団塊的“It's me”

コキロク(古稀+6歳)からコキシチ(古稀+7歳)への道草随筆 2週間ごとの月・水・金・火・木に更新。土日祭日休み

まつ毛

2011年11月01日 | Weblog

 ラクダは私にとって3大不思議動物のひとつである。その3大不思議動物とは①ラクダ:砂漠のように過酷な環境で生きる生命力とこぶ。②ゾウ:巨体と鼻の長さと器用さ。③キリン:脚と首の長さ、である。特にラクダは実際に砂漠でラクダのツアーに参加して乗ったことがある。見事なまつ毛と強烈な口臭とスポンジのようなフワフワの足の裏が印象的だった。

   

この頃、テレビのコマーシャルで若いキレイな女性が「マツゲは常に上を向いていなければ」とマスカラをたっぷりつけたツケまつげを見せびらかして、これでもかと宣伝している。そのコマーシャルに出てくる女性のマツゲは長く見事に上を向いていた。私のまつ毛を鏡で確かめてみる。まずあるのか無いのか存在感がない。かすかに数ミリのそれらしきものが、一応並んで生えてはいる。女性はツケまつ毛をつけてまで、まつ毛を長く見せたいらしい。世の多くの女性たちが望むのは、髪の毛はツヤツヤでサラサラで枝毛なし、顔は小さく、目は大きく、まつ毛は長く、鼻高く、胸は大きく、ウエスト細く、尻はたるみなく突き出し、脚はスラッと長くカッコよく、らしい。それと比べたら男性ではあるが、私は上のほとんどの項目において、女性が自身に求める理想形態からほど遠い。


最近、申し訳程度にはえている私のまつ毛が、しょっちゅう問題を起こす。短いまつ毛は、加齢によるドライアイが原因の頻繁な瞬きに耐えられず、眼球に触れたり、まぶたの内側に入り込んでしまう。逆さマツゲと言うらしい。まつ毛に十分な長さがあれば、しっかりまつ毛が上を向いていてくれれば、眼球やまぶたに触れることはありえない。眼球やまぶたは、他の部分よりずっと敏感らしい。私は、気にしだすと気になってしようがない性質である。鏡の近くにいれば、鏡をのぞいてまつ毛を探す。しかし鏡に映るまつ毛を発見することは、まずない。まぶたを閉じて指先2本でまつ毛を挟むようにして、挟んだまま前方に引き出す。全開にした目の前で2本の指を静かに開く。しかしこうして何回繰り返しても、抜けたまつ毛を見つけることが出来ない。


不快感をぬぐうために目薬をさしてみる。いたずらに目の周りを掻くように触れるせいか、ますます目に異物が触っている感じが強まる。さらに悪いことに目の周りを指で触っていると、花粉症の時のような目に痒みが襲ってくる。片目を閉じ、指でまぶたの上をこする。閉じた上下のまぶたの合わさり目からほんのちょっとまつ毛が出ている。こすることによって、さらに刺激を与え、指に抜けたまつ毛がついてきた。このまつ毛は、新たに抜けたモノで探しているまつ毛ではない。少ない貴重な残ったまつ毛がまた一本減ってしまった。どこかにまだまつ毛がひそんでいる存在感は消えない。こうなるとますます行方不明の短く小さいまつ毛は見つけるのが困難になる。何も手がつかなくなる。


 悪戦苦闘の末、指先の腹の上にまるで生え始めのモウセンゴケのように細く短いまつ毛がのっていた。虫眼鏡で見なければいけない程である。それと比べたら先日むりやり引き抜いた鼻毛のほうが、ずっと太くて長くて立派だった。床屋で「眉毛はどうされますか」とその度に尋ねられる。伸びが異常に早く、いつか村山元首相並みの眉毛になるかもと恐れるほど立派だ。なぜまつ毛に限って短いのか。


 やっと取れて目がすっきりするかと思いきや、何かゴロゴロと目全体に違和感が残っている。テレビに出ている女性や女装している男性の多くが、ツケまつ毛をしている。以前砂漠に観光で行って乗ったラクダのまつ毛を連想させる。ラクダのまつ毛が長いのは、砂漠の細かい砂から目を守るためだ。幸い私は空気のきれいな所に住んでいる。砂嵐の心配はいらない。ツケまつ毛をしている人たちはきっと空気の汚いところに四六時中いるのだろう。テレビコマーシャルに出てくるモデルさんのまつ毛ほどでなくても好いから、せめて目に、逆さまつ毛として入らないで、抜け落ちる時、ポロンと目の外に出る長さであって欲しい。やらなければいけないことがたくさんあるのに、こんな小さなまつ毛に多くの時間を奪われて悔しい。

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