シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

LEGO(R)ムービー

2016-05-31 | シネマ ら行

ケーブルテレビで放映していました。

ここはレゴの世界。レゴと言えば遊んだことはなくても誰もが知っているブロックのおもちゃ。レゴの世界でエメットクリスプラットはどこにでもいる平均的な黄色い顔のレゴの人形。彼は建設作業員として働いており、毎日同じ時間に起き、同じテレビを見て、同じ仕事を黙々とやって家に帰るというおしごと社長ウィルフェレルが決めたマニュアルに従って何の疑問もなく生きていた。しかしある日建設現場でとある変わった形の部品を発見し、その場にいたワイルドガールエリザベスバンクスに「選ばれし者」と言われ、ウィトルウィウスモーガンフリーマンという仙人のようなおっさんのところに連れて行かれる。

エメットが見つけたのは"The Piece of Resistance"(日本語では「奇跡のパーツ」になってました)というものでおしごと大王(おしごと社長は世を忍ぶ仮の姿)の世界征服を止めるための大切なパーツだった。わけが分からないままワイルドガールやウィトルウィウスたちに選ばれし者扱いされるエメットだったが、彼らに連れられてマスタービルダー(想像力豊かにレゴでなんでも作ってしまう人たち)たちの前で演説をさせられたときに、ただの何の変哲もない男だということがみんなにバレてしまうものの、おしごと大王からの攻撃が始まり、エメットを中心に一致団結して戦わざるを得なくなる。

マスタービルダーたちはだいたい有名なキャラクターたちでレゴでスーパーマンセットとかバットマンセットとかそういうシリーズに登場する有名人レゴがいっぱい出てくる。ガンダルフやダンブルドア校長もいたな。

レゴたちの世界は、まさにレゴの特色を非常によく活かしていて、敵から逃げる最中にもその辺にあるレゴのパーツをどんどん組み合わせたり変形させることによって、車やロケットや舟などを作っていくのが面白い。実はこれはストップモーション風に見せたCGだそうで、こういうクリエーターたちのこだわりを考えるときっと使われているパーツの種類とか数とかっていうのは実際に組み立てても同じものができるようにCGで作られているんだろうなぁと想像します。水しぶきとかが一番小さなパーツでごろごろ飛んでくるところとか可愛らしかった。でも解説を読むまでは本当にストップモーションで作ったのかと思ってビビったけどそれは違ったようでした。いや、きっとCGでもすごく大変な作業なんでしょうけど。

おしごと大王の世界征服というのが秘密兵器「スパボン」(日本語でスーパーボンドの略、英語ではKrazyGlueの略でKragleと呼ばれていました)で自由自在に組み合わせられるはずのレゴを全部ボンドでくっつけちゃおうっていう発想が、あ~なるほどって感じでした。それってレゴにとっては致命的なことですもんね。そして、エメットが見つける奇跡のパーツっていうのはそのボンドのフタ。フタて~。なんか可愛い。

レゴたちの冒険は楽しいんだけど、なんだかちょっと飽きてきたかなぁと思い始めたちょうどその時レゴたちが「上にいるお方」と呼んでいる神様のような存在が登場します。わ、人間出てきた!ってちょっとびっくりしたんですが、レゴたちはちゃんと「おもちゃ」でした。お父さん(ウィルフェレル)がキレイに組み立てたレゴで遊ぶ男の子。その子が作り上げたお話を観客はずっと見ていたのです。おしごと大王は声が同じなのを見ても分かるようにこの子のお父さん。レゴについているマニュアル通りにレゴを作り上げ、子供には触るなと言っている。息子が自分のレゴで自由に遊んでいるのを見て怒り、全部をボンドでくっつけてしまおうとする。

この脚本がめちゃくちゃうまい。レゴの遊びの根本はやはり自由な発想。マニュアルはあるけど、それに従う必要はない。好きに色々作っていいんだよというレゴ社の理念をうまく表現している脚本です。とか言いつつワタクシはマニュアルに沿ってきれいに作りたい派ですが…(笑)

最後にはお父さんも自由に遊ぶことの楽しさを分かってくれてエメットたちの勝利と相成ります。お父さんがこれからは自由にレゴを触っていいよ、と言い、そしてこれからは妹も一緒にね。と、長男よりさらに自由な発想の妹の乱入でこちらをニマリとさせて幕。いや~面白い。大人も子供も楽しめる非常にうまい作品でした。

オマケこの年のアカデミー賞授賞式の時にレゴで作ったオスカー像をノミネートされた人などに配っていたのが可愛らしかったですね。