団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

日立の冷凍冷蔵庫

2024年06月14日 | Weblog

  一時期日本の家電製品は、世界を席捲していた。ところが韓国や中国の家電メーカーに徐々に追いつかれ、追い越されるようになった。私がカナダに留学していた頃の1960年代日本製品は、安かろう悪かろうと言われていた。私もよく学生たちに「メイド イン ジャパン」と馬鹿にされ、悔しい思いをした。その後、ソニー、東芝、日立、松下電器、三洋電機、シャープなどの家電メーカーが台頭して、メイド イン ジャパンの品質の良さを世界に知らしめた。アメリカ大リーグで活躍する大谷翔平選手のように世界で誇れる存在だった。

 そんな日本が世界に誇った家電メーカーも日本のバブルが弾けた頃から、だんだん元気を失い始めた。私は1996年から妻の海外赴任に同行することになった。最初の任国は、ネパールだった。この頃は、まだ日本の家電製品は勢いがあった。どこの国を旅行しても、多くの日本の会社の代理店や看板があった。ショッピングセンターなどの家電製品売り場には、日本の製品がずらっと並んでいた。ネパールの次にアフリカのセネガルへ妻が赴任した。セネガルは、貧しい国ということもあって高価な日本製品より中国製の物が多かった。まだ韓国製品はほとんど見られなかった。次に旧ユーゴスラビアへ移った。このころから韓国製品を多く見るようになった。特に車の起亜と現代が猛烈に売り込んでいた。次に北アフリカのチュニジアに移った。もうここでは、韓国製がどこの店でも日本製を押しのけて圧倒していた。

 ロシアのサハリンを最後に、妻が職を辞して日本の病院に勤務するために帰国した。妻が海外赴任する前の勢いがあった日本経済は、帰国するとまるで違う国かと思う程、何もかも停滞していた。そうこうするうちにまずシャープが台湾の会社に買収された。三洋電機は、中国の会社に、東芝も家電部門を中国の会社に売った。残ったソニーや松下電器も経営は不振だった。何とか日立だけが健全な経営をしているように見えた。

 私は、日立の♪この木何の木 気になる木♪のコマーシャルソングが好きだ。鉄道好きな私は、英国で日立製の列車に乗った。英国での日立製の列車は、評判良く乗り心地も良かった。世界のどこであれ、日本製品の評判がいいと嬉しくなる。日立のこれからの躍進に期待を寄せている。

 我が家の冷蔵庫は、日立のR-HWC54T(N)だ。まだ買い換えたばかりである。この冷蔵庫に問題点を見つけた。製氷機から作られた氷が急速冷凍の場所にこぼれ入るのである。設計上の問題かと日立に問い合わせることにした。返事が1カ月後に来た。驚いた。これが技術の日立の反応かと。「…ケースの出し入れの際の勢いによって氷が奥側に寄せられて山状になり、下側の冷凍室に落下しやすくなっていることが考えられます。…つきましては製氷ケースを引き出す際や戻すと際、なるべくゆっくりと動かしていただき…」 笑った。これが返答だろうか。製氷機からまったく違う箇所に氷が落下するというのは、設計上もしくは製造上に問題があるからだ。それを使用する客が、力の入れ加減で制御しなさいって。子供にドアを静かに閉めなさいと言っているのと変わりない。製品に不都合があれば、改善してゆくのが企業としての努めだ。最近のトヨタの問題もそうだが、日本の会社何かおかしい。氷貯蔵室の引き出しをゆっくり静かに開け閉めしながら、私は、今日も声を出して笑ってしまう。

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