風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

アトランタ、ヘルシンキ、ワルシャワ、オデッサ

2022-03-15 20:11:56 | 日々いろいろ



写真は、今朝の朝食です。
地元の有名なドーナツ屋さん🍩が最寄り駅で期間限定出店していたので、買ってみました。
シナモンドーナツなんですけど、ブラックコーヒーとよく合って美味しかった
先日旅先で買ったお土産を見るとその場所の空気が一瞬で蘇るという話を書きましたが、食べ物もそうですよね。
20歳のときに数ヶ月ほどアメリカ南部で過ごしたことがあって、週末によく国内旅行をしたのですが、学生でお金がなかったので泊まったのはいつもモーテルでした(アメリカのモーテルはこういう感じの、よく映画とかに出てくるアレです。日本のラブホの意味はありません)。
アトランタのモーテルでは朝になるとロビーにコーヒーとドーナツが置かれてあって、それがセルフサービスの朝食でした(無料)。特別美味しいドーナツでもコーヒーでもないのですが、20歳の私は「アメリカだな~〜〜♪」と感じて、楽しい気分になったのを覚えています。ン十年前の話ですが、今もドーナツとコーヒーを食べるとアメリカの朝の空気を思い出す。

シナモンロールも、食べる度にヘルシンキを思い出す食べ物です。
特別好きなお菓子ではないけれど、あの街の空気を思い出せるので、日本でもときどき買ってしまいます。
旅行中にホテル近くのヘルシンキ中央駅の構内を散歩していたら、モスクワ行きの列車が普通に停まっていて、「これに乗ったらモスクワまで行けるのか」と不思議な気がしたものでした。初海外からン十年たっても、いまだにそういうことに感動してしまう島国育ちの私。




ヘルシンキ中央駅

ところでヘルシンキの街に着いたときの私の第一印象は、「ロシアの街みだいだな」でした(ロシアには行ったことないけれど)。
隣の国だから街も似るのかな?とその時は深く考えなかったのだけど、先ほど試しに「ヘルシンキ ロシア 街並 似ている」とググってみて、こんな事実が。

ヘルシンキはロシアの支配下にあったときに置かれた首都で、街並みは「サンクトペテルブルクに似ている」と倉方さんは言う。「ロシアは伝統的にドイツ人建築家を登用してきた国で、ヘルシンキでもドイツ人建築家が公共建築をつくっています。新古典主義的な建築が多く残っています」。
その代表的な例がドイツ人建築家カール・ルードヴィッヒ・エンゲルが設計したヘルシンキ大聖堂(1852年)だ。デザインはサンクトペテルブルクの大聖堂を参照しているとされる。
フィンランド人のルーツは中央アジアにあるといわれる。フィンランド語はウラル語族に属し、インド・ヨーロッパ語族のスウェーデン語やノルウェー語とはまったく異なる構造を持つ。独自の文化を持ちながらも、フィンランドはスウェーデンとロシアという大国に挟まれて翻弄され続けてきた。
「ロシアの支配下にあった19世紀半ばに、口承文学を収集した叙事詩集『カレワラ』が出版されました。フィンランドに豊かな文化の伝統があることが世に示されたわけです。それを元にシベリウスが交響詩『フィンランディア』を書き、民族意識が盛り上がって、独立へとつながっていきました。そういう意味でフィンランドは、北欧の中でも最も熱いナショナル・ロマンティシズムが沸き起こった国といえるでしょう」。
Lifull Home's Press

へ~
あの街並みにはちゃんと理由があったんですね。
ロシア帝国の支配下にあったときに首都になった街だから(1812年)。なるほど。1809年にフィンランドはスウェーデンからロシアに移譲されています。
ポーランドもですが、ヨーロッパの小国が辿ってきた歴史というのは、海に囲まれている島国の我々には想像できない凄絶さがありますよね…。まあ我が国も他人事ではないかもですが。


フィンランド航空でヘルシンキに行ったときのflight map。
世界地図を見ていると、フィンランドの隣国であるロシアが日本の隣国でもあることがよくわかる。そして中国と北朝鮮。日本って海に囲まれてはいるけど、実は地理的に相当ヤバイ場所にあるのよね。過度に恐れる必要は全くないけど、いざとなった時に冷静に対処できるよう、選択肢は時間のあるうちに議論&準備しておく必要はあると思うな。もちろん感情論は排して。
そういえば今はヨーロッパ線の航空機はロシア上空を迂回しているので、通常より+2~4時間の飛行時間になっているそうで↓

©Inpress Watch
JALは北回り、ANAは中央アジア。Google Earthで見る「ロシア上空を避けたルート」
「北周りはかつてのアンカレッジ経由と同様のルート」とあるけど、アンカレッジ経由って北極の真上を突っ切るわけじゃなかったのか

そして今、こんなニュースを見ました。
ロシア人の隣国フィンランドへの出国相次ぐ (NHK)
ロシアからフィンランド行きの列車は満席だそうです。
のんびりしていたヘルシンキ中央駅の構内も、今は全く違う光景になっているのでしょうね…。

こちらは、ポーランド。
ポーランドに脱出 170万人超 首都人口15%が避難民に 受け入れは“限界”に...(FNN)
道に迷ったりダブルブッキングがあったりと色んな意味で思い出深いワルシャワ中央駅。数年後にこんな光景を見ることになるなんて…。

そして、こんなニュースも……。
【速報】ロシア「南部ヘルソン州を制圧」 重要都市オデッサに迫る(FNN)
Odessa Opera House Members Sing & Prepare for Attack(Operawire, Mar 13, 2022)
ギレリスの生まれ故郷で、リヒテルが3歳から住んだ街、オデッサ。
ギレリスが13歳で初ソロリサイタルを行い、リヒテルが15歳からコレペティートルとして働いたオデッサ歌劇場では、今月ヴェルディの『アイーダ』『イル・トロヴァトーレ』、チャイコフスキーの『イオランタ』と3つのオペラの上演が予定されていましたが全てキャンセルとなり、ミュージシャン達は街に残った市民達と共に土嚢を積み上げ、予想される攻撃に備えているそうです。歌手達は応急処置のトレーニングを受けたりライフルの使い方を学んでおり、また市民を楽しませるために、一週間を通して劇場前で野外コンサートを行っているとのこと。12日には劇場の建物を守るために設置されたバリケードの前で、歌劇場の楽団と歌手達によりウクライナ国家やヴェルディのオペラ『ナブッコ』の“Va Pensiero”などが演奏されたそうです。コンサートは「FreetheSky」と題され、「ウクライナ上空を飛行禁止区域とすることを世界各国に呼びかけるのが目的」であると。


写真は、オデッサ歌劇場の公式ページより。「ウクライナ最古のオペラハウス!」とあります。
この美しい建物は1887年築。
街の重要部分であるためオデッサの「Cultural Heart(文化の中心)」と言われていると、上記Operawireの記事にありました。
ギレリスもリヒテルもロシアが誇る音楽文化にこれ以上なく貢献したピアニスト達なのに、その大切な故郷の街がロシアにより破壊されるかもしれないなんて…。

オデッサの姉妹都市である我が市の市庁舎も、ウクライナ国旗の色にライトアップされているそうです。4日にはオデッサ市から我が市へ応援メッセージをもらいたいとの連絡が届いたそうで、両市長による会談も行われたと…。

今日のブログはドーナツの明るい話題にしようと思っていたのに、すみません。最初は「ドーナツとコーヒーとアメリカ🍩」っていうタイトルにしてたんですけど…。

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