書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

7月30日(木)のつぶやき

2015年07月31日 02時50分46秒 | 日記

「夜より黒きもの」高城高

2015年07月30日 08時44分03秒 | 読書
「夜より黒きもの」高城高




1980年代の札幌ススキノを舞台とした夜の街の物語です.
一人の主人公が活躍するが,5つのストr-リーからなる短編集の形になっています.

「キャバレー」という死語になってしまった舞台の上で繰り広げられる風俗と裏ビジネスの物語.
黒服と呼ばれるキャバレーの敏腕スタッフ黒頭悠介(くろずゆうすけ)が主人公.

地上げ屋と立ち退き拒否を貫こうとする店主らのバトル.
覚せい剤に嵌ってしまったホステスさんを巡るイザコザ.
外国から来たミュージシャンの気弱なマネージャーの出奔を巡る騒動.
売れっ子ホステスさんの熾烈な引き抜き合戦.
証券マンの客と,株で大損させられた客.客同士のイザコザを体を張って収めようとする黒頭の奮闘.

等等,私も含めてこのレビューの読者には想像もつかない裏社会の混乱が,比較的淡々と語られます.

ハラハラドキドキな場面は無いが,へえ~という社会勉強はできます.

ま,社会学の参考書ということで.

「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」坪田信貴

2015年07月19日 15時54分02秒 | 読書
「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」坪田信貴




評判の本だし,一応こちとら教育者だし.ってことで,まあ読んでおこうか,みたいな理由で読み始めた本書.

面白かったし,いろいろと考えさせられる内容があった.

読む価値は大いにあります.読んでよかった.

志と努力を継続する意志の力があれば,大抵のことはできるということなんだけど,今の世の中,その両方を邪魔する要素に満ち溢れていることが問題なんだ.
よい教育者とは,生徒に降りかかる邪魔な要素を一つ一つ取り除いてあげることなんです.

当然,教育とはマントゥマンにならざるを得ない.

しかし,基本的に学校教育は教室で,1対多数です.

だから,学校では真の教育はできない.
これが現実です.

教育ができるのは,塾か大学です.
大学は先生の努力次第では,マンツーマン教育が可能だからです.

やろうとすれば大変ですけどね.不可能ではない.

ただひとつ不満な点は,慶応に入ることだけが目的であるかのような書き方になっていること.
慶応に入って何がやりたいかをもっと出してくれれば,もっと良かった.

「書店ガール4 パンと就活」碧野圭

2015年07月19日 00時20分16秒 | 読書
「書店ガール4 パンと就活」碧野圭



新しいテーストの人生本だ。

書店ガール1~3巻でヒロインを務めた理子(店長)と、亜紀(書店員)は、それぞれカリスマ店長、カリスマ書店員として他の部所に栄転してしまう。
第4巻は、残されたバイト愛奈と、彼女の友人で別の書店の契約社員である彩加がヒロインとなり、就活を通して、仕事とは何か、さらに働くことの本当の意味を学ぶ心の成長ストーリーとなっている。
この2人は、1~3巻の2人が武闘派的活躍をする一面を持つのに対し、自分の能力に自信がなく、つい長いものに巻かれろ的な生き方しかできない。
その結果、将来に大きな不安を抱えている。
そんな2人が、いやそんな2人だからこそ、つらい状況の中で自分の思いを仕事にぶつけ続けることで、人生の本当の目的と意味を見つけることが出来るのだ。
有利不利や損得で自分の将来を選択することの空しさが浮き彫りにされる。
特に、愛菜と一緒に就活をしている同級生が、会社の待遇や将来性ばかりを気にし、仕事の中身に対する思いが全く感じられない態度が何とも空しいものに感じられる。

これから就活をしようとしている若い人に勧めたい1冊だと思う。

そうそう、愛菜がバイト先の書店で「就活フェア」と銘打った特設コーナーの企画をするのだが、そこに並ぶ書籍のタイトルリストが、綺羅星のごとく優れた人生本リストになっている。
このリストを見るだけでも、1000円の価値はある。

