書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「コロナと潜水服」奥田英朗

2022年09月25日 11時55分05秒 | 読書
「コロナと潜水服」奥田英朗


ちょっと不思議で,大いにホッコリする大人のファンタジー5編.
奥田英朗さんの小説は,仕事や人間関係に頑張り過ぎちゃう人が,ちょっとした出来事から自分の欠点に気付いて,生き方を変えてみるという趣旨のお話が多いですが,その,「ちょっとした出来事」ってのが,この小説ではかなりオカルトチックです.
昔,心残りを抱いたまま不本意な理由で亡くなった人が,主人公に対して何らかの働きかけをして想いを遂げるという趣向のお話です.
ただ,その「想い」というのが,「恨みつらみ」じゃなくて,残された家族を心配する想いとか,生前にあと少しのところで果たせなかった夢とかの切なさに満ちた「想い」なわけですね.
その「想い」と,主人公が抱える現状の問題というか苦しみとを巧みにリンクさせ,ファンタジックにかつユーモラスにアレンジする手腕はさすが奥田さん,見事なものです.
5つの全く異なるお話からなる短編集です.
私的には,最後の「パンダに乗って」が一番よかった.最後はグッときました.

「夢をかなえるゾウ」水野敬也

2022年09月11日 22時31分01秒 | 読書
「夢をかなえるゾウ」水野敬也


先日紹介した「人生はニャンとかなる! ―明日に幸福をまねく68の方法」の著者の作品.

カテゴリのタグとしては一応「小説」に分類したけど,啓発本的な性格が強いね.

人生の成功者になりたいと思いながら,平凡な毎日に埋没してしまっている主人公(僕)が,摩訶不思議なゾウ(ガネーシャという神さま)に出合い,教えを受けることで夢に向かってガンバルお話.

人生の成功者になるためというより,今の「僕」の日常の何がまずいのかを一つ一つ取り上げ,毎日1つの「課題」が提供される.
その課題は「靴を磨く」だの,「募金をする」だの,「会った人を笑わせる」だの,「成功」とどう関るのかよくわからないものばかり.
これらの真意は,やがて種明かしがされるが,なるほど,確かに成功者なら必ず意識していることだろうなと思わせる説得力あるものばかり.

この本のタイトルに「夢をかなえる」というキーワードが入っているが,「人生はニャンとかなる! ―明日に幸福をまねく68の方法」には「幸福をまねく」が含まれている.
この2つは同じではないし,違いは結構大きいと思う.やるべきことも違うような気がするなあと思っていたら,本書の最後の10ページくらいに,ようやくその種明かしがされて,僕としてはフムフムと納得した次第.

人生に成功したい方はぜひ,お読みください.

「炎上フェニックス」石田衣良

2022年09月06日 14時01分46秒 | 読書
「炎上フェニックス」石田衣良


おなじみの池袋ウエストゲートパークシリーズ.第17巻.
1998年に第1巻が出版されてから,途中数年のお休みがあったものの,年1巻のペースで刊行されてきています.
若者文化というか,日常生活で私がなかなか体験できない社会風俗を学ぶには最適な教科書となっています.

今回も「パパ活」や「ネット炎上」で苦悩する若者たちのトラブルを,マコトとタカシのコンビが痛快に解決します.

それにしても,このシリーズ,いつまで続くかな.

と思いつつ,出ると必ず読んでしまう私でした.