風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

『義経千本桜~渡海屋、大物浦~』 @歌舞伎座(3月26日)

2017-04-09 19:47:20 | 歌舞伎



今更も今更ですが、3月の歌舞伎座の感想を。
時間が経ちすぎてもう書くのやめようかと思いつつ、やっぱり覚書なので書いておく。
前楽の日曜日に行ってきました。
昼の部開演の15分前くらいに到着したら、『明君行状記』の幕見はまさかの売り切れで
よもやこの演目で立ち見も売り切れだなんて想像しておりませんでした。新開場の4月に玉さまの将門観て外に出て、すぐ後のニザさま&吉右衛門さんの盛綱陣屋を普通に幕見で座って観られた感覚が抜け切れていない私は、最近の歌舞伎人気(なんでしょうか?)を甘く見てたわ・・・・・・・・。
ああ、主役の梅玉さん・・・・・・・・・・・・。観たかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

気持ちを入れ替えて、義経千本桜。2時間立ち見でした・・・・・・・・・・・・。
発売まで30分以上あったのに・・・・・・・・・・・・。

【義経千本桜 ~渡海屋、大物浦~】
今まで何度か書いたことがありますが、渡海屋&大物浦の知盛は吉右衛門さんが演じる役の中で私が1、2を争う好きな役でありまして。
これまで観たことのある吉右衛門さんが演じた役の全ての中で、というほどなので、まぁ、すんごい好きなのです。吉右衛門さんの知盛が。
1階席で2回観たほどですから。私が同じ月に1階席で2回観たのは、そのときとニザ様の吉田屋(←ニザ様の演じた全ての役の中で一番好き)だけでございます。
さて、今回仁左衛門さんの知盛を観て、なんといいますか、ニザさまの知盛はちょっとリアルすぎるように感じられてしまい、平家物語から抜け出てきたような吉右衛門さんの大らかさ、大きさがやっぱり私は好きだなぁ、と渡海屋でも大物浦でも感じたのですが(一條大蔵の檜垣でお二人に感じたことのちょうど真逆ですね)。
ただ、

うっわ・・・・・・

と仁左衛門さんの知盛だけで感じたところが二か所ありました。

一つ目が、『渡海屋』で白装束に着替えて海へ向かうときの、花道の引込みのところ。
ニザさまの体から後光が放たれていた。。。。。。。。。。。
これから戦場へ向かう精神の高揚と一点の曇りもない透明感。
知盛って大物浦で憑き物が落ちるようになるけど、渡海屋でもその心の清廉さには変わりはないのよね。彼の心の中に私欲は一つもないのだから。
いやぁ、ニザさま、本当に光っていたわ(比喩じゃなく)。。。。。。。。美しかった&神々しかったです。。。。。。。。。
もっともこの場面は、吉右衛門さんでも大好きな場面なのですけど。

二つ目が、『大物浦』(吉右衛門さんより血糊の量が多かったような?よくお似合いなのでいいですけど笑)の終盤で、あとは自害するだけの知盛を残して、義経と安徳帝が去るところ。
ここ、まず梅玉さんに感動しちゃったんですけど、知盛と安徳帝に最後のお別れをさせてあげるように義経がふっと一歩後ろに下がりますよね。その一瞬の仕草と表情から、この時間の意味のようなものがすごく伝わってきて、うわぁ・・・・・と。
知盛と安徳帝のお別れ。この短い時間にどれほどの想いが込められているのか・・・。渡海屋では仮の親子として親子らしい時間も少しはあったりしたのかな、とか。でもそれ以上にやはり帝は崇高な存在で、その存在を平家の生き残りとして今日まで守ってきて、そして義経へと託す知盛の気持ちとか。平家全盛の時代から今日までの日々とか。
で、その後に、今度は義経と知盛が向かい合って頭を下げるでしょう。ここに込められているものの大きさ・・・。義経は知盛の全てを理解していて、そのことを知盛もわかっているのよね。そこに言葉は不要。梅玉さん&吉右衛門さんもよかったけど、梅玉さん&仁左衛門さんもいいわぁ・・・・・・・
ここからラストまでの「ああ、ニザさまはこのまま死んでいってしまうのだな・・・」と本当に死んでいくように思われる感じは、種類は違えど、吉右衛門さんのときと同じでした。役者ってすごいなぁ。
ただ残念なことに立ち見席からは、岩の上の知盛の首から上は見えたり見えなかったりでした。。

安徳帝は市川右近くん。安定感抜群。ていうかいつの間にか右近さんが右團次さんになっていた(^_^;)
彌十郎さんの弁慶。法螺貝お上手!あの場面の法螺貝の音色って本当に重要ですよね・・・。
梅玉さんの義経。吉右衛門さんのときと同様、最後の花道の引込み、素晴らしかったです!
時蔵さんの典侍の局。仁左衛門さんとの組み合わせ、結構好きだなぁ。
巳之助くんの相模五郎、猿弥さんの入江丹蔵。

夜の部も観たかったのだけれど、2時間の立ち見の後ではとても体力がもちませんでした。でもおそらくもう売り切れだったろうと思う。助六がありましたからね。海老蔵の助六、観たかったなぁ。あの衣裳を着ている海老蔵がとても好き。菊五郎さんの白酒売も観たかった。あのほんわり菊五郎さんがとても好き。






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