「母性」湊かなえ

2015年07月10日 09時41分45秒 | 読書
「母性」湊かなえ



心の闇を書かせたら、この人の右に出る作家はいないかも?
姑の嫁いじめの場面は陰惨さを通り越して、もはや「芸」の域に達しているようだ。
ただ、この姑さんのような人は現実にもいそうな気がするが、嫁のような人は、そうはいないと思う。普通は、姑には服従するふりをして、他所で悪口を言ったり、亭主に泣きついたりして、うさを晴らすものでしょう。
しかし、、、

湊かなえさんの文章の求心力にはすさまじいものがあります。例えば、初期の筒井康隆さんみたいな。
力ずくで物語の中に引きずりこまれる。
なので、意識してエンターテイメントだと思い、もしかしたら、こんな人生もあるかも?という、事例研究のサンプルとして読ませていただきました。
そうしないと読んでて怖いもの。

「書店ガール3 託された1冊」碧野圭

2015年07月05日 23時18分27秒 | 読書
「書店ガール3 託された1冊」碧野圭



面白いね.
毎回微妙にテーマが変わる.
今回は,東日本大震災から3年たち(現在だと4年だけど,この本では3年),人々の心が悲劇を忘れようとしている頃.
店長が板についてきた理子が東北エリアの立て直しのため仙台に長期出張する.
苦労しながらも何とか立て直しに成功したころ,震災3周年を迎えるが,仙台の支店長代理の沢村から震災にまつわる哀しい出来事を聞く.
その話がきっかけとなり,東京エリアで大々的に震災復興3周年イベントをやることになる.
震災復興というと,どうも暗いイメージがまとわりつき,書店の売り上げを伸ばすための華やかなイベントにならないのではないかという幹部の反対に会う.
ここまでは,読者も,理子に同情しつつも,そうかもなあと思う.いや,思わされる.
しかしである.ここからが書店ガールです.

部下の亜紀の素晴らしいアイデアで,イメージ一新.
客を呼べる震災イベントを作り上げてしまう.
この辺が書店ガールならではの,アドレナリンコーナーです.
あとは読んでのお楽しみ.

この本の素晴らしい点は,人が働くということの本質を読者に提示してくれること.

読者に,「君は何のために働くの?」と問いかけてくる
世の中,ワークライフバランスだの時短だの,景気が上向いているせいもあって,いかにして働く時間を減らして,遊ぶ時間を増やすかに汲々としている感じがする.

働くことってそんなに嫌ですか?働くことは罪悪ですか?

土日に出勤すると,大変ですね~と言われる.
いえ,貧乏暇なしでして...なんて答えて煙に巻く私ですが,本当は「好きで来てるんです」
そういうと嫌味っぽいから言わないだけで.

この本を読んで,正々堂々と言える気がしてきた.「私,仕事が好きです」とね.

「書店ガール2 最強のふたり」碧野圭

2015年07月01日 23時41分50秒 | 読書
「書店ガール2 最強のふたり」碧野圭




第1作目に続き、第2作目「最強のふたり」も一気読み。

第1作目では、男社会の中における、女子書店員二人の悪戦苦闘がストーリーの中心であったが、この第2作では本を読むことの喜びと、書店員としての生き甲斐が中心となっており、本好きとしては、この第2作目の方が、惹かれるものが大きかった。

書棚には書店員の人柄が現れる。書店員に限らず、仕事にはその人が表れるんだな。
いい加減な奴はいい加減な仕事しかしない?

ただ、そのいい加減さは個人だけの責任ではなく、組織が生き甲斐を感じる環境を提供していないせいもある、という主張も込められている。

しかし、そんな環境の中でも、頑張る人もいるわけで。

仕事の上での愚痴や不満が如何に自分の人生を狭くしているかが良く分かる。

社会の縮図のような書店・出版業界の人間模様と仕事ぶりがたまらなく興味深い。

さあ、次は3作目だ。