シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ニュースの真相

2017-09-20 | シネマ な行

2004年ブッシュ大統領の軍歴詐称を指摘したCBSニュースだったが、その証拠の文書が捏造だと指摘され…

CBSの報道プロデューサーだったメアリーメイプスケイトブランシェットの自伝を映画化。アブグレイブ刑務所での米軍による受刑者虐待をスクープした人。しかしブッシュの軍歴詐称では文書の捏造を裏を取らずに報道したことで彼女のチームの首が飛んだ。

「質問することをやめればこの国は終わり」彼女の報道姿勢はその信念に基づいていた。その信念に間違いはないし、その姿勢は素晴らしいものだったが、大統領選の時期もあってスクープを焦り過ぎたか、左翼的な思想がブッシュ失脚を望み過ぎたか、とにかく彼女は道を誤った。

確かにこの一件に関しては、勇み足だったと思う。映画の中で指摘されているように情報源に対して「ちゃんと守る」と言っていたのに、体の調子が悪い老人を表舞台に引きずり出すことになってしまったこともどこかで尊い仕事をしている自分は特別だと感じていたことも否定できないと思う。

最後にメイプスが調査会でぶちまけたように、実際にあのキリアンメモがワードで書かれたかどうかという議論に終始してしまい、ブッシュの軍歴詐称の話はどこかに吹き飛んでしまった。現代の日本でもよくあることだが、議論の中心であるべきことがいつのまにか隅に追いやられて、「そこ?」みたいな議論が延々と続き人々の関心もそちらに移ってしまう。そうなると元の議論に戻すことはほぼ不可能であったりする。

もちろん、メイプスのチームが道を誤ったことは認めるし、「そのせいで」と言われてしまえばそれまでだけど、元の議論が吹っ飛んでしまったことは非常に残念だし、局は結局そこを追及せずに人の首を切って終わりにしてしまったことも残念でならない。

それにしても、ヤフーのこの作品のレビューがそれぞれの政治的な考えの違いで大幅に振れていることが興味深い。

映画的に言うと、ケイトブランシェットもキャスターのダンラザーを演じるロバートレッドフォードもいつも通りやたらとカッコ良かったんだけど、メイプスが集めた優秀そうなリサーチチームの面々の動きがいまいち分からずせっかく集めたチームを活用しきれていないように見えたのが残念だった。