書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「聖女の救済」東野圭吾

2024年03月27日 11時31分38秒 | 日記

「聖女の救済」東野圭吾

本格推理ものは,もちろんトリックが大事なんだけど,トリックだけでは,よく出来た「なぞなぞ」や「クイズ」と同じで,感心はするけど,心には残らない.
東野圭吾作品の面白いところは,トリックの奇抜さもさることながら,それに溺れることなく,謙虚にかつ丁寧に犯人の心理を描くことで,いつの間にか読者が犯人の心に同調してしまう点にあると思うのです.
気が付くと「どうか捕まらないで,犯人さん」って思ってしまうのね.
東野圭吾作品はそこがすばらしい.

ある資産家でイケメンの会社社長が密室状態で毒殺された.
捜査の結果,容疑者は被害者の妻1人に絞られるが,彼女には犯行当時は北海道旅行中であったという決定的なアリバイがあった.
さらにややこしいことに,その容疑者に,担当刑事の草薙(ドラマでは北村一輝が演じた役ね)が運命的な恋をしてしまうのでした.
草薙としては何とかして,彼女を無罪放免にしたいが,部下の内海薫(ドラマで柴咲コウが演じた役)が執拗にアリバイ崩しに奔走する.
ただ,悲しいかな彼女の力では犯人の鉄壁のアリバイを崩せず...でどうするかといえば,そうあの人に相談に行くのです.
そこから先は説明不要だよね(笑)

私も歳とともに,活字を追うのがつらくなってきていますが,今回は久々に視力の衰えを忘れて,一気読みしてしまった東野作品でした.

ミステリーって本当に楽しいですね.

「哲学的な何か,あと科学とか」飲茶

2023年01月05日 10時50分18秒 | 日記
「哲学的な何か,あと科学とか」飲茶


前回投稿した「心はこうして創られる」は,脳と心の関係を,従来の常識を打ち壊す形で解いて見せた本でした.
この本には私自身大きな衝撃を受け,心というものを真に科学的に解き明かすことに強烈な魅力を感じました.
心を科学するという意味では,心理学や精神医学がありますが,門外漢ながら感じるのは,これらの学問では,ブラックボックスである心の動きを現象面から分析し,帰納的に心はこういうものだという説を唱えているような気がします.

しかし,私が知りたいのは,自分自身がいろいろなできごとをどう感じるのか,こう感じている自分はどこから来たのか,死んだら自分という意識はどこに行くのか,というような心の内面というか,自分自身として納得できることなんですね.
心理学や精神医学をどんなに勉強しても,死んだら人間の心はどうなるかはわからないでしょ?

となると,やっぱ「哲学」ですよね.で,この本です.
いや別に死後の世界を詳しく述べてるわけじゃないので誤解されるとまずいのだけど.

人間の意識というものの「実体」が何となく,ふわっとですが,「あ,そういうこと?」となります.「そういうこと」の中身は必ずしも具体的ではなくて,「わかった」とまでは決して言えないんですが,意識というものの様々な側面を,からめ手から解きほぐしてくれるみたいな,というか,ええいもどかしい.

もっとわかりやすく言うと,「人間の心を考える教材を与えてくれる本」というのが近いかな.
結論は書いてないし,著者も解らないのだろうけど,こんな方向で心を考えると,何かが見えてくるかもよ,みたいなね.

科学は,実は科学的・論理的ではないこと,が良くわかります.科学は本当は哲学の上に成り立っているんだということ.

それでなるほどと思ったのは,博士あるいは博士号取得者のことを英語で「Ph.D」(Doctor of Philosophy)っていいますよね.どうして"Philosophy"なんだろうと思ってましたが,この本を読んで,ストンと「心」に落ちました.

おじいちゃんと呼ばないで

2021年06月08日 10時00分15秒 | 日記
今日の熊日新聞の文化面に,『高齢女性に広がる中年意識』という記事があり,興味深かった.
超高齢社会の到来とともに,従来だと「おばあさん」と呼ばれる世代になっても,自分を「おばあさん」ではなく「おばさん」と自認する女性が増えているという内容だった.
男性でも同様ではないかと思う.私も,道を歩いていて,後ろから「ちょっとそこのおじいちゃん」と呼ばれても振り返ることはないと思う.一方,「ちょっとそこのおじさん」と呼ばれれば振り返りそうだ.
実際,高齢者と定義される65歳以上の元同僚の諸氏を見ていても皆さん若々しく,とても「おじいちゃん」という雰囲気ではない.
高齢者が働く(働かざるを得ない)時代が良い時代なのかどうかは別にして,皆が元気に歳を重ねることができる時代の到来は歓迎したい.