風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

NHK交響楽団 第1984回定期公演 @NHKホール(5月20日)

2023-05-21 00:09:08 | クラシック音楽




パスカル・ロジェのピアノとファビオ・ルイージの指揮を聴いてみたく、N響のCプロへ行ってきました。
Cプロ、週末の午後に手頃なお値段で気軽に一流の音楽を楽しめて、ほんと有難い
ルイージは亡くなった友人が好きな指揮者でした。
彼がN響の首席指揮者になるなんて彼女は知る由もなく。生きていたらきっと演奏会に足を運んでいたろうにと思う。
また猿之助の事件についても色々感じるものがあって…。
そんなすこし悲しい気持ちのなか聴いた今日の演奏会でもありました。

【サン・サーンス/ピアノ協奏曲 第5番 ヘ長調 作品103「エジプト風」】
ロジェは現在72歳とのこと。
冒頭はyoutubeで予習していた彼の演奏よりも硬質なタッチで少し意外だったけれど(最初は指もあまりまわっていなかったようにも聴こえた)、すぐにその独特な演奏の虜になってしまいました。
上手く説明できないのだけど、サン・サーンスらしい清澄さと、でも決して薄味ではなく、リズムや音色のさりげない自由さとか、明るいのに静けさもあったり、そして繊細な色彩感。フランスの音だなぁ、と強く感じた。とても好みな演奏。
ルイージ&N響がまた素晴らしくて。ピアノを支え、ピアノと絡み合い、時にうねり、ピアノとオケが美しく飛翔していく様に幾度も「うわぁ…」と耳を奪われました。
ピアノ協奏曲5番、いい曲だなぁ。
そして、いい演奏だったなぁ。
ロジェもルイージもN響もブラボー!

【サティー/グノシエンヌ 第2番(ピアノアンコール)】
前日のアンコールは「ジムノペディ 第1番」だったそうですが、今日は「グノシエンヌ 第2番」。
ロジェの演奏、やはりいい
清澄な音色なのに、彼の作りたい音の世界をしっかりと感じさせるのが不思議。ちゃんと演奏に芯があるんですよね。私の気持ちのせいかもしれないけれど、どこか祈りのような重みも感じる演奏でした。
弾き終わったときに両手を重ねて何かに感謝するような仕草をしたのが、印象的でした。
ルイージのこともとても立てていて、舞台から何度もルイージを呼ぼうとする。でもルイージもロジェのことをとても立てていて、彼だけを舞台に行かせようとする。それが幾度も繰り返されていました笑。ルイージはアンコールの演奏を舞台袖のほとんど隠れる位置に立って、聴いていました。
ロジェは最後は舞台の上手の端まで行って、全ての客へ挨拶。
彼の弾く音楽だけでなく、そんなステージマナーもとても気持ちがよかったです。
機会があったらリサイタルも聴いてみたいな。

【フランク/交響曲 ニ短調】
この作曲家の作品を聴くのは、昨年アルゲリッチ&辻さんで聴いたヴァイオリン・ソナタに続いて2回目。
前半の清澄なサン・サーンスから一転して、意外なほどに情熱的なルイージの指揮。
雑というわけではなくちゃんと丁寧なのだけど、音がうねって熱くて(時として粘っこくて)、ルイージの指揮は初めて聴くけれど想像していたイメージと違ってちょっと驚きました。
ここでも、「うわ…」と感じる美しい瞬間が幾度も。しかもちゃんと音が”突き抜けて”いる(ワタシ的にはこれがすごく大事)。3楽章の壮大な色彩感も美しかった。
ルイージが首席指揮者になったのは昨年9月とのことですが、今日の演奏を聴く限りではとても良い感じ。
N響が良い演奏をするときには、日本のオケの中で最もヨーロッパ的な音を出すオケだと個人的には思っていて。
そういう演奏をルイージの指揮のもとでは聴けそうな気がする。
ちなみに今まで聴いた中で私がもっとも好きなN響の音は、ブロムさんが指揮するときの音です。

2023~2024年シーズンも聴いてみたいプログラムがちらほらと。
これからも時々伺えたらいいな。
自分から心に栄養を与えてあげないと、ね。
今の時代に1000円台でそれができるのだから、有難いことです。



イケオジをパシャリ
今度お墓詣りするときに、友人にも見せてあげよう
ルイージは指揮姿も綺麗ですね。

【マエストロ・メッセージ】ファビオ・ルイージ/5月N響定期公演Cプログラム


Satie: Gnossiennes - No. 2, Avec étonnement



Cプロ恒例の開演前のミニコンサート。
ロパルツ/前奏曲、海とシャンソン─第1曲「前奏曲」、第3曲「シャンソン」。
ロパルツという作曲家は初めて知りました。フランク繋がりとのこと。
気だるげでもある色彩感がフランスらしい、素朴な郷愁のようなものも感じさせる、とても美しい曲でした。

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 別府アルゲリッチ音楽祭 水... | TOP | 読売日本交響楽団 第628回定... »

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。