シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

悪夢のエレベーター

2012-09-26 | シネマ あ行

エレベーターの中での密室劇というイメージ以外なんの予備知識もなく見ました。原作があってドラマ化、舞台化もされている作品だったんですね。

マンションのエレベーターの中に乗り合わせた4人。
妻の出産の立ち合いに急ぐ男斎藤工
出所したばかりのチンピラ内野聖陽
ジョギングに出かける住人モト冬樹
自殺願望のある高校生佐津川愛美

本上まなみの出産立ち合いに急ぐ男・小川順がエレベーターの中で倒れている。揺り起こされてみるとそこには男が2人、女子高生が1人。エレベーターが急に落下して頭を打ち気を失っていたと聞かされる。妻の出産に立ち会わなければならない順は焦るが、エレベーターは動かず、非常ボタンも監視カメラも動いていない。この絶望的な状況の中で乗り合わせた4人。

順の携帯電話の電池は切れており、チンピラは車に置き忘れ、住人はジョギングに出かけるだけで持ってきていない、女子高生は自殺するのに不要だから捨てたと言う。この女子高生が自殺しようと思ってここに来たと話したことからお互いの身の上を話すようになる4人。ジョギングに出かける住人は実は超能力があり、体に触れるとその人の心の中が読めるらしく、それぞれの秘密を探り合うことになる。

エレベーターの中での密室劇というわけだから、ここからさぁ一体何を起こしてくれるのかと楽しみにしながら見ていました。すると、半分過ぎたくらいかな?順がチンピラの不手際で死んでしまい、一気にネタ晴らしが始まる。チンピラというのは実は探偵社の社長で順以外の3人はグル。順の妻から浮気調査を依頼され、浮気の証拠は掴んだものの、彼の本当の気持ちを知りたいとのさらなる依頼を受けたためこのエレベーターに閉じ込められて究極の本心を聞くという作戦に出たのだが、順から本心を聞けたあと一時眠らせるつもりが殺してしまったからさぁ大変というわけ。

これが1回目のどんでん返し。これはどこかで起こることは予想されているものだけど、一体誰が仕掛けているのか?その目的は何なのか?探り探り見ていく状況が面白い。上の階に空き巣に入ろうとしているチンピラと飛び降り自殺しに来た女子高生が下行きのエレベーターに乗っているのはなぜか?このご時世に誰も携帯電話が使えない状況なのはなぜか?など少しずつくすぶる違和感が種明かしされていく過程が面白く、なぜかオカマという設定のモト冬樹もなぜか!妙に可愛らしく、佐津川愛美の普通の可愛らしさと内野聖陽の存在感も手伝って、これは小気味良い密室劇、と思いつつ、もうこんな時間に種明かしして大丈夫?という不安もありつつ、、、

順の遺体を処分しようと奔走する途中でマンションの管理人大堀こういちをアクシデントとは言え殺してしまったあたりからちょっと雲行きが怪しくなってきたなぁ。順を殺してしまったことに関しては最後のどんでん返しに関係する部分だから必要だけど、管理人まで殺す必要があったかなぁ?しかもあんな気持ち悪い映像にしちゃって。あの部分に小気味よいミステリー部分が侵されてしまったような気がするなぁ。

とは言えまぁ、最後のどんでん返しも結構面白かった。ココにつながる伏線も実はそれまでに隠されていたというところも、なるほどよくできている。いや、待てよ、そもそも順の妻が浮気調査だけじゃなくて夫の本心を知りたいなんて言いださなければこの作戦はなかったわけで、その辺は単に偶然犯人にとっては渡りに船だったってこと?んー、そこんとこが単なる偶然で片付けられているのはちょっと残念でした。それでも見ている最中は十分に楽しめた作品でしたが。

この作品、俳優の堀部圭亮が監督なんですね。びっくりしました。もともと脚本とか放送作家とかできるタイプの人らしいですが、これが長編映画初監督だそうです。多才な方なんですね。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