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「オランダ宿の娘」葉室 麟

2018年02月26日 22時20分58秒 | 読書
「オランダ宿の娘」葉室 麟




オランダ商人を泊めることを許された江戸唯一の旅館、長崎屋の人々と、オランダ商館館長そして、あの「シーボルト」に纏わる悲劇。
長崎屋には「るん」と「美鶴」という美しい姉妹がいた。
彼女らには未来や死者が見えるという不思議な能力があった。しかも、その能力は、結果的に周りの人を不幸にしてしまうことが多く、できればその力は封印してしまいたい。
一方、シーボルトは、純粋に日本文化を研究したい気持ちとは別に、日本の軍事的な機密情報を得て、祖国に貢献したいという野心をも持っており、このことが姉妹の不思議な能力と重なり合って、とんでもない悲劇を、巻き起こしてしまう。

ストーリーの8割くらいは史実に沿っているようで、幕末の歴史の参考書としても興味深い。
江戸時代には史実として何度か大火があり、この物語の骨子を形作っているのも面白い。
長崎を訪れたことのある人にはシーボルトはお馴染みだと思うが、彼の意外な側面を知ることができる点も収穫だ。

小説としても面白いし、歴史の参考書としてもお勧め。