風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

NHK交響楽団 第1895回 定期公演 Cプロ @NHKホール(10月20日)

2018-10-20 20:10:21 | クラシック音楽
「この頃は、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームスを指揮してほしいとよく言われます。私はそれも望んでいますが、いっぽうでマーラーを指揮したい気持ちもあります。北欧の交響曲やチャイコフスキーも愛しています。ステンハンマルやベルワルドを、私のヴァージョンで皆さまにご紹介しなくては。バッハ、ハイドン、モーツァルトは、ずっと私とともにあります」
(プログラムより)

ブロムシュテット×N響定期Aプロに続き、Cプロ2日目に行ってきました。


【ハイドン:交響曲 第104番 ニ長調 Hob.I‒104「ロンドン」(約30分)】
ハイドンの音楽の楽しさを私に教えてくれたのは、一昨年のヤンソンス×バイエルン放送響で。
あのときの感想で「こういう曲が実は最も日本のオケには難しいのではないかしら」とここに書いたけれど、今日の演奏を聴いて、改めてそう感じたのでありました。マーラーよりもブルックナーよりも、実はハイドン(やモーツァルト)の方が難しいのでは、と。
ハイドンの曲の幸福感と遊び心と音の陰影って、なんというか西洋文化の独特なものに根差しているような気がして。それはあちらの人は苦労なく自然に表現できてしまうもので、でも日本人にはすごく難しいもののような気がするのです。そして音楽を演奏する上では宗教の壁よりも、実はそういう文化の壁の方が高いのでは、と。
そういう意味では今日のコンマスもキュッヒルさんだったらもう少しそういう空気も出たのではなかろうか、とも。
もう来年はウィーンに遠征しかないかねぇ、とこのときは思っていたのでありました(←予習で聴いたウィーンフィルの音に感動した)。
しかしそれはそれとして、この曲はいい曲だねー

(休憩20分)
窓から見える代々木公園の紅葉に、昨年ここでドイツレクイエムを聴いてから一年がたったんだなあ、と。
今もこうしてお元気なブロムさんの音楽が聴けて本当に嬉しい。


【マーラー:交響曲 第1番 ニ長調「巨人」(約55分)】
ブロムさんというとやっぱりマーラーよりはブルックナーだよねえ、と行く前は思っていたのだけれど。

N響ブラヴォ~~~~~~
コンマスもこっちはブラヴォ~~~~~~
そしてそしてブロムさん大ブラヴォ~~~~~~~

この曲を聴くのはムーティ×シカゴ響、ネルソンス×ボストン響に続いて三回目。
ムーティとネルソンスのそれは、それぞれ全く違って。今回のブロムさんのそれも、全く違って。
正直に書きますが、演奏後のソロカテコの拍手とスタオベを率先してやりたいと感じたのは、この曲では今回が初めてです。
もっとも、今日のような真っ直ぐで雑味のない演奏は本来の私のこの曲の好みとは違う演奏で(もっと狂気というか本能的にとっちらかった風な演奏の方が本来は好み)。でも理想の演奏がどうとか、もうどうでもいい。
この曲で一楽章から幸せで泣きそうになるとは、吃驚です。
四楽章が始まったときは「ああ、もうすぐ終わってしまう…」とすごく寂しくなり、でも寂しがってないで今のこの演奏をしっかり聴いておかなければ、と思った。
最後のフィナーレは、CSOのときもBSOのときも「この人達(指揮者含め)バカらしすぎる!!最高すぎる!!」とニヤニヤ笑いが止まらなかったのだけれど(ニヤニヤ笑い止まらない系のこの曲の演奏も私は大好きだ!アメオケ万歳!!)、もう今日のフィナーレではニヤニヤ笑いなんか全く出ませんよ。圧倒的な幸福感と感謝の気持ちでいっぱいの滂沱の涙
ああ、ブロムさん×N響でこんなマーラーの演奏が聴けるとは思ってもいなかった。。。。最高に幸せだ。。。。

フィナーレのホルンはCSO、BSOのときと同じく立奏で、それに加えて今日はトランペット1、トロンボーン1も立奏でした。こういうバージョンもあるんだね~。この補強についてもマーラーは楽譜で指示しているそうで

1楽章のバンダのトランペットさん達、戻るときに靴音をさせてなくてエラかったわ。さすがは気遣いの日本人(もしかしたらBSOの人達も気遣ってはいたのかもしれないが、彼らの体格とミューザの音響がそれを許さなかったのかも^^;)。

今日は中央ではなく壁際の席に座ったのですが、このホールの上階って壁際の方が音がいいねー。中央で聴くよりも立体感が感じられた気がする。
ブロムさんはこのホールでこれまでどれくらい振ってこられたのかなぁ。私はクラシックを聴き始めたのが最近なので、昔のブロムさんを知らないのである。次回のBプロはサントリーホールだけど、NHKホールの舞台にいるブロムさんの姿を見るのも私はなんか好きです

ホールを出ながら、昨年のドイツレクイエムのときもブロムさんからいっぱいの幸福感をいただいたなあ、ということを思い出しました。私はブロムさんに何を返せているだろう、と考えてしまった。
せいぜいちょっぴり高めのサントリーホールのチケットを買ったくらいしか・・・。いや完売公演のチケットを買っても何のお返しにもなってないですね。
あ、あのガラガラだったゲヴァントハウス@みなとみらいに行ったのはちょっとお返しになれていたかも・・・。でもあのシューベルトもmy演奏会史上トップ3の演奏を聴かせていただいてしまったし、結局ブロムさんにはいつもこちらが差し上げられたかもしれない分よりずっと多くのものをいただいてしまっているなあ。。

ところで今回のブロムさんの定期公演、ブルックナー9番→マーラー1番→ステンハンマルという順番は、考えようによってはなかなか感慨深いプログラムですね。






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