団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

真夏の動物園

2011年07月13日 | Weblog

 

 

 妻がメールを送ってきた。「こんどの休日に静岡の動物園へトキを見に連れて行ってくれる?」以前から静岡の日本平動物園のフライング・メガドームが完成したら行ってみたいと話していた。妻のたまたま取れた金曜日の休みの日、朝8時過ぎに家を車で出発した。その日はまだ梅雨で、天気は不安定だった。国道1号線の箱根は、濃霧に被われ、視界は前方10メートルぐらいしかなかった。注意して低速で箱根の坂を降り、三島に入ると霧も晴れ、東名高速を一路清水インターに向かった。なんとかたどり着いた日本平動物園の駐車場がわかりずらく駐車にてこずったが、動物園の入り口にたどり着いた。入り口はとても古臭く垢抜けない感じで営業しているのか閉館してしまったのかわからないくらい惨めな様子で人の気配がなかった。期待感はすっかり失われ、入園を思い留まろと思うほどだった。気持を叱咤し入園したものの、ゲートを入ってすぐに工事中で、トタンの塀でほとんどの場所は囲まれ、周囲のベンチはペンキがはがれ、益々気持は萎えた。内心、妻が行きたいところはアタリが少ないな、としらける。しかし工事中のトタンの壁の脇の狭い通路を過ぎると、両脇に鳥類の檻があり、色鮮やかなインコや珍しい鳥を見た。通路に沿ってしばし歩くと猛獣館とある立派な新しい建物の前にでた。案内に添って入場し、入館すると涼しい目の前に円筒状のガラスの中に上昇して水面に浮かび上がるアザラシが目に入る。しばし見とれて通路の案内に添って歩くと白熊がいた。大きい!狭い檻の中であっても水中を泳いだり、でんぐり返しと私の目は点になる。何度も何度も狭い水槽の中、でんぐり返しを繰り返す。人間の私が飽きるくらい繰り返している。白熊君は飽きない。何度も水槽の壁から背面キックで水中に身を躍らせまた戻る。大きなガタイ、大きな手、大きな足。別に水かきがついているわけでもないのに、起用に水の中で泳ぎまくる。魅入られてしまう。どのくらい時間が経ったかわからないが、妻に促され通路を進み二階へ。虎、ライオン、ピューマ、猫科の大形動物が毛並みよい体を横たえ、この熱い日をのんびり過している。3階,4階、立派な大型猫科の猛獣が檻の中で横たわっていた。

 猛獣館を出ると、ゾウ、キリン、バッファローなど立派な動物がいっぱいだ。圧巻は5月末にオープンしたフライングメガドームである。アリクイの檻を過ぎると、目の前に全体が見渡せないくらいの大きなケージがひろがる。その大きなケージの中に妻が観たがっていたショウジョウトキがたくさん木に群がって止まっていた。ショウジョウトキの色の鮮やかさにしばし暑さを忘れた。緑濃い木の枝の先々に朱色のトキが留まっている。ドームの大きさもハンパでない。ドームの中にはトキだけでなく、ペリカン、フラミンゴなどの珍しい鳥、きれいな鳥がたくさんいた。観客がドームの中に入って、池の中央にある観覧場所から網や鉄柵を通さず直接、鳥を見ることができる。もちろん鳥の落し物が観客にあたる危険性もある。しかし遮蔽物なしで見る鳥には、感動する。ドーム内の池の奥の坂は、多くの自然の樹木が繁って緑の山のようだ。その木々の上にショウジョウトキが群でとまっている。木から木へ頻繁に場所を替える。羽を大きく拡げる。緑の葉とショウジョウトキの色の対比がいい。妻について来たはずの私が夢中になってしまった。あまり出歩くことが好きでない妻でさえ、心なしかはしゃいでいた。

 感動のメガドームの脇を歩き、鹿やダチョウ、サイを見ながら、展望台へ続く遊園地にでる。平日で子どもも居ないため閉園状態であるも小さい屋台はあり、併設するレッサーパンダの檻もあり、飼育員が檻で働いていた。展望台へは電動のベンチがあった。夫婦で入場券を買って乗り込む。周囲に人はほとんどいない。急な坂を強い陽ざしの中、のんびりと上昇していく。汗が首筋、背中、胸を筋になって流れる。ほんの100メートルほどを5分以上かけて上がった高台の展望は素晴らしかった。風も心なしか涼しく誰も居ない高台にたたずむ。5分も居れば暑さが戻りじっとしていられない。ベンチの下りの券を買い、遊園地に戻り、お目当ての新設爬虫類館を目指す。

 先ほど乗った下り電動ベンチからフライング・メガドームを見下ろすことができた。動物園の全容を見下ろすことが出来る.正面真ん中にフライングメガドームが見え、ショウジョウトキの赤が転々と見える。ドームの後方に池がある。その池の周りの樹木が自然のアオサギとシラサギの群に占領されていた。その群の中から数羽がわざわざドームの上を悠悠と旋回する。その様子がいかにも「お~いドームの中の鳥たちよ。お前達は可哀想だな。俺はこうして自由に空を飛びまわれるぞ」と見せ付けているような意味ありげな飛び方なのだ。動物園の設備や収容動物類に感動していた私は、アオサギとシラサギに自然とか自由のありがたさを教えてもらった気がした。色鮮やかな外見と、豪華な檻や栄養管理されたエサにも代えがたいものを天然の白サギと青サギたちは、持っている。なおかつ、動物園のエサのおこぼれも、盗れるところからちゃっかりいただいたり、客からもらったりしている。この光景は何かとても滑稽で不思議な気分だった。この自然のサギと囲われ見世物になっている鳥との組み合わせの展示がこの動物園の最大の売り物なのかも知れない。(お詫び:メガドームの写真を撮ろうとした時、カメラの電池が終ってしまった。掲載した写真は最後の一枚でドームの裏山に群なすサギなのだが、ピントがボケてしまった。お詫びする。ドームに興味のある方は、インターネットで“日本平動物園 フライングメガドーム”で検索していただきたい。)

 

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