の店主 澪と彼女を取り巻く富永君,師村さんという奇妙な従業員達との物語.

市松人形,マリオネット,マネキン,タコ人形等いろいろな人形が出演して,ストーリーを紡ぎます.

親の後を継いで仕方なく店を継いだ澪と,人形作りに情熱を注ぐ人形作家達との人形に対する温度差もテーマのひとつだが,結局,「仕事」というものに対する哲学をあぶりだしている気がします.
いわゆる職人と呼ばれる人たちの自分の仕事に対する,誇りや自負と,生きていくのに必要な経営・経済的思考のギャップが様々な摩擦を生じさせているわけで.
よくある話ではあります.
自分は「こうしたい」
でも
周囲は「こうさせたい」
そのぶつかり合い.
肝心な点は,その間に愛・思いやりがあるか否かですね.

タイトルからわかるように,前作「たまさか人形堂物語」があり,その続編です.
私はまだ前作を読んでおらず,たまたまこの本を先に図書館で手に取ってしまったという次第.

良いお話でした.
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「襲名犯」竹吉優輔

2019年05月27日 23時14分44秒 | 読書
「襲名犯」竹吉優輔


第59回江戸川乱歩賞受賞作
私的にはこの賞の受賞作はほぼ100%面白いと感じる.

この賞のコンセプトが私のミステリーに対する嗜好と合っているんだろうと思います.
最近は,江戸川乱歩賞の受賞作リスト(ネットで簡単に検索できる)を,片端から読んでいる感じ.

さて,この「襲名犯」
タイトルから想像できると思うけど,ある猟奇殺人の犯人が捕らえられ,死刑となり,執行される.

つまり,この犯人はこの世にいないわけです.

しかし,その犯人の犯行声明や様々な情報を見て犯人に心酔し,その跡を継ぐもの(襲名)するものが現れる.

契約職員の司書として図書館に勤める南條仁は複雑な家庭に育ったが,今は図書館の仕事に生きがいを見出している.
仕事仲間もできた.

しかし,あるお客さんから資料集めの依頼があり,それに対応しているうちに,そのお客が,先の襲名犯ではないかという疑いが出てきた.

実は仁には双子の兄がいた.
その兄は死刑となった犯人に殺されていたのだった.

襲名犯はなぜ,被害者の弟に接触を図ってきたのか?

しかも,そうしているうちにも,犯行が繰り返され,死者が増えていく.

仁の苦悩は増々深まる.

仁の幼馴染の女の子が警察官(刑事)になっていたり,親友だった男子が小説家になって仁の事件を小説にしたいと言ってきたり,物語がどんどん,複雑になっていく.

江戸川乱歩賞は新人の登竜門的位置づけなので,功成り名遂げた小説家ではなく,粗削りでも勢いのある作家に与えられる.

この小説は,まさにそんな感じ.

コントロールは悪いけど160kの剛速球で三振を取る新人ピッチャー,って感じ.

次回作が楽しみだ.
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2018年に読んだ本

2019年05月14日 08時53分52秒 | 読書
2018年に読んだ本のリストです.
毎年,年明け早々に前年に読んだ本の一覧をアップしてるんですが,今年は定年退職間際で,研究室の整理と荷造りに忙殺されて,延び延びになってました.
以下,2018年の1月から読んだ順に並んでます.

1 「真綿荘の住人たち」島本理生
2 「押入れのちよ」荻原浩
3 「オランダ宿の娘」葉室 麟
4 「カネと共に去りぬ」久坂部 羊
5 「食べる女」筒井ともみ
6 「言ってはいけない」橘玲(たちばなあきら)
7 「異次元の館の殺人」芦辺 拓
8 「コルヌトピア」津久井五月
9 「魔法使いの弟子たち」井上夢人
10 「滔々と紅」志坂圭
11 「リミット」五十嵐貴久
12 「プリズントリック」遠藤武文
13 「ギフテッド」山田宗樹
14 「殺人現場へどうぞ (講談社文庫ミステリー傑作選 2)」日本推理作家協会(編)
15 「虚構のアラベスク」深水黎一郎
16 「コンビニ人間」村田 沙耶香
17 「はるか HAL-CA」宿野かほる
18 「ヒア・カムズ・ザ・サン」有川浩
19 「跡を消す」前川ほまれ
20 「噛みあわない会話と、ある過去について」辻村深月
21 「宇宙の果てになにがあるのか」戸谷友則
22 「ハッピーリタイアメント」浅田次郎
23 「ファーストラブ」島本理生
24 「十三階の神(メシア)」吉川英梨
25 「七つの試練 池袋ウエストゲートパークXIV」石田衣良

こうしてみると,いつもながら,ミステリーが中心ですが,人間ドラマ的な小説も織り交ぜて読んでますね.

