シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

のぼうの城

2012-10-23 | シネマ な行

試写会に行ってきました。予告編を見て面白そうな作品だと思っていたのでラッキーでした。

決して悪くはないんですけど、ワタクシの期待が大きかったせいか全体的にはいま一歩といったところでした。

豊臣秀吉市村正親陣営の石田三成上地雄輔率いる2万の軍勢と相手にたった500の兵力で戦った成田長親野村萬斎のお話。忍城・城主成田氏長西村雅彦は豊臣側に寝返りに行き、敵陣営に黙って城を明け渡すように指示されていた城代長親は土壇場で「そんなのヤだ!」と戦う選択をする。城主が寝返ることにもともと反対だった家来たち丹波佐藤浩市、和泉守山口智充、酒巻成宮寛貴らは長親に賛成する。

長親は城主氏長のいとこで、領民たちからは「でくのぼう」から取って「のぼう様」と呼ばれている。農民の暮らしの中にちょくちょく顔を出し、田植えを手伝ったり、子供あやしたりして人気はあるがちっとも武士らしくなく、のんべんだらりと日々を過ごしている。しかし、三成軍が彼らを舐めきった態度で開城の交渉に来たのが気に入らず「戦いまする!」と宣言してしまう。武士以外にも農民まで全員総動員で戦うことになり、長親は農民を集めて「こんなことになっちゃってごめ~ん」とか言ったりするまさに「でくのぼう」。しかし、彼ら500の兵が2万の兵を翻弄することになる。

野村萬斎さんがねー、ものすごく魅力的です。ワタクシは原作を読んでいませんが、読んだ人によると原作のイメージとは少し違うらしいんだけど、でもあの素っ頓狂な雰囲気とか敵味方全員の前で歌って踊るシーンなんかはもう萬斎さんの独壇場。もちろん、あのシーンのためのキャスティングだったんだろうけど、本当に良い声してらっしゃる。

そんな萬斎さんが演じるのぼう様なんだけど、予告編を見ているともっとのぼう様らしい奇策がたくさん飛び出して2万の兵を蹴散らしてスカッとする映画なのかなぁと思っていたら、そんなにたくさんは奇策というようなものは飛び出さないんですね。初回の対戦と例の踊りのところくらいで。そのへんがちょっと期待外れだったなぁ。

あと、原作ではどういうふうになっているのか知らないんですけど、のぼう様を慕う農民たちの中に子役の芦田愛菜ちゃんがいて、生意気な喋り方でのぼう様や丹波に話しかけるんですが、それがなんかもう鼻について仕方ありませんでした。あーいうのを「可愛い」って素直に見られればいいんでしょうけど、ちょっとワタクシは無理だった。なんかウケ狙いのいやらしさが見えてしまって。

上地が石田三成ってー!と最初は思いましたが、彼がアホだということを忘れることができれば演技としてはまぁ悪くはなかったと思います。のぼうに恋心を抱く城主の娘甲斐姫を演じた榮倉奈々ですが、ちょっとどうもなぁ。彼女の場合声があんまり良くないのかどうもセリフ回しが下手に思えます。実際に下手かどうかよく分からないんですが、なんか取って着けたような感じがするんですよねー。他の俳優陣は良かったと思います。

あまり良い事書いてませんが、もう少し短くまとめられたのでは?と思いつつも145分という長い上映時間もそんなに感じられないほど笑えるシーンも結構ありましたし、なかなか魅力的なお話ではありました。最後に今現在の埼玉県行田市に残る忍城の映像が映るところは、地名などに名残りがあって少しジーンとしました。