シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

アフターウェディング

2008-01-18 | シネマ あ行

「しあわせな孤独」スザンネビアが監督で2007年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品であったということで、興味を持って見に行きました。

「しあわせな孤独」では、既存の物語とは一味違った映画を見せてくれたスザンネビアが今度はどんな作品を見せてくれるのだろうと期待して行きました。

インドで人道支援をしているデンマーク人ヤコブマッツミケルセンは、突然本国の資産家に呼びつけられる。ヤコブの団体が巨額の寄付金をする候補にあがったため、そのプレゼンをしに来いというわけだ。いやいやながらもインドにわが子同然の子供たちを残してデンマークに戻るヤコブ。その実業家ヨルゲンロルフラッセゴードは強引な男で、自分の娘のアナスティーネフィッシャークリステンセンの結婚式に出席するようヤコブに言う。そこで出会ったヨルゲンの妻ヘレネシセバセットクヌッセンは偶然にもヤコブの元恋人であった。しかも、実はアナはヨルゲンの娘ではなく、ヤコブの娘であったという。

ここで、ヤコブを呼びつけたのはまったくの偶然だとヨルゲンは主張するのだけど、それは果たして本当だったのだろうか?そこんとこがヨルゲンの主張のみで終わっていて明らかにされなかったのが、気に食わなかった。たぶん、偶然じゃなかったんだろうけど、それが後日にでも分かるような何かが欲しかったなぁ。それがないのがスザンネビア的なのかもしれないけど。

それぞれがなんだか自分勝手に主張するとこなんかは「しあわせな孤独」でも通じるところがあったけど、日本人には分かりにくい感覚なのかもしれないなぁ。

それでも、「死にたくない!」と妻に泣きつくヨルゲンの姿は万国共通で心に響くものがあると言えるだろう。48歳という若さで、(彼が48歳という設定にも驚いたけど…)愛する妻と子供たちを残して死んでしまう無念さ。それゆえに彼はイヤな奴と思われようとも、お金にものを言わせてヤコブを引き止めたかったのだろう。だからこそ、彼の傲慢さも許される。

映像的にはやたらと目とか口とかのパーツのドアップが多くて、ハンドカメラで揺れの映像とかも多くて、そのへんは好き嫌いの分かれるところかな。目元のアップでは妻ヘレネを演じるシセバセットクヌッセンの目だけの演技が素晴らしかったと思う。

物語的にはもうひと展開何かあることを期待していたので、それだけ!?っていう印象で終わってしまったのが残念だったけど、スザンネビアの骨太な感覚はずっしり伝わってくる演出であった。これからがますます楽しみな監督さんだ。