書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「第五番」久坂部 羊

2017年03月19日 18時47分40秒 | 読書
「第五番」久坂部 羊




医療システムの維持と発展を狙う世界的かつ巨大な陰謀と,それに対して格闘する日本人医師の奮闘を描く,ミステリー.
現役の医師が書いただけあって,病院や医療の専門用語がビシバシ出てくるが,分かりやすく描写しているので違和感はない.ただし,新型カポジ肉腫の描写がかなりグロテスク.
グロがダメな人は読むのは避けた方がいいかもしれません.
医療は深刻な伝染病などが蔓延しそうなときは,大いにその存在価値を発揮できる一方,深刻な病気がなくなると,その価値がなくなるという矛盾を抱えている.
医療は,自分が不要になることを目指して奮闘しているわけです.
そこがこの小説の世界的陰謀の発想の原点です.
話は大変面白いし,この病気がどうやって日本に侵入したかを解き明かすのも面白い.ミステリー好きな人なら,後半でわかると思うけどね.
ただ,やはり描写のグロテスクさはね,う~ん.
食事時はやめた方がいいかも.
あと,風邪ひいてたり,熱がある人も読まない方が良いかもしれません.
体と心の両方が健康だと自負する人にはお勧めです.

「本バスめぐりん」大崎梢

2017年03月06日 10時10分35秒 | 読書
「本バスめぐりん」大崎梢



公立の図書館が、少し離れた団地のために提供している、バスの移動図書館サービス、「本バスめぐりん」がお話の舞台。
ある会社を定年退職し、このバスの運転手を始めたテルちゃんこと照岡久志が主人公で、相棒の司書さんは、未だ若いけど、テルちゃんの上司のウメちゃんこと梅園菜緒子。

この二人と、本バスめぐりんを楽しみにしている団地の人々との、心暖まる5つの交流の物語。
ただし、心暖まるまでには、それぞれ、厄介なトラブルや謎解きが絡んでおり、ミステリー好きの私が気に入ったわけもここにある。

本に対する愛情と、本をより多くの人々に読んで欲しいという思いが行間から溢れる。

本の好きな人に悪人はいない、と思わせてくれる一冊。