シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ファーナス~訣別の朝

2014-10-03 | シネマ は行

公開のずっと前から見に行こうと決めていました。クリスチャンベールが好きだし、ポスターが超カッコ良かったので。

さびれた町で製鉄所で働くラッセル(ベール)には、年老いて病気の父とイラク帰りでぶらぶらしている弟ロドニーケイシーアフレックがいた。恋人リナゾーイサルダナとつつましく暮らしていたラッセルだが、ある日車の事故で相手を死なせてしまう。飲酒運転だったこともあり服役するラッセル。その間にリナは警官のウェズリーバーンズフォレストウィテカーと恋仲になってしまう。

出所してきたラッセルは製鉄所に戻るが、何度目からのイラク出征から戻って来ていたロドニーは製鉄所で働くのをイヤがり、裏稼業をしているジョンペティウィレムデフォーにストリートファイトの元締めハーランデグルートウッディハレルソンを紹介してもらい、八百長試合に出る。その帰り、ペティのラグルートへの借金のいざこざに巻き込まれロドニーはペティとともに殺されてしまう。

デグルートが仕切るエリアは昔から警察でさえ立ち入るのを怖がるくらいの地域で、代々デグルートたちが独自のコミュニティを形成して暮らしていた。警察の捜査はアテにならないと考えたラッセルは自らの手で弟の復讐をしようとする。

アメリカの負の部分のあらゆる部分を見せつけられているような作品。とは言え、さびれた製鉄所、イラク戦争ってのはなんだか「ディアハンター」のころのアメリカを思い出させて、あの頃からあまり変わってないってのも切ない。デグルートがいる地域がアンタッチャブルっていうのは、 「ペーパーボーイ~真夏の引力」のスワンプの奥と同じようなところなのかな。

クリスチャンベールが予想通り渋い役を演じている。ただ中盤結構ダレる時間が長いな。冒頭、デグルートが女性に暴力を振るい、それを注意した見知らぬ男性のこともぼこぼこにしてデグルートの異常性を見せるんだけど、それ以降はそこまでえげつない暴力というものはない。ストリートファイトは別として。別に暴力描写を期待していたわけではないのですが、デグルートやその地域の人間の怖さというものを強調したわりには最後はあっけなかったな。

兄が弟の復讐をするんだけど、あの弟のイラク帰りの苦悩みたいなものをもっと時間を取って描いて欲しかったし、兄弟の絆ももう少し描いて欲しかった。それでないと、弟はただ無茶するから殺されただけじゃね?みたいな感じになってしまって兄の復讐の重みがあまりなくなってしまう。あれを最後に真面目に働こうとしていた弟、っていうのは切なかったけどね。

途中でクリスチャンベール、ケイシーアフレック、ウィレムデフォー、サムシェパード(兄弟の叔父)が住んでる町ってえらい豪華やなぁと思ってしまった。映画を見ている最中にそんなことを思ってしまうというのはちょっと集中できていなかった証拠かもしれない。

ラッセルの服役中にリナが去ってしまったのも、あれだけラブラブな感じだったのに随分冷たいのねぇって気がした。どれくらい服役していたか分からないけど、そんなに長い感じじゃなかったし、最初っから一回も面会にも来ないってのはどうなのよ?と不思議だった。これももう少し説明が欲しかったところ。

全体の雰囲気的には男臭くて良い作品だとは思うんだけどなー。もうちょっと理不尽なことで弟が殺されたとかだったらもっと共感できたかもしれない。

オマケfurnace(ファーナス)って溶鉱炉のことらしいんだけど、「ふぁーなす」で変換すると「ファー茄子」ってなって笑っちゃいました。