シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

グレースオブモナコ~公妃の切り札

2014-10-20 | シネマ か行

始めはあまり興味がなかったのですが、予告編を見たら面白そうだったので見に行くことにしました。

これは実話をベースにしたフィクションということらしく、モナコ王室はこの作品を認めていないのだとか。どこまでが実話でどこからがフィクションなのかというのが分からないのがちょっともどかしいところなのだけど、この映画を見た限りの感想を書きます。

ハリウッドを去り、モナコ公妃となって6年。モナコの公用語であるフランス語をうまく話せず、王室の堅苦しい礼儀作法に慣れず、貴族階級から認められず、夫レーニエ公ティムロスは忙しすぎてすれ違いの生活を送り焦燥感の募るグレースケリーニコールキッドマンの元にヒッチコックロジャーアシュトングリフィスがやって来て新作「マーニー」の出演依頼をしてくる。ハリウッドへの復帰を願うグレースケリーだったが、モナコはフランスから属国扱いを受け国家存亡の危機に陥っていた。

ハリウッド女優がモナコ大公に見初められて結婚しお妃になったというお話は劇中でも何度も語られるように、まさにおとぎ話のようで、子供も早々に生まれ大公に愛されて順風満帆の人生を送ったのかと思いきや、この作品の中では、歯に衣着せぬ物言いをするアメリカ人として、王室の社交の場では疎まれ、どこの馬の骨とも分からないアメリカ人風情がと貴族たちには慕われず孤立した生活を送っていた様子が語られていて意外な気がした。

レーニエ公、グレースケリーを囲む人たちとしてオナシスロバートリンゼイ、マリアカラスパスベガなども登場してそういうのを見ているだけでも楽しい面がありました。ただレーニエ公、グレースケリーともに慕っていたようだったタッカー神父フランクランジェラという人が一体どんな存在の人だったのかいまいち分からなかった。アメリカに途中で帰っちゃった事情もよく分からなかった。

ハリウッド女優からモナコ大公妃となったグレースケリーのことは知らない人はいないわけで、好き嫌いは別として正統派美人という意味で言えばいまだに彼女の右に出る者はいないと言っても過言ではないと思う。そんな彼女を現代のハリウッドで演じるとしたら、確かにニコールキッドマンしかいなかったかもしれないな。そのニコールの女優魂が劇中のグレースケリーのモナコ公妃を演じきるという女優魂と重なってまさにニコールのワンマンショーのような作品だった。横に写真を並べれば似ていない2人なんだろうけど、オリヴィエダアン監督がうまく似ているように見えるカメラアングルを選んで映していたように思う。

ニコールキッドマンはちょっとお直しし過ぎ感があって、顔も引っ張り過ぎだなぁと思うのだけど、それでもやはりすらりと伸びた脚や全体的に醸し出す雰囲気などはとても美しく寝起きにさらっとシルクのガウンを羽織って小走りに廊下を行く後姿なんてもう、あなたそれ着て生まれてきたでしょ?っていうほどの神々しさ。それ以外にも公妃として当然とても華やかな衣装の数々が披露されるわけでニコールがそのすべてを見事に着こなしているのがもうため息ものでした。ただもうしわ伸ばしに関しては今が本当に限界だと思う。今でもかなり顔の筋肉が動いていないからこれ以上やると本当に女優として致命的になってしまう。

舞踏会のシーンでマリアカラスの歌が聞けて、とても心地よい気分になっていたらエンドロールの曲がなんか映画の世界観とは全然合っていなくてびっくりしました。あの曲が悪いというのではなくて作品とは合っていないと感じました。

カンヌでも評判は良くなかったらしいですが、日本人好みの作品ではないかなぁと感じました。