団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

入れ歯、それともインプラント

2018年04月26日 | Weblog

 昨日歯科医院へ行った。最近上の前歯の数本に違和感がある。私は歯のケアに熱心に取り組んでいる。何とか80-20を実現しようと、できることは何でもしようの意気ごみがある。毎晩、20分くらい歯磨きをする。歯間ブラシS・M・Lサイズの3本、フロス、歯ブラシ2種類を使い分ける。

ああ、それなのに。私が一番恐れていた「入れ歯」という言葉が、担当歯科医の口から出た。ショックだった。でも歯肉炎の進行が進めば、歯を失うばかりでなく、顎の骨にも影響が及ぶ。歯科医は今後の治療方針を診察台のテレビモニターに映像を映しながら説明した。インプラントはできないことはないが、土台になる顎の骨がボルト挿入不可の恐れ。ブリッジは支えになる両側の2本の歯の耐久性に難。差し歯はできない。上の歯14本全てを切断研磨してその上に連結した義歯をかぶせる。しかしこれには難点がある。もしそのうちの1本の歯に何か問題が生じたら、14本連結の義歯を全て外し治療せざるを得ない。治療後ふたたび義歯を製作する。時間、経費も相当かかる。入れ歯はワイヤーで固定させる。私は体内に異物があると気になって不快になる。入れ歯を恐れるのは、その異物感に耐えられるかどうかである。入れ歯が合わず苦しんだのは、両親をはじめ多数知っている。

追い打ちをかけるように「いずれにしても噛む力は自分の歯の10分の1になります」ときた。これがボクシングでダウンを奪う強烈なボディブローのように効いて、私の気持ちをなえさせた。

かつて團伊玖磨が歯科医に勧められ、50代で入れ歯にした。なぜなら歳を取ってから入れ歯にすると問題が多いので、間に合ううちにしっかりした不具合のない入れ歯にしようと思ったという。上下の顎の骨を削り入れ歯を固定させる土台からの治療だった。大変な治療だったと書いていた。その話を私の担当歯科医にした。「もうそれはできません」と歯科医はきっぱりと言った。そう私は去年古稀を迎えた。

 先日、外国人観光客が5,6人で日本を話題に電車の中で会話が盛り上がっていた。「日本人は英語がわからない」と言いたい放題。その中で「多くの日本人の歯の色が汚く、歯並びが悪い」が私の胸をえぐった。よほど彼らの所へ割り込んで、「いいかげんにしなさい」と言いたかったが歯を見られたくなくて思いとどまった。私の歯の色も歯並びも悪い。カナダ留学時も歯は私の劣等感のみなもとだった。カナダの学校の寮にいた生徒たちの歯のケアは、日本では考えられないくらい手が込んでいた。フロス糸での歯のケアを始めて見た。糸で歯磨き、と開いた口がふさがらなかった。まだ奴隷制度があったころ、奴隷の値段は歯の状態で決まったと教えられた。美人コンテストでも歯並び、歯の白さは評価の重要ポイントだそうだ。

 世界各地で歯の治療を受けた。ネパール、セネガル、チュニジア、サハリンでは歯の治療は受けなかった、受けられなかったと言った方が良いか。私の口の中は、国際歯の治療その後博覧会である。

①     ユーゴスラビア ベオグラードの歯医者 差し歯 閑静な住宅街にあったとても上手で好感が持てる研究熱心な医師だった。

②     オーストリア ウイーンの歯医者 虫歯 古い町並みのビルのこんなところに歯医者さんといった不思議な医院。ちょっと上から目線が気になった。

③     カナダ エドモントンの歯医者 親知らずの抜歯 学費寮費3年分の高額医療だった。日本に帰国して抜けば数千円で済んだはず。いまでも後悔。親に謝りたい。

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