私が選んだベストスリーは...
10 「滔々と紅」志坂圭
23 「ファーストラブ」島本理生
24 「十三階の神(メシア)」吉川英梨

また,それぞれの記事にアクセスするには,検索窓にタイトルをペーストして,このブログ内で検索していただけると出てきます.

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「臨床真理」柚月裕子

2019年05月13日 21時50分56秒 | 読書
「臨床真理」柚月裕子


臨床心理士の佐久間美帆はやっかいな患者,藤木司を抱えていた.
司は美帆に対して心を開くことなく,一切口をきいてくれない.
司はしばらく前に,同じ福祉施設に居た少女,彩が自殺してしまい,その事実を受け入れられないのだ.

美帆は粘り強く,時間をかけて司と対話を試みると,司はある奇妙なことを口走るようになる.
人が何か言うと,「赤」「白」「黒」などとつぶやくのだった.
さらに司は,彩の死は自殺ではなく,誰かから殺されたという.
彼は何を知っているのか?また,他人の発言に色名で反応するのは何を意味するのか?

なかなか読み応えのある骨太のミステリーだった.
後半の展開は,若干見えてしまったが,それでも十分楽しく読むことができた.
楽しいというのは,ミステリーとして楽しいという意味で.ストーリーとしては,「おぞましい」話である.

2008年このミス大賞受賞作.

精神科医,臨床心理士,看護師の仕事の上での関係なども興味深く読ませてもらった.
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「偽りのラストパス」生熊直樹

2019年04月29日 09時14分38秒 | 読書
「偽りのラストパス」生熊直樹


バスケットボールに青春のすべてをかける中学生男子,陽司.
県大会で優勝し,全国大会に出場するという夢があった.
しかし,彼には病弱な弟がいて,母と共に弟を守らねばならないという使命感も持っていた.
バスケットと家族という2つの重い荷物を抱えながらも充実した日々を送る陽司だった.

そんな陽司に,理不尽な悲劇が襲い掛かる.
彼らの家に下宿していた若者,小金井が一家の幸せをぶち壊してしまうのだ.

しかし,その卑劣な小金井が不審な死を遂げたことから,事態は思わぬ方向に進展する.

うん,なかなか面白かった.
作者の思わせぶりな描写から,表面的な事実とは違う真相があるのだろうということは分かるし,真犯人は多分この人だろうなというのも,ミステリー好きな人なら分かると思います.
そう,あなたの予想通りです.
でも,じゃあ,動機は?
となると,そこまで全て見通せるかな?
ってところで.
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「ダンデライオン」中田栄一

2019年04月22日 10時37分17秒 | 読書
「ダンデライオン」中田栄一


プロ野球選手を夢見る11歳の少年,蓮司(れんじ)が主人公.
ある時,試合中に打球を頭に受け,意識を失う.
しかし,目覚めてみると,自分の体は30歳の青年になっていた!


時を経た殺人事件と恋愛の行方.
観測済みの事実と未知の出来事の対照.

タイムトラベルものは,因果関係の論理性が破綻しないよう作者はとても苦労すると思うんですが,この小説は非常によくできている.
過去の自分と,未来の自分が一日だけ意識を交換するという手法も斬新だし,論理の展開も見事に成功していると思います.
また,ベースに殺人事件があり,その犯人の意外性も通常のミステリー小説以上のクオリティがある.

観測済みの事実から,未知の出来事への移行も見事です.

ううむ,よくこんな設定を考えたものだと感心しつつ読了.

最初の30ページは,メモを取り,線図を書きながら,時間的繋がりを確認しつつ読まれることをお勧めします.

蓮司君と彼女との関係が,通常のカップルとは全く異なる関係性の中で,少しずつ発展して行く過程も微笑ましい.

うん,よくできている.
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