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書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

グー から アメブロ へ お引越し.

2025年05月02日 21時04分16秒 | 日記
goo blogが2025年11月18日に廃止されることになりました.20年近く雑文を投稿していたので,大変残念です.
なお,コンテンツについてはアメブロやはてなブログに引っ越しできるシステムがgooより提供されましたので,アメブロの方に引っ越しすることにしました.
アカウント作成とデータの移動に1週間ほどかかりましたが,ようやく引っ越しが完了しました.
よろしかったら,こちらの方もよろしくお願いいたします.


「ニセモノの妻」三崎亜記

2025年03月08日 21時55分39秒 | 日記

「ニセモノの妻」三崎亜記
三崎亜記さんは「となり町戦争」で有名ですが、本作では、夫と妻の二人暮らしの日常に訪れた不条理なトラブルが描かれます。
4篇からなる短編集。
「終の筈の住処」 終の住処のつもりで買ったマイホームでの新生活には思いもよらぬ落とし穴があった。
「ニセモノの妻」 ある日突然、世界のあちこちで、自分はニセモノの自分だと訴える人が現れる。自分の妻がそうなってしまった男性の困惑。
「坂」 マスコミに取り上げられたことから観光名所と化したある住宅街の坂道。観光客の激増と迷惑行為に業を煮やした一部の住民が坂の両端にバリケードを築いて観光客を締め出そうとするが。
「断層」 ある日突然に姿が消えてしまう人が続出する。しかも、24時間後つまり、翌日の同じ時刻に何もなかったかのように、姿を表し、本人は24時間の空白に全く気付いてないことがわかる。


この本で描かれるトラブルは上に示したように、現実にはありえない不条理な世界ですが、待てよと、こんな気がして来たのです。
我々の現実の世界で起きる様々なトラブルも、当事者にとっては、天から降ってきた不条理な出来事に思えますよね。「僕は何も悪いことをしていないのに、なんでこんなことが、、、」ってね。
そういう意味では、この世の中自体が、もともと不条理な世界なのかもしれません。

「魔力の胎動」東野圭吾

2025年02月21日 19時15分41秒 | 日記
「魔力の胎動」東野圭吾

僕の中では,「困ったときの東野圭吾」というのがあって,何を読もうかと迷った時はこの方の小説を手に取るようにしてます.
ミステリーなので,ストーリーを述べるのは控えますね.
まずは,題字をご覧ください.
タイトルの下に,'Laplace's movement' とあります.
movementが「胎動」なのはまあ許せるとして,Laplaceが悪魔になってる?
まあ,「ラプラスの悪魔」という言葉があるからってことで,納得することを期待しての英題字なのでしょうね.
秋田行きの新幹線を秋田小町からの連想で「こまち」と名付けるようなものかな.
勘の鋭い人はこの日米のタイトルから,おおよそ物語の骨組みが読めるかもですね.
そう,おっと,ここまで.
ただし,この小説で用いられたアイデアというか発想は,科学の世界ではかなり,古いネタになり,「カオス理論」「三体問題」「初期値鋭敏性」などをご存じの方には,物足りない題材かもしれません.
しかし,ネタの新旧はともあれ,東野圭吾さんはとにかくストーリーが面白いし,登場人物がとっても魅力的.
安心して東野ワールドに浸ることができます.
東野圭吾の別の作品「ラプラスの魔女」の前日譚になっているらしい.未読なので,これから読んでみるつもり.

「ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパークXVIII」石田衣良

2025年02月08日 00時10分09秒 | 日記
「ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパークXVIII」石田衣良
おなじみ池袋ウエストゲートパークシリーズの第18巻.
今回も現代社会の闇に苦しむ若者たちを,マコトがタカシやゼロワンの力を借りて,鮮やかに救出する.
4編の短編集になっている.1編に一つずつテーマがある.

「常盤台ヤングケアラー」
祖母と二人暮らしの15歳の女の子が,祖母の認知症発症をきっかけにほぼ一日中介護をすることになる.祖母がようやく眠った深夜数時間にクラブに通うことだけが心の慰みであるが,そんな彼女を風俗店のスカウトが執拗に勧誘する.

「魂マッチング」
マコトをITの力で助ける,ホワイトハッカー,ゼロワン.珍しく今回は彼が主人公.なんと.ゼロワンがマッチングアプリを通じてある女の子に恋をする.ところが,その女の子に悪魔のような組織の手が迫っていた.

「神様のポケット」
賽銭泥棒で捕まったかわいそうなアジア系留学生.なぜかわいそうかって?それは読んでのお楽しみ.

「ペットショップ無残」
石田衣良の小説はいずれも綿密な現地調査に基づいているので,もしここ述べられているペットショップの状況が本当ならば,日本はとんでもないクズの国だが.....

このシリーズ,マンネリだとか言って批判する向きも多いが,僕にとってはすばらしい社会勉強の教科書みたいなものだし,退屈な日常にさわやか風を吹き込んでくれるソーダ水のようなもの.
シリーズが続く限り読んでいくつもり.

「聖女の救済」東野圭吾

2024年03月27日 11時31分38秒 | 日記

「聖女の救済」東野圭吾

本格推理ものは,もちろんトリックが大事なんだけど,トリックだけでは,よく出来た「なぞなぞ」や「クイズ」と同じで,感心はするけど,心には残らない.
東野圭吾作品の面白いところは,トリックの奇抜さもさることながら,それに溺れることなく,謙虚にかつ丁寧に犯人の心理を描くことで,いつの間にか読者が犯人の心に同調してしまう点にあると思うのです.
気が付くと「どうか捕まらないで,犯人さん」って思ってしまうのね.
東野圭吾作品はそこがすばらしい.

ある資産家でイケメンの会社社長が密室状態で毒殺された.
捜査の結果,容疑者は被害者の妻1人に絞られるが,彼女には犯行当時は北海道旅行中であったという決定的なアリバイがあった.
さらにややこしいことに,その容疑者に,担当刑事の草薙(ドラマでは北村一輝が演じた役ね)が運命的な恋をしてしまうのでした.
草薙としては何とかして,彼女を無罪放免にしたいが,部下の内海薫(ドラマで柴咲コウが演じた役)が執拗にアリバイ崩しに奔走する.
ただ,悲しいかな彼女の力では犯人の鉄壁のアリバイを崩せず...でどうするかといえば,そうあの人に相談に行くのです.
そこから先は説明不要だよね(笑)

私も歳とともに,活字を追うのがつらくなってきていますが,今回は久々に視力の衰えを忘れて,一気読みしてしまった東野作品でした.

ミステリーって本当に楽しいですね.

「哲学的な何か,あと科学とか」飲茶

2023年01月05日 10時50分18秒 | 日記
「哲学的な何か,あと科学とか」飲茶


前回投稿した「心はこうして創られる」は,脳と心の関係を,従来の常識を打ち壊す形で解いて見せた本でした.
この本には私自身大きな衝撃を受け,心というものを真に科学的に解き明かすことに強烈な魅力を感じました.
心を科学するという意味では,心理学や精神医学がありますが,門外漢ながら感じるのは,これらの学問では,ブラックボックスである心の動きを現象面から分析し,帰納的に心はこういうものだという説を唱えているような気がします.

しかし,私が知りたいのは,自分自身がいろいろなできごとをどう感じるのか,こう感じている自分はどこから来たのか,死んだら自分という意識はどこに行くのか,というような心の内面というか,自分自身として納得できることなんですね.
心理学や精神医学をどんなに勉強しても,死んだら人間の心はどうなるかはわからないでしょ?

となると,やっぱ「哲学」ですよね.で,この本です.
いや別に死後の世界を詳しく述べてるわけじゃないので誤解されるとまずいのだけど.

人間の意識というものの「実体」が何となく,ふわっとですが,「あ,そういうこと?」となります.「そういうこと」の中身は必ずしも具体的ではなくて,「わかった」とまでは決して言えないんですが,意識というものの様々な側面を,からめ手から解きほぐしてくれるみたいな,というか,ええいもどかしい.

もっとわかりやすく言うと,「人間の心を考える教材を与えてくれる本」というのが近いかな.
結論は書いてないし,著者も解らないのだろうけど,こんな方向で心を考えると,何かが見えてくるかもよ,みたいなね.

科学は,実は科学的・論理的ではないこと,が良くわかります.科学は本当は哲学の上に成り立っているんだということ.

それでなるほどと思ったのは,博士あるいは博士号取得者のことを英語で「Ph.D」(Doctor of Philosophy)っていいますよね.どうして"Philosophy"なんだろうと思ってましたが,この本を読んで,ストンと「心」に落ちました.

おじいちゃんと呼ばないで

2021年06月08日 10時00分15秒 | 日記
今日の熊日新聞の文化面に,『高齢女性に広がる中年意識』という記事があり,興味深かった.
超高齢社会の到来とともに,従来だと「おばあさん」と呼ばれる世代になっても,自分を「おばあさん」ではなく「おばさん」と自認する女性が増えているという内容だった.
男性でも同様ではないかと思う.私も,道を歩いていて,後ろから「ちょっとそこのおじいちゃん」と呼ばれても振り返ることはないと思う.一方,「ちょっとそこのおじさん」と呼ばれれば振り返りそうだ.
実際,高齢者と定義される65歳以上の元同僚の諸氏を見ていても皆さん若々しく,とても「おじいちゃん」という雰囲気ではない.
高齢者が働く(働かざるを得ない)時代が良い時代なのかどうかは別にして,皆が元気に歳を重ねることができる時代の到来は歓迎したい.