シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

g:mt

2006-01-25 | シネマ さ行

「g:mt」Greenwich Mean Time こう聞けば誰もが分かるグリニッジ標準時のこと。グリニッジの高校を卒業した仲間たちのお話。

イギリスの若者の話と聞くと、「あー、ドラッグと音楽とクラブの話ね…」とだいたいの想像はつく。この作品もご多聞にもれずドラッグと音楽とクラブが出てくる。イギリスの若者映画の三種の神器ってやつか。でもこの作品、少し進んでいくと、何か違うなぁと感じてくる。「トレインスポッティング」やなんかとはちょっと違う。主人公たちはそれぞれに若さゆえの馬鹿さ加減を持ち合わせながらも根本的には真面目だ。音楽も彼らがやっているのはフュージョンジャズ系。音楽のことはくわしくないのでよく分からないのだけど、彼らの音楽は聞いていて渋いと思うような系統のものだ。仲間の一人のサムスティーブジョンシェパード(ちょっとマットディロンに似てる?)がお金持ちの坊ちゃんで、その一族は音楽業界におり、彼らのデビューをサポートしている。

もちろん、そこには貧富の差のねたみや男女問題や将来への不安やらが入り混じって問題もあるにはあるんだけど、それはこの年齢のころに誰しもが通る道。彼らだけが特別に問題を抱えてるわけではなかった。あの事故までは。

仲間の一人でプロカメラマンへの道が開けそうだったチャーリーアレックニューマンがある日、交通事故で半身不随になってしまう。このあたりから、「んー、なんか昔日本のドラマであった“若者のすべて”とか“あすなろ白書”とかみたーい」って思えてくる。まぁ、国は違えど同じような年代の話だもんな。雰囲気が似ていてもおかしくはないか。

例によってその事故をきっかけに仲間たちの関係が微妙に変化していくのだけど、一番変わってしまうのは、仲間内の中でもっとも奥手な感じだったビーンベンジャミンウォータース。チャーリーのことでサムと喧嘩して悪い奴らにそそのかされドラッグの売人になってしまう。このビーンを演じるベンジャミンウォータースくんがなかなかいい演技を見せてくれる。初めはおとなしそうな青年で目つきもちょっとビクビクした感じ。彼の家庭環境はあまりよくないようだ。父親を恐れながら生活している感じがある。けど、この青年がドラッグに溺れていくとだんだん目つきも変わってくる。最初の子とは別人に見える。仲間たちはこの子を救うことができるのかどうか?他の仲間の心境や状況の変化を描きながら物語をクライマックスへとつないでいく。この辺の演出や筋の進行がなかなかスムーズでいい。

若者文化であるドラッグやクラブといったハードな一面が苦手な方にもオススメできる若者映画です。その年代の人とそうでない人で感じ方は全く違うかもしれません。世代間でこの映画について話をしてみるのも面白いかも